東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長は2日、都内で定例会見を行い、開閉会式の演出内容の報道をめぐり、厳重抗議をした週刊文春の発行元、文芸春秋に対し、「280ページに及ぶ内部資料を入手し、意図的に拡散して業務を妨害するものと判断し書面で厳重抗議するに至った」と非難し「報道の自由を制限することではまったくない」と主張した。
同編集部では、この日の橋本会長の定例会見前に「巨額の税金が浪費された疑いがある開会式の内情を報じることに高い公共性、公益性があります。著作権法違反や業務妨害にあたるものではない」として「不当な要求に応じることなく、今後も取材、報道を続けていきます」と反論の声明を出した。組織委の法務担当者は「著作権侵害と抗議した。(報道の自由に関する)著作権法41条の様々な要件に適用はないと判断した」と説明。文春側の反論について橋本会長は「抗議文に対し、文春側がどのような反論をしたか文書が届いていない。届いてから改めて組織委として対応をしっかりしたい」と述べるにとどめた。
この問題は、3月31日の文春オンライン、1日発売の週刊文春が五輪開閉会式の演出内容を明らかにした記事を巡り、「極めて遺憾」とし、組織委が発行元の文芸春秋に対して書面で厳重抗議。内部資料を掲載して販売することは著作権の侵害にあたるとして掲載誌回収などを求めた。
組織委は、掲載内容について「極めて機密性の高い組織委員会の秘密情報で世界中の多くの方に開会式の当日に楽しんでご覧いただくもの」と事前の公表で演出の価値が大きく毀損(きそん)され、報道が業務を妨害していると指摘。「この内部資料の一部の画像を本件記事に掲載して販売すること及びオンラインに掲載することは、著作権を侵害するものです。同社に対しては、当該の掲載誌の回収、オンライン記事の全面削除、及び、資料を直ちに廃棄し、今後その内容を一切公表しないことを求めています」と“全面戦争”の姿勢を示した。
内部資料流出の可能性にも触れ、「営業秘密を不正に開示する者には、不正競争防止法違反の罪及び業務妨害罪が成立しうる」として、警察とも相談の上、守秘義務違反を含めた徹底的な内部調査に着手。開閉会式の業務受託会社である電通に対しても、同様の調査と報告を要請すると同時に、演出内容を知りうる全ての関係者に守秘義務の順守徹底を求めるとしていた。
開閉会式を巡っては3月に、総合統括だった佐々木宏氏の不適切な演出プランが文春の報道で表面化し、結局辞任。MIKIKO氏が責任者を辞任に至る経緯なども、同誌が報じていた。