![](https://atarimae.biz/wp-content/uploads/2015/10/waru-zero.png)
「 」「 」「 」
どんな値にかけても になってしまう数。ゼロ。
無いことを表す「 」という値には、不可解かつ神秘的な魅力を感じさせられます。
この「 の不可解さ」をよく表しているのが、「 で割ってはいけない」というルール。
「なんで で割ってはいけないの?」と先生に聞いても「そういうものだから」と言いくるめられ、モヤモヤした経験のある方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「なぜ で割ってはいけないのか?」を割り算の定義から考えていきます。
割り算の定義から考える
皆さんは、割り算の定義=「そもそも割り算とは何か?」と聞かれたら、どう答えますか?
「 個のりんごを 人で分けた時の、 人当たりのりんごの数?」
いいえ、それは割り算の使い方であって定義ではないんです。
![](https://atarimae.biz/wp-content/uploads/2015/10/6834274712_b25f5efced-300x200.jpg)
割り算は、代数的には以下のように考えることができます。今回はこれを利用しましょう。
実数などにおける定義から離れると、除法は乗法を持つ代数的構造について「乗法の逆元を掛けること」として一般化することができる。
参考:除法 – Wikipedia
これは、かみ砕いて言うと「割り算とは、逆数をかけることである」という意味です。
![](https://atarimae.biz/wp-content/uploads/2015/10/jouhou-gyakugen.png)
例えば
とは、 に「 の逆数である 」をかけること
とは、 に「 の逆数である 」をかけること
という意味になります。
※ のとき、 を の逆数と言う
「割り算」とは「逆数をかけること」である
ここから、 で割ってはいけない理由が見えてきます。
0で割るとはどういうことか?
「割り算」が「逆数をかける」ということは
「 で割る」とは「 の逆数をかける」という意味になります。
でも、 の逆数って何でしょう?
の逆数は
の逆数は
ということは、 の逆数は ?
そんな数、聞いたことがありませんよね。
![](https://atarimae.biz/wp-content/uploads/2015/10/zero-gyaku.png)
事実、 に逆数は存在しません。 に何をかけても にはなりませんから。
そして、存在しないものは定義しようがありません。
「 の逆数をかける」という行為自体が存在しないので、「 で割る」ことも定義できない。
だから、「 で割ってはいけない」んです。
![matome](https://atarimae.biz/wp-content/uploads/2015/10/matome.png)
1=2の証明。存在してはいけない数
には逆数が存在しないから、 で割ってはいけない。
なら、「 には逆数がある」と無理やり定義してやればどうでしょう?
という数の存在を認めれば、 で割ることもできるようになります。
![](https://atarimae.biz/wp-content/uploads/2015/10/1-0.png)
が、しかし・・・
![](https://atarimae.biz/wp-content/uploads/2015/10/12-1.png)
という数の存在を認めたら、 というとんでもない等式が成立してしまいました。
まとめ
①割り算とは「逆数をかけること」である
②つまり「 で割る」とは「 の逆数をかける」ことを意味する
③しかし、 には逆数がないので「 の逆数をかける」という行為自体が存在せず、 で割ることを定義できない。だから で割ってはいけない
④裏を返せば、 に逆数が存在すると無理やり仮定すれば、 で割ることが可能になる。しかし、 に逆数が存在すると困ったことになる
で割ってはいけない理由は で割ることが定義されていないから。
そして、 で割ることを無理やり定義しようとすると となり計算が役に立たなくなるので、「 で割ることを定義しない」状態が維持されているわけです。