自信・自尊感情・嫉妬
- 自信を高めるための新しい方法を身につけましょう
- 嫉妬に対処するためのスキルを身につけましょう
- 自信や自尊感情の低下,嫉妬などが自分の性加害にどのように影響したかを検討しましょう
自信とは?
自尊感情とは?
自信(自分についての肯定的な評価)と自尊感情(自分の存在を価値があるものと評価して信じること)は,個人的な人生上の経験はもちろんのこと,社会的背景によっても形成されます。まずは,自尊感情が傷つけられた体験について検討してみましょう。また,自尊感情の低下は性加害にどのような影響を与えたかについても考えましょう。
自分の犯罪を突きつけられ,逮捕され,有罪判決を受けて受刑したことや,別の形で性犯罪者として意識させられた経験を振り返り,そんな自分をどう感じるかについて考えましょう。
一般に,性犯罪をした後は自尊感情が低くなり,それがますます認知の歪みや合理化を強めてしまうと考えられています。また,自尊感情の低下は「どうせじぶんは変われない」という信念の形成につながり,その人の回復と変化を難しくしてしまいます。もし加害後に生じた認知の歪みを今も持っているとしたら,自尊感情の低下はそれにどのような影響を与えているでしょうか。それがさらなる性加害にどのような影響を与える可能性があるでしょうか。考えてみましょう。
嫉妬とは?
嫉妬は,対人関係の問題や性加害の重要な要因です。嫉妬は認知の歪みを維持し,さらなる性加害に発展する可能性がある感情です。
- 嫉妬の体験としては,どのようなものがありましたか?
- 嫉妬の体験は,自分の性加害とどのようにつながっているでしょうか。
嫉妬は,自信のなさや不適応感,自分に価値が感じられないために感じることが多い感情です。また,パートナーの動機や行動に対して過敏になったり,あるいは歪んだ受け止め方をすることで感じることもあります。
嫉妬そのものが問題なのではありません。大事なのは,嫉妬の程度や嫉妬の背後にある信念・価値観の問題です。それが,問題行動として表されたとき,その嫉妬は警告サインであると考えられます。
以下のリストを使って,自分の犯罪の進行において,嫉妬がどのような役割を果たしたかについて理解していきましょう。
- 嫉妬とはとても強い感情で,誰かや何かを失うのではないかという恐れ(またはその前兆を感じること)が引き金となる。
- 嫉妬は,人間関係で自分が相手を支配できなくなるという恐れである。
- 嫉妬は,ひとりぼっちや孤独になるという恐れである。
- 嫉妬は,自分に価値がないとか,能力がないという感情の反映である。
- 嫉妬は,怒りなどの不合理で有害な行動の引き金となる。
- 嫉妬は,脅威を感じるパートナーや他の人に向けた攻撃である。
- 嫉妬は,現実との接点がないままに,怒りのようにどんどん強まっていく感情である。
- 嫉妬は,人間関係における依存のサインである。
- 嫉妬は,自信のなさと自尊感情低下のサインである。
嫉妬は本当の愛のあらわれではない
「本当に愛しているからこそ嫉妬するのだ」というのは,よくある誤った信念です。嫉妬はむしろ人間関係において主導権を握り,パートナーを支配したいというサインなのです。
パートナーが過去に浮気をしたことがきっかけで,何らかの状況が起きると嫉妬するようになったのかもしれません。しかし,その状況は誇張されて認識されていることが多く,その後パートナーが誠実であり続けたとしても,おそらくあなたの嫉妬の感情は変わらないでしょう。
また,パートナーとの人間関係が自分にとって全てだとしたら,より嫉妬を感じやすくなるかもしれません。自信が欠けている人は,パートナーが自立すると自分に価値がなくなったように感じるため,相手の自立に対して嫉妬を感じやすくなります。
もしあなたがこれまで自分に価値がないと感じてきたとしたら,あなたはパートナーに目を向けてもらうことで,自分に価値を見いだそうとしてきたのかもしれません。そのため,パートナーが他の人に目を向けていると自分が拒絶されたように感じてしまうのです。その恐れから,パートナーが他に目を向けないようにパートナーの行動を支配しようとするのです。
- あなたはどのように反応しましたか?
- あなたはどのように思い,感じましたか?
- あなたは自分のパートナーをどのように支配しようと思いましたか?
- あなたは自分の嫉妬をどのように表現しましたか?
- あなたがパートナーを支配するのをやめたらどうなるでしょうか?
- なぜわたし達は嫉妬に負けやすいと思いますか?
- あなたの不安は現実になる可能性が高いものだったでしょうか。
- パートナーとの関係で繰り返し浮気が起き,嫉妬が生じているのにその関係を続けるとしたら,メリットとデメリットではどちらが大きいでしょうか?
- 自信のなさや相手をコントロールしたくなることから嫉妬が生じたとするなら,その自信のなさや支配欲はどこに根ざしているのでしょうか?
- 嫉妬はパートナーの行動から生じるものなのでしょうか?
- 嫉妬に対処する上で大事なことは,嫉妬を避けることでしょうか?
- 嫉妬を経験することがいけないとか,否定的な感情を感じないようにすべきだと考えることは適切でしょうか?
嫉妬は人間の感情のひとつであり,どんな人にも生じるものです。大事なことは,嫉妬による苦痛が限界に達して再犯リスクが高まらないよう,スキルを活用して否定的な感情にとらわれないようにすることです。また,パートナーや友人と話し合い,お互いに何ができて何ができないかをはっきりさせていくことで,相手に非現実的な期待を抱かずに済み,嫉妬や否定的な感情を軽減することもできそうです。
実際には嫉妬は自分の出来事に対する受け止め方と解釈の仕方,セルフトークから生じているということを忘れずにいましょう。