変化させることができるリスク要因(1回目/全3回)
性犯罪に繋がるリスクは,動的リスクと静的リスクに分けられます。静的リスクは変化させることができませんが,動的リスクは,治療や練習によって変化させることが可能です。
前回は変化させることができないリスク要因についてチェックしていきましたが,今回は変化させられるリスク要因をチェックしていきましょう。繰り返しになりますが,ここに書かれているリスクは,変化させることが可能なリスクです。変化させられるリスクを低下させて,再犯のない生活を送りましょう。
性への過剰なとらわれ
性への過剰なとらわれは,再犯リスクを高めます。
性への過剰なとらわれとは,具体的には下記のようなものを指します。
年齢にもよりますが,毎日のようにマスターベーションすることなど
異性を見れば,すぐにセックスと関連付けて考えてしまうことなど
性風俗店を頻繁に利用したり,買春したりすることなど
ナンパや出会い系サイトSNSなどを使って,多数の人と性的行為をすること
成人雑誌や漫画,AV動画の収集,ネットのアダルトサイトなどを頻繁に見ること
自分にとって静的に興奮するストーリーなどを空想し,その思いにふけること
性加害の計画
加害を行おうとする場所を下見したり,電車の時間を調べて被害者に接触しようとしたり,加害に用いる道具を準備するなど,性加害の計画を立てることはリスクです。また,人通りの少ない場所を通りかかったときに「ここなら加害ができそうだ」というような考えが湧いてしまうような人もリスクが高いと言われています。
犯罪に繋がりやすいパーソナリティー
犯罪行為を繰り返す人には,下記のような人格的な特徴があると言われています。これらの項目に当てはまるものが多い場合は再犯リスクが高いと言えます。
他者の気持ちを考えずに偉そうにする
根拠のない自信に満ちている
犯罪行為に抵抗を感じにくかったり,罪の意識が不足している
「悪いことをした」,「申し訳ない」などの気持ちを感じにくい,または,心の底からそういう気持ちを持てない
他者の気持ちを想像できない
悲しさ,寂しさ,うれしさなどの感情を感じにくい,または,感情に気付かない
自分の都合で他のひとを利用したり,振り回したりする
率直に話し合える家族や親友がいない,他者に本音を言わない,嘘が多い,人を信用しない
他者の気持ちを考えずに偉そうにする
自分に都合がよい考え(認知の歪み)
加害行為の前や行為後に,その加害行動を正当化する目的で自分に都合がよい考え(これを「認知の歪み」といいます)が生じている場合は,再犯リスクが高くなります。
「たいしたことじゃない」,「どうってことない」などと,実際に起きたことより物事を小さく見せようとする考え方。
「こうするしかなかったんだ」,「相手も喜ぶはずだ」などと,行為に不適切な理屈を付けて正当化する考え方。
「誰とでもセックスする女だ」など,被害者の方を貶めるような考え方。
「あいつが誘ったのだ」,「あんな短いスカートをはいている方が悪い」などと,加害の原因が被害者の側にあるかのような考え方。
「やっていない」,「やる気はなかったのだ」などと,行為自体を否認する考え方。
再犯防止を実現していくためには,自分の中にある認知の歪みに気付くことが非常に大切です。ここにピックアップした認知のゆがみの他にも,たくさんの性犯罪につながる認知の歪みがありますので,詳細は別に記事を書くつもりです。