変化させることができないリスク要因

性犯罪に繋がるリスクは,動的リスクと静的リスクに分けられます。動的リスクは,治療や練習によって変化させられますが,静的リスクは変化させることができません。

ここではまず,変化させることができない「静的リスク」についてチェックしていきましょう。

変化させることができないリスク①

性加害の前歴

統計によると,過去の性加害による逮捕が6回以上ある人や,起訴が4回以上ある人は,他の人と比べてリスクが高いと言われています。

変化させることができないリスク②

接触しない性加害の前歴

被害者に直接触れることのない性加害(たとえば,露出やのぞき,下着窃盗)をしたことがある人は,リスクが高くなる傾向にあると言われています。

変化させることができないリスク③

事件の時に非性的な暴力を含む加害

性加害行為をしたときに,性行為に直接関わらない暴力を含む行為を行った人は,よりリスクが高くなると言われています。非性的な暴力には,暴行や傷害といったものだけではなく,脅迫や誘拐,監禁,強盗,殺人などが含まれます。

変化させることができないリスク④

粗暴犯の前歴

性犯罪の前歴以外に,他の暴力事件などを起こした前歴がある人は,リスクが高くなると言われています。

変化させることができないリスク⑤

家族以外の被害者

被害者が家族以外だった場合,リスクが高くなると言われています。家族とは,姪や甥,義理の兄弟姉妹なども含めて考えます。

変化させることができないリスク⑥

被害者が初対面

被害者が初対面の人だった場合は,リスクが高くなると言われています。

変化させることができないリスク⑦

同性の被害者

被害者が同性であった場合は,被害者が異性であった場合よりもリスクが高くなると言われています。

変化させることができないリスク⑧

現在の年齢

再犯の危険性は,年齢を重ねるごとに低下していきます。統計からは25歳未満の人が高リスク,40歳以上の人は低リスクになる傾向がみてとれます。

変化させることができないリスク⑨

結婚歴・同棲歴

異性関係が長続きしない人は,リスクが高くなる傾向にあります。2年以上の結婚歴(同棲歴)がある人は,リスクが低下すると言われています。

今回は変化させられないリスクについてチェックしました。次回は変化させることができるリスクについて見て行きます。再犯を防止するためには,変化させられるリスクをひとつひとつ変化させることが重要になります。変化させられないリスクを多く持った人でも,変化させられるリスクを丁寧に変化させていくことで,再犯の防止は実現可能です。