本文に移動

袋小路の「慰安婦」問題、解決策探る韓日の専門家たち

日本の知識人、ジャーナリストらが18日にシンポジウム 
今年3月の日本からの共同声明を受け 
韓国でも2回の「慰安婦」討論会
日本の重鎮知識人、法曹人、ジャーナリストたちは18日、オンラインで「慰安婦問題、いかに解決するか」とのテーマでシンポジウムを開いた=同シンポの画面より//ハンギョレ新聞社

 1991年8月の金学順さんの初の公開証言から30年が経ったものの、未だ解決されていない日本軍「慰安婦」問題の解決策を探るため、韓日の専門家たちが取り組みをはじめている。日本政府が「慰安婦」問題はすべて解決済みとの立場を固守しているため、両国の専門家たちがせめて解決の糸口をつかもうとの思いで動いているのだ。

 日本の重鎮知識人、法曹人、ジャーナリストたちは18日、オンラインで「慰安婦問題、いかに解決するか」とのテーマでシンポジウムを開催した。今回のシンポは、議論を絶やさぬようにとの意味合いが強い。今年3月、和田春樹東京大学名誉教授など、日本の8人の進歩的な重鎮知識人が「慰安婦問題の解決に向けて-私たちはこう考える」と題する共同声明を発表。その後、より議論を広げるため、韓国で学者や活動家らが参加して5月、6月の二度にわたって討論会が開かれた。これを受け、声明を発した日本の8人の知識人が再び「慰安婦」問題についての忌憚のない意見交換の場を作ったのだ。

 「世界」の岡本厚元編集長は「この問題に関与してきた様々な人々が自由に意見を交換し、議論する場が必要だと考えた」とし「今回のシンポジウムはその場を作る試み」と述べた。

 この日は、「慰安婦」問題についての具体的な提案も議論された。和田教授は、2015年12月の韓日慰安婦合意を認め、これを発展させていこうとの立場を再度強調した。和田教授は「日本政府は、韓日慰安婦合意の中の『最終的かつ不可逆的な解決』ばかりを強調していては、合意を守っていることにはならない」と指摘した。和田教授は、首相の謝罪の手紙、和解治癒財団の残りの資金を「慰安婦問題研究所」に使用する、などの行動が必要だと語った。当時の合意には「日本政府は責任を痛感している。安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」との部分がある。和田教授はこの部分を文書にして首相が署名し、「慰安婦」被害者たちに渡すべきと主張してきた。

 和田教授はまた、韓日関係の根幹をなす「慰安婦」動員の強制性を認めた河野談話(1993年)、植民地支配と侵略戦争を謝罪した村山談話(1995年)が安倍晋三前首相、菅義偉首相などに継承されているということを強調した。和田教授は、日本の国会の資料を根拠として「河野談話が日本政府の基本的立場だというのは、右翼勢力の圧力がある中でも守られてきた」とし「村山談話も政府が全体的に継承していることを確認している」と述べた。

 日本の戦争責任などの問題の解決に取り組む内田雅敏弁護士は、韓日慰安婦合意は終わりではなく始まりであるべきだと強調した。内田弁護士は「(韓日合意で)謝罪し、金を支払ったのだからもう終わりだという考えでは『慰安婦』被害者たちを癒せない」、「(合意したとおり)まず被害者に真の謝罪の意を伝えるべき」と語った。

 シンポジウムに出席したソウル大学日本研究所のナム・ギジョン教授は、韓国側の専門家らの議論の状況を説明した。ナム教授は「3月に日本の知識人たちが共同論文を発表したことを受け、韓国でもこれに応える必要性が提起された」と述べた。韓国では5月26日と6月30日に「日本軍『慰安婦』問題、いかに解決するか-社会的対話に向けて」と題する討論会が開かれた。ナム教授は「討論会では、2015年の韓日慰安婦合意に対する立場は分かれたが、河野談話に対する評価は一致した」、「参加者たちは対話継続の必要性にも共感した」と強調した。また、対話文化アカデミーとソウル大学日本研究所が継続して対話の場を設けていくこと決めたことを明らかにした。

 この日のシンポジウムには、共同声明を主導した8人の知識人以外にも、ジャーナリスト、法曹人、市民団体の関係者などが参加し、様々な意見を交わした。

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1004029.html韓国語原文入力:2021-07-18 20:17
訳D.K