関よしみ「血を吸う教室」(2001年8月20日初版発行)
収録作品
・「血を吸う教室」(1994年「少女フレンド4月号増刊 サスペンス&ホラー特集号」)
「M市立X中学校。
卒業式の日、3年3組に集まった生徒達が見たのは、黒板に描かれた、磔にされたドクロの絵と「おまえたちは災いである 今日の裁きを受け入れよ」という言葉であった。
ざわめくクラスメートの前で、佐々木武志という男子生徒が、担任の女教師を刺殺する。
生徒達は教室から逃げようとするが、何故か、ドアも窓も塞がれ、教室から出られない。
これは全て、佐々木武志によるものであった。
PTA会長の息子、秋芳に一年間、陰惨ないじめを受け続けた彼は「神」に祈り、この日、いじめを見て見ぬ振りをし続けたクラスメート全員に裁きが下る。
彼らは「神」に十三人の魂を捧げなければ、この教室から出ることはできず、命を懸けたゲームを繰り広げることとなる。
生きて、この教室から脱出できるのは誰なのだろうか…?」
・「絶望へのカウントダウン」(1995年「少女フレンド1月号 増刊サスペンス&ホラー特集号」)
「高校受験を控え、受験勉強に日々追われる、女子中学生、長瀬真由美。
彼女が住む町の近くに、軍用機が墜落する。
その軍用機には、細菌兵器が搭載されていた。
その細菌兵器は、体中の細胞を溶かすというもので、ワクチンはなし。
町は隔離され、住民達は次々と発症していく。
パニック状態になった人々は自分の奥底になる欲望を満たそうとして、町は混乱状態に陥る。
真由美は学校からどうにか逃げ出し、家に駆け込むが…。
この極限状況に家族はあっさりバラバラになり、真由美は一人、町をさまよう…」
・「騒音都市(ノイズ・シティー)」(1999年「ホラーM」4月号)
「大学に通うため、上京した桜井春華。
彼女は格安のアパートの部屋を借りるが、周囲は騒音だらけ。
自動車の音に、夜中の工事、隣の小説家が壁に頭を打ち付ける音、子供の鳴き声、大学生の流すモーツァルト…。
アパートにいても、外にいても、春華は、絶え間のない騒音にさらされ、次第に神経をすり減らしていく…」
・「笑わせろ!」(1996年「少女フレンド6月号増刊 サスペンス&ホラー特集号」)
「ムーンライトビルの屋上展望台に来ていた仲良し四人組(男女二組)。
そこへ銀行強盗の逃亡犯が二人、バイクで乗り込んでくる。
逃亡犯は無差別に発砲し、生き残った人々を人質にして立てこもる。
冷酷無慈悲は彼らは人質になった人々にある「要求」をする。
それは「オレの人生 楽しいことはなにひとつなかった 死ぬまえに腹がよじれるぐらい大笑いして」みたいとのこと。
うまく笑わせることができたら解放されるが、つまらなかったら、即射殺。
命を賭けた演芸大会が今、始まる…」
・大西祥平「この本は一体何か? なぜスゲエのか?」(解説)
・関よしみインタビュー「本当に自分が一番信用ならないんですよ!」(聞き手・大西祥平)
・関よしみ全作品リスト(2001年7月現在)
「バトル・ロワイアル」がヒットした時に、「元祖バトル・ロワイアル」として出された復刻本です。
一部でしか知られていなかった(今もですが…)関よしみ先生に注目し、再評価した大西祥平氏の慧眼は流石だと思います。
関先生へのインタビューも非常に参考になるので、入門編としては最適ではないでしょうか?
ただ、惜しむらくは、名編「笑わせろ!」を、インタビュー・ページの下に小さく載せないで、ちゃんと読めるようにしてほしかったです。(まあ、採算の問題があったようですが…)
2020年10月2日 ページ作成・執筆