東京五輪・パラリンピック組織委員会は14日、東京大会における開閉会式のコンセプトを発表した。五輪パラ4式典の共通コンセプトは新型コロナウイルス禍において「前を向いて生きるエネルギー」を意味する「Moving Forward」と付けた。式典のプロデューサーチーム30人超を統括する日置貴之氏(46=組織委職員)が日刊スポーツのインタビューに応じ、コンセプトに込めた思いを語った。【聞き手=三須一紀、木下淳】

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-大会延期後、式典の簡素化に重点を置いてきた

「50億円、100億円を人によっては200億に見せることもプロデューサーの仕事。金がなければ知恵使えということ」

-延期前までの開閉会式とガラッと変えた

「当然ながら世の中の環境は変わっているので、もとの演出をやっていては理解を得られない」

-開閉会式で何を伝えたいか

「この状況での五輪。人によっては反対する人もいる。バラバラになった状況だ。大会の基本コンセプトに『ダイバーシティー&インクルージョン(多様性と調和)』とある。この時代に『国民は』とか『世の中の人々は』という表現は完全な時代遅れだ。国民って誰? 人々って誰? という時代。その人々とは日本人のこと? ということ。これを多様にイメージしていく。受け手の気持ちになって考えることが唯一、コミュニケーションの今後のあり方だ。それを考え開閉会式をつくってきた」

-その「ダイバー…」

「それを言えない段階でだめ。僕が大事にすべきは、みんながそれを言える、理解する開閉会式にしなければいけない」

-東京五輪招致の起源だった「復興五輪」という言葉をコンセプトに盛り込まなかった意図は

「省いたつもりはない。たまたま書いてないだけ。演出には復興の観点もあり、1ミリも忘れていない」

-どのように岩手、宮城、福島の方々にメッセージを届けるのか

「見てもらえば分かる」

-医療従事者への感謝を表す内容はあるか

「受け取り方をこちらが定義してはいけない。医療従事者の代表としてとか、そういう考え方自体がこの時代にそぐわない。日本の人は、同じような生活をしてきちゃっている人たちの考え方と、世界のいろんな考え方を認めていくことが大事。まあ、皆さんは日本人しか読まないメディアかもしれないけど(笑)。僕自身、海外でずっと生活してるので、やっぱりすごく不思議に思うところも日本にはある(笑)」

-コンセプトが全て英語だが高齢者の方も読むし、日本の新聞なので日本語表記がほしい

「コンセプトの日本語は用意していない。世界に分かってもらいたいということで英語のみになった」

 

○…五輪開閉会式のクリエーティブチームも公表され、元お笑いコンビ「ラーメンズ」で演出家の小林賢太郎氏(48)、作曲家の小山田圭吾氏(52)らが名を連ねた。聖火台のデザインはカナダ・トロント出身の佐藤オオキ氏(43)が務めたことも公表。また4式典の共通コンセプト以外に五輪開会式は「United Emotion(ユナイテッド エモーション)」、五輪閉会式は「Worlds we share(ワールズ ウィ シェア)」と付けられた。

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