走るのが嫌いになったハルウララ 「トレセン学園」
ハルウララの笑顔は本当に世界一可愛いよね。ハルウララみたいな優しい子を大人になったら、娘に欲しい…まだ、高校生なんですけどね…俺。
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俺はハルウララと一緒に飛行機で中央に飛んだ。ハルウララの親御さん達には中央に行く事とその前のトレーナーについてのお話をした…
「ごめんね…ウララ!」
「どうしたの?お母さん」
ハルウララの母親がハルウララを抱き締める。
「まさか、そんな事が…。それに気づけなかった、私達も無力でした。この子が走るのが好きだと言うのに…!今は走るのが嫌いになってしまったのは私達のせいです…」
「そんな!親御さん方はなにも、悪くないです」
「その人の事は警察に相談するとします。ウララの事を助けて頂いて、本当にありがとうございます」
「ありがとうございます」
親御さん方が頭を下げる。
「私は当たり前の事をしただけです!…頭をあげて下さい!」
「ウララを中央に行かせてあげて下さい…。そして、ウララがまた走ってくれる様に…」
「どうか…ウララの事を頼みます」
………飛行機内
「ねえ、トレーナー」
「ん?何?」
「わたしは中央で何をするの?」
「ウララには中央にある、トレセン学園に入ってもらおうかな」
「とれせん…?」
「トレーニングセンター学園。ウマ娘達がそこで夢、名誉をかけて、競いあう場所なんだ」
「そこにはいったら、わたしはどうするの?」
「勉強をしてきなさい。きっと楽しいよ」
「わかった」
(なでなで)
「なんで、撫でるの?」
「撫でたくなった…」
「…?」
ハルウララはトレーナーの方を見て、首を傾げる。トレーナーはハルウララとまずは信頼関係を築こうとした。ハルウララとトレーナーはまだ会って、数日しかたっていない。自分はハルウララにとって、頼ってもらえる存在になろうとしていた。
ートレセン学園ー
2人はトレセン学園に着いた。まず、トレーナーは向かうべき場所に向かった。向かった場所は生徒会室。
(コンコンコン)
「どうぞ」
(ガチャ…)
「失礼します」
「君は確か…最近来た、トレーナーだね。どうかしたのかな?」
「覚えてもらえて、光栄です」
「私は一度見た顔は忘れなくてね」
トレーナーがたずねたのはトレセン学園の会長、シンボリルドルフ。
「実はある子をこのトレセン学園に入学させたいのですが…」
「ほう…。どうしてだい?」
トレーナーはシンボリルドルフに地方での事、前のトレーナーの事、ハルウララが走るのが嫌いになってしまった事を話した。
「…そうか。それは辛い事だな。その子は今、いるのかい?」
「はい」
トレーナーはハルウララを中に入れた。
「こんにちは」
「こんにちは、私の名前はシンボリルドルフ。君の名前を聞かせてくれるかい?」
「ハルウララ…」
「ハルウララ、良い名前だ…覚えておこう。君を正式にトレセン学園への入学を許可するよ」
「!!…ありがとうございます!」
「少し、席を外しても?」
「あっ、はい」
シンボリルドルフがスマホを取り出す。
「ーーーーか?すぐ来てくれ」
シンボリルドルフがスマホで誰かを呼んでいる様だ。
………しばらくして
(ガチャ!)
「よっ、会長!来たぜ!」
「よく来てくれた、ヒシアマゾン」
「どうしてアタシを呼んだんだ?」
「実はこの子の部屋を準備してもらいたくてね、できるかい?」
「おう!お安いご用だ!」
ヒシアマゾンがスマホを取り出し、どうやら空いている部屋をさがしている様だ。
「空いている部屋…空いている部屋…。あった!なあ、アンタは1人部屋がいいかい?それとも誰かと一緒でも構わないかい?」
「できれば、誰かと一緒の方が良いですね」
「わかった!それじゃあ、私についてきな!」
「行ってきな、ハルウララ」
「…うん」
ハルウララは寮長のヒシアマゾンに連れられ、これから過ごす、部屋へと足をはこんだ。
ー美浦寮ー
ヒシアマゾンが寮長を担当する、美浦寮に着いた。
「よし、ここだよ!これからは好きに使いな!後、困った事はすぐにこのヒシアマ姐さんに頼りなよ!」
「ありがとう…ございます?」
「どういたしまして!それじゃ、アタシはトレーニングの続きがあるから、戻るよ!またね!」
ヒシアマゾンがトレーニング場所へと戻っていった。
(ガチャ…)
ハルウララが部屋を開けると。
「あら…?こんにちは。どうしたの?もしかして、部屋、間違えちゃった?」
「えっと…今日からお世話になります」
「あら、新しい学生さん?」
「うん」
「よろしくね。私の名はキングヘイロー。気軽にキングって呼んで良いわよ」
「わたしはハルウララ、地方から来たの」
「地方から?どこから来たの?」
「北海道から」
「遠くから来たのね。歓迎するわ」
ハルウララはベットに荷物を置き、椅子に腰を掛ける。
「ねえ、ウララさん?」
「?」
「あなたはなんでこのトレセン学園に来たの?」
「勉強するため…?」
ハルウララが悩んだ様子で答えた。
「トレセン学園は色々な事を学べるわよ。例えば…図書館だと、歴史の本とか一杯あるし…それにダンスだって、学べるわ。私がここに来た理由は、この中央で皆に私は一流だと知らしめる事よ!」
「いちりゅう…?」
「そう!つまり、私の実力を認めてもらって、私の名前を中央だけではなく、この世界中にキングの名を知らしめる事よ!」
「すごいね、キングちゃん。夢があって…」
「ウララさんには夢はないの?」
「……1着になる事?」
「あら?あなたの方が私のなんかより、良い夢をお持ちのようね」
「そんな事ないよ」
「そんな事ある!自分の夢に自信を持ちなさい!」
「うん。ねえ…キングちゃん」
「なにかしら?」
「走るのって楽しい…?」
「ええ、楽しいわ…。ウララさんは?」
ハルウララが震える。
「どうしたの、ウララさん?」
「…」
キングヘイローは怯えているハルウララを見て。
(ギュ…)
キングヘイローが手を握る。
「!…キングちゃん?」
「悪かったわ。嫌な事を聞いてしまったようね」
「気にしなくて大丈夫。ありがとう、キングちゃん」
「ええ」
キングヘイローとハルウララはその後、お互いの趣味なんかを話し合ったのだった。
ー生徒会室ー
生徒会室ではシンボリルドルフとトレーナーが話している。
「君には悪いが、ここはトレセン学園だ。走らない選択肢はないと思ってもらいたい。1ヶ月後にデビュー戦がある。ハルウララと同い年の子達がトレセン学園で競いあう。そこにハルウララにも出てもらわなくてはならないのだ」
「それは分かっています。自分もハルウララには走ってほしいですし…」
「彼女にとっては辛い事だろが…仕方ない事なんだ。トレセン学園は勉強はもちろん、レースでも結果を出さないと、この学園には残れない。勉強やレースで結果が悪いとトレセン学園を辞めてもらう事になる。そう何人もの生徒達が辞めていった姿を私は見てきた」
「…ウララには走る楽しさを思い出してほしい。自分ができる事はトレーニングのサポートとレースで応援する事位しかできない…」
「トレーナー君にも頑張ってほしい。私はもう、この学園を辞めていく子を見たくはない…」
「はい!彼女の事は全力でサポートします!」
「頼んだよ、トレーナー君」
………夜
ー美浦寮ー
ハルウララとキングヘイローがベットに横になっている。ハルウララは寝ている。
「うぅ…」
ハルウララがうなされている。
「…」
キングヘイローが寝返り、ハルウララを見つめる。
「走りたくないよぉ…うぅ…」
「(ウララさん…)」
「んん…おトイレ…」
(ガチャ…)
ハルウララが起きて、トイレに向かった。
「(ずいぶんうなされていたわ…地方の方で何かあったのかしら…心配だわ…)」
………しばらくして
(ガチャ…)
「んん…むにゃむにゃ」
(モゾモゾ)
「(えっ!ウララさん!?)」
ハルウララがキングヘイローのベットに入ってきた。
「ウララさん…?」
「すぅ~…」
「(寝るの早くない!?注意すべきかしら…)」
(ギュ…)
「!」
ハルウララがキングの服を掴む
「んん…」
「(…まあ、別に迷惑ではないですから…)」
キングヘイローはハルウララと寝たのであった。
1ヶ月後にはデビュー戦。トレーナーとハルウララはどうするのであろうか…。
(続く)