走るのが嫌いになったハルウララ 「地方でのハルウララ」
ハルウララ金策を見て、こんな感じなのかなと思い、書きました。ハルウララ金策は駄目!絶対!
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「…」
ハルウララは静かにトレーナーの部屋のソファーに腰掛けている。
「ハルウララ…」
「なに…トレーナー?」
「走らないか?」
「!…嫌だ!もう…ウララ、走りたくない!」
ハルウララが怯える。
「…最近、食べてないぞ。ほら、食べて」
(ゴトッ…)
「なにこれ…?」
「お弁当だよ。ウララの好きな物を沢山いれたよ!沢山食べてくれると嬉しい」
(パクパク…)
「うん…おいしい」
「それはよかった」
「…」
「(ウララ…。全部こうなったのもあのトレーナーのせいだ。あんなに走るのが好きだったウララが今では走るのを嫌がってる…)」
前日…
ハルウララがトレセン学園に入る前は北海道の学園にいた。俺は新人トレーナーとして、北海道のレースで何かを学ぼうと思い、飛びたった。ハルウララには俺が担当する前にもう1人トレーナーがいた。そいつはハルウララをレースにだし続けた。負けても、負けても…だし続けた。走る練習も沢山させた、休ませる事もなく…!俺は近くでハルウララの姿を見ていた。彼女の笑顔はどこの誰よりも数倍も輝いて見えた。俺はそんなハルウララの出るレースなどをいつも見ていた。彼女が走りきった後に見せる笑顔は周りを笑顔にしていた。だが、だんだんレースを重ねていく事に彼女の笑顔がなくなっていった…
「走れ!それじゃあ、1着取れねーぞ!」
「はぁ…はぁ…。もう、走りたくない…」
「あっ?」
「もう、走りたくないし!レースにも出たくない!疲れた!ウララ、もう走りたくない!!」
「せっかくスカウトしてやったのに…!なんだ、その態度は!」
「ウララは他の子みたいに1着になりたいの!」
ハルウララが今にも泣きそうな顔で怒った。
「だから、レースにも出させてやってるじゃねーか!黙って、練習を続けろ!この泣き虫!」
「うぅ…休みたいよ…」
ハルウララが泣きながら言う。
「さっさと戻って練習しろってのが聞こえねぇのか!」
「疲れた!」
「いい加減にしろ!オレはお世話係じゃねえんだぞ!明日はレースなんだ!走れ!」
(ビクッ…!)
ハルウララは走った、疲れた体を引きずって…。何時間も、何時間も。それ以降だ…ウララから笑顔がなくなったのは…
「走れ!もっと速くだ!のろま!」
「はぁ……はぁ………」
(…ドサッ)
ハルウララが倒れる。
「起きろ!寝てんじゃねえ!」
男が手に持っている、棒でウララをつつく。
「おい!アンタ何やってんだ!!」
俺は偶然、通りかかった。その光景を見た時には状況はわかった。この時は厳しいトレーナーが居るらしい位の噂しかたっていなかった…早く気づいてれば、ウララは…!
「なんだてめえ!」
「中央のトレーナーだ!アンタは今、何してんかわかってんのか!」
「別に何もしてねえよ!見ればわかんだろ?トレーニングの邪魔だ!消えろ!」
「はぁ…はぁ…」
「これが、トレーニングだって?ふざけるな!こんなにボロボロじゃないか!トレーナーはウマ娘を支えるのが仕事だ!」
「うるせえな!地方には地方のやり方があんだよ!中央と一緒にするな!」
「これが地方のやり方だと?お前だけだ!お前みたいな奴にこの子は任せられない!」
「ああ、そうかよ!そんな奴、邪魔だ!てめえがそいつのトレーナーにでもなったらいいんじゃねえか?」
「邪魔…!だと!」
「ああ!邪魔だ!別にトレーナーなんかやりたかねえんだよ!そいつが勝てば、金が手に入るからやったんだ!なのに、そいつは勝ちもしねえ…。さっさとそいつと消えちまえ!」
(グググ…)
俺は今にも奴を殴り掛かりそうだった。でも、そんな事したら、俺はトレーナーを辞めなきゃいけない事態になるかもしれない。俺は怒りを抑え、ハルウララをひとまず、泊まっている、ホテルに連れて帰った。
「…!」
(バサァ…)
「練習…しなきゃ」
ハルウララが辺りを見渡す。
「ここはどこ?」
「おはよう」
「あなた、だれ?」
ハルウララが怯えた様子で聞く。
「俺は中央のトレーナー。今日から君のトレーナーをやる事になったんだ」
「えっ…?あの人は」
「彼の事は忘れなさい…疲れただろう?寝ていいよ」
「…駄目。練習しないと1着になれない…レースも明日、あるって言ってたし…走らないと」
「ハルウララ…練習は控えて、今日は寝なさい。明日のレースも出なくて大丈夫だよ」
「えっ…」
「ウララ、明日から中央に行かないか?」
「ちゅうおう…?」
「そう、中央」
「中央に行けば。もう、走らなくていいの?」
「えっ…?」
「もう、走りたくない」
きっと、トラウマになってしまったんだ。ハルウララは表情を1つも変えない。俺はハルウララに中央のレースを見せたら、きっと走りたくなるはずだと考え…
「ああ、中央に行こう!ハルウララ!」
「……うん」
ハルウララは承諾してくれた。俺は明日、ハルウララと一緒に中央に飛行機で飛ぶつもりだ。必ず、トラウマを克服させて、ハルウララに走る楽しさをまた、思い出させてみせる!