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[復刻版]初等科地理 単行本(ソフトカバー) – 2021/7/5




出版社より

宮崎正弘

宮崎正弘氏(評論家)

この地理教科書は、昭和十八年から終戦まで小学五、六年生用に使われた。本書は小学生に「地政学」という重要な概念を教養として植え付けようと編集の工夫がなされている。短い文章表現ではあっても適確に、簡潔明瞭に各地の地誌学的要点、その特質を抉り出している。

内地篇では、記述は産業地図の俯瞰が続くかとおもうと、さりげなく源頼朝が幕府に選んだ土地の地政学的重要性を挿入している。なかなかの工夫である。戦略上、河川、橋梁、道路、鉄道、そして発電所は国防上重要なポイントであるが、そうした背景も自然なかたちで表記されている。つまり戦略的発想を植え付ける教育が巧みに施されていたのだ。

戦後の地理教科書で「国防上非常に大切なところ」という記述にお目にかかったことはない。いや、文科省の教科書検定官はこういう記述を不合格の口実にしかねないほど現代の文部行政は怪しくなっている。

外地篇では西欧列強の植民地支配の残酷さ、その桎梏を取り払った日本の勇敢さと今後の使命が語られている。これらの地域の殆どを筆者は取材した経験があり、端的に戦略的資源分布を、戦時中の教科書がしっかり教えていたことに驚きを禁じ得ない。

読めば読むほどに味が深く、しかも当時の小学生は、これほど高いレベルの地理教育を受けていたのかと感動を深くした。

矢作直樹

『初等科地理』について

本書は、昭和18年度から終戦まで国民学校初等科5年、6年で使用された教科書『初等科地理』上下巻の合本で、当時の小学校における地理教育の、驚くべきレベルの高さを示す内容となっている。上巻では日本地理、下巻では大東亜の地理を扱う(それ以外の地域は高等科、中等学校で学習予定)。

日本地理では、日本本土を一般的な八地方に区分するのではなく、独創的な、より共通性のある地理区分が採用されている。本書には、戦後75年以上が経過して日本の各地域がどう変化したかを理解できる、郷土史料的な側面もある。当時日本だった朝鮮、台湾、南樺太、千島列島、関東州、南洋群島の地理が詳述されていることも、戦後世代にとって興味深い点であろう。

地政学的な視点も取り入れられており、戦略的要衝であることを指摘した記述が随所に見られる。戦跡地が紹介されているのも本書の特徴で、日本地理では桶狭間、関原、屋島、川中島の戦い等、大東亜の地理では、旅順、奉天、上海、南京、徐州、真珠湾、昭南島、香港、コレヒドール、ミッドウェー、マレー沖、スラバヤ沖、バタビア沖、珊瑚海、ソロモン海の戦い等が取り上げられている。大東亜各地での欧米列強による植民地支配について触れている点も、今の小学校の教科書と大きく異なる点である。

世界に住む日本人
南洋群島
チベット

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ ハート出版; 復刻版 (2021/7/5)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2021/7/5
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 240ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 480240123X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4802401234

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