最初にまとめ
- 担当者は個人として商標法違反の可能性、示談が成立すれば減刑か回避。
(「侵害した」と認められた場合、第78条/10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれらの併科。「侵害したとみなされる行為をした」と認められた場合、第78条の二/5年以下の懲役または500万円以下の罰金)
- 法人としては商標法違反の可能性、示談が成立すれば減刑か回避。
(第82条の一/3億円以下の罰金)- 商標法は非親告罪なので、民事では許されても、警察に通報されて刑事事件として追求される可能性があります。
- 「可能性」とついているのは、犯罪は成立しているものの、民事裁判を起こすかは神戸肉流通推進協議会、刑事事件として扱うかは警察・検察が決めることだからです。
- 株式会社C2プレパラートはお店を出店したり、メニューを作る前に、他人の商標を侵害していないか確かめましょう。
別に商売をするなとは言わないので、やらないといけないことはやりましょう。
- 後付けで了承を得ても、既に行った犯行は消えません。
きっかけ
神戸牛は偽物が横行してるので
本物を証明する生産者・卸売り・飲食店などを明記した
神戸肉流通推進協会にカレー機関の名前が載っていないのです
この情報は食品表示法違反をも上回る勢いで大騒ぎとなった。
なぜならば、神戸牛はブランド品であり、商標登録されているものである。
正規品を使っていないのか、協議会が知らない無許可営業・商標侵害なのか。
ツッコミどころが満載である。
さらに商標法違反となれば刑事事件である。
侵害した相手に謝って民事で許されても、刑事事件で追求される可能性があるのだ。
重要な論点は二つ。
- 使用している牛は確かに神戸牛なのか?
- 協議会に許諾を受けたうえで営業をしているのか?
このあたりの当時の様子は、
21夏~秋 のページにまとめられているので確認してほしい。
神戸ビーフ(以下、神戸牛と記載)とは
その歴史やなりたちを説明すると長くなってしまうので、詳しい話は別サイトに任せる。
神戸ビーフは世界的ブランドのため、その名声に便乗しようとする偽物が多く出回った時期があったため、現在はそれらを管理する団体が取扱事業者をリストしている。
また、繁殖農家・生産農家という上流から販売先という下流まで、また枝肉の一部を海外のどこに出荷したまでも記録している。
品質を保ち、模倣品の排除やブランド価値を守るため、商標登録されているほか、生産者はGI法で厳しく監視・保護されている。
カレー機関と神戸牛
4thの時、ある利用者がトレーサビリティ番号を控えており、その時の番号は【1568313557】だった。
この番号は元々このwikiに記載されていたものであったが、
田中謙介による削除要請にatwikiが応じたために削除されていた。
もしまだ肉を使い切っていないのであれば、以下のサイトでその肉の状況をトレースすることができる。
使い切ったのならば、新しい神戸牛を購入しているだろう。
先述の通り、管理団体が取扱事業者をリストしている。
しかし、それを見ると「カレー機関」の名前がない。
これはどういうことだろうか。
やはり協議会はカレー機関が神戸牛のメニューを作り、料理を提供していることを知らないのだろうか。
料理提供開始からまもなく1年経とうとしているのに。
SNSと有志による追及
その識別番号は本wikiにあった番号と同じであり、「半年も前に購入した肉を今も冷凍して使い続けているのか?」という疑問こそ残るものの、一応肉そのものに問題はなかったとして早々に決着した。
カレー機関で提供されたとされる個体識別番号の牛からは少なくとも300kgの肉が取れる(去勢雄牛なので)
海外に輸出された92.6kgの残りの207.4kg以上は国内で流通したと思われる
2020年2月17日に姫路の施設で屠畜
2020年3月3日に92.6kgがモナコの食肉取引企業のオランダの拠点へ輸出された
2020年3月10日に焼肉の牛太で加工された(量不明)
2020年3月26日に焼肉の牛太で加工された(量不明)
2020年7月8日にカレー機関4thSequenceで提供された神戸牛ザブトンステーキに使われた模様(ツイートより)
個体識別番号のトレースからはこれだけしかわからない
最後のは企業とかが公式に出してる情報じゃないから正確じゃないかもしれない
神戸牛を提供する店だと宣伝するには神戸肉流通推進協議会の指定登録が必要だけどカレー機関は登録されていない
勝手に神戸牛を名乗ると商標法違反になる
http://www.kobe-niku.jp/contents/about/trademark.html
商標権又は専用使用権を侵害した者(第三十七条又は第六十七条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 (商標法 第七十八条:侵害の罪)
※総務省「e-Gov 法令検索」『商標法』より転載
肉が本物かどうかよりも勝手に商標使ってる方がまずそう
残るは商標の無断使用問題となる。
「神戸牛」が商標登録されているため、「神戸牛」を騙った料理・商品を勝手に作って販売すれば商標違反となる。
カレー機関の対応
神戸牛の証明書を持ってきたとのこと。
つまり今まで神戸牛と謳いはするが、証明を掲示せずに販売していたということだ。
店内掲示したのはwikiにも掲載された最初だけだったということがまた一つ判明した。
だが、すでにその話題は終わり、焦点は商標問題に移っているため、それを証明しても問題解決には役に立たない。
免許見せろって言ってるのに車検証見せられてる感じなので困惑するしかない。
職務質問をして「運転免許証を見せて」と言った警察官は目が点であろう。
ディーラーで車を買って、その時のディーラーの車検が有効だからといって、だからどうしたという話である。
一体何の目的があるのか、「カレー機関」の追加メニューで提供している神戸牛が偽装だ…と明快な根拠なくネット上で拡散しているある種の人達がいるという報告を受けました。安心してください、カレー機関の神戸牛は正しい生産者さんが育て、正しい卸先さんから卸して頂いている正真正銘の神戸牛です。
それは知ってる。
半年前の肉を使い続けているのか、新たに購入しているのかどうかは知らないけど。
「カレー機関」が神戸牛を仕入れている卸先さんは登録済の問題ない卸先である事を神戸牛流通推進協議会さんに確認して頂いています。また、カレー機関の店舗自身も同登録のお話を直接進めています。生産者さん&個体識別番号も、店頭にわかりやすく掲示!安心して美味しいお肉と料理をご賞味ください!
『カレー機関の店舗自身も同登録のお話を直接進めています』……?
商標登録されている以上、先に話を付けておかなければ商標違反行為になるのだが、なんで今から行うのか?
『一体何の目的があるのか、』と被害者面で話をしているが、客観的に見るとこうなる。
- 卸業者から神戸牛の肉を購入していた
- それを店で調理して売っていた
- 無許可だったので、神戸牛の商標を違反している件は、今対応をしているところ
順番が違う。
自分たちの非を認めたくないのだろうか。
何が問題だったのか
4thから追加されたメニュー「神戸牛ザブトンステーキ」「神戸牛リブロースステーキ」「神戸牛メンチカツ」には、全て“神戸牛”という名前が入っている。
“神戸牛”が一般名称であればこれでも良いのだが、残念ながら一般名称ではなく登録商標であり、固有名称である。
「神戸牛が偽装だ…と明快な根拠なくネット上で拡散している~」は、一番最初に提示した論点1の「本物かどうか」の解である。これはいい。
「カレー機関の店舗自身も同登録のお話を直接進めています」ということは、許諾を得ていないのである。これが論点2の解。これがまずい。
聡明な方は気づいているだろうが、株式会社C2プレパラートおよびカレー機関はこの段階で詰みなのである。
- “神戸牛”のブランド名を入れた商品を作り、無許可で神戸牛を調理して売っていた
=商標侵害
- “神戸牛”のブランド名を入れた商品を作り、無許可で神戸牛ではない別の牛肉を調理して売っていた
=商標侵害+優良誤認表示
どう転んでも商標侵害は成立している。
C2プレパラート主張する「正真正銘の神戸牛です」は関係ない。
“神戸牛”を仕入れて、神戸牛を協議会に無許可で調理して販売したこと、これが本質である。
たとえ肉が本物だとしても、肝心の肉を利用する権利がなかったのが問題なのだ。
どうすればよかったのか
メニュー及び運営に関して
以下の対策のうち、どちらか一方をしていればよかった話。
- “神戸牛”は商標登録されているのだから、きちんと利用の手続きを行えばよかった。
- “神戸牛”という固有名称をメニューに使わなければ良かった。
例:『国産黒毛和種ザブトンステーキ』『国産黒毛和種リブロースステーキ』『国産黒毛和種メンチカツ』
(「仕入れの状況によって、牛種が異なる場合がございます。申し訳ございませんが、予めご了承ください」などもつけておけば、なお理想的といえる。仮に神戸牛が手に入らない状況になっても対応できる)
顧客に対して
正規の手続きを踏んでいなかったことを顧客および協議会に謝罪し、そのうえで今後は適切な許可を受けて営業すると報告をするだけで良かった。
これまで神戸牛を提供していたことは間違いないのだから、品質と安心・安全をアピールしても良い。
自分たちに非がある件の報告なのだから、下手に出なければならないのは会社員なら誰でもわかるだろう。
少なくとも、被害者面で逆ギレしながら無断使用の事実を認めつつ、正規品を強調することで自身の商標無断使用を覆い隠し、自己正当化に終始しているのは悪い見本である。
なんだろう、被害者面するのやめてもらっていいですか
よくある反論に対する答え
卸業者から神戸牛の名前の使用許可を得たものを使っているのだから法律的にセーフ
商標侵害についての反論になっていません。
利用目的を伝えずに購入していた可能性もありますね。
例えば社内旅行のバーベキューのために購入したと思われていたとか。
他のホテルのレストランもHPのリストに載ってないからセーフ
よそはよそ、うちはうち。
勿論、侵害をしているお店はいけませんが、だからといって自分も侵害してよいわけではありません。
催事や期間限定メニューで出すなら「神戸牛」の名称使用のための登録は必要ない
たしかに、一時的な利用の許可を得れば、リストへの登録は必要ないかもしれない。
でも商標利用の許可を得ていないのは話が別である。
「カレー機関の店舗自身も同登録のお話を直接進めています」という言葉が出てくるということは、これまで許諾を得ていなかったと考えるのが妥当。
もし得ているのなら「カレー機関は開店する毎に一時的な許諾を得ていますが、より分かりやすくします!」と書くだろう。
ただ、1年近く提供し続けている飲食店の定番メニューだというのに、『これは催事だから』いう主張は難しくないだろうか。
商標法において、「地域名」と「商品(役務)名」の組合せが商品(役務)の産地名表示や原材料表示として用いられている場合には商標権侵害とならない
食品の原材料名として使用する分には商標権侵害ではないのは事実である。
ただし、今回は料理のメニュー、レシートでも使用しているのだ。
タカラ本みりん事件(東京高裁H13.5.29)
「被告各標章における「タカラ本みりん入り」の表示部分は,専ら被告商品に「タカラ本みりん」が原料ないし素材として入っていることを示す記述的表示であると解すべきであるから,被告が「タカラ本みりん入り」の表示部分を含む被告各標章を付して被告商品を販売する行為は,不正競争防止法2条1項1号所定の商品表示等を使用する行為に該当しない。」
自社商品のために他社の商標を表示するのであっても、それが商品の一般的な名称、産地、品質、原材料などを普通に表示するのにすぎないのであれば、商標法26条1項2号により商標権侵害にあたらない。
今回は原材料名ではなくメニュー、レシートにもしっかり“神戸牛”と固有名称を使用しており、これは一般名称・慣用名称ではないので、この判例を持ち出すのは適切ではないし、商標法26条をもって無罪と言い切るのは無理があると考える。
ゴールポストを動かして批判をしたいだけ
勘違いしないでいただきたいのですが、ゴールポストは最初から2つです。
『本物の神戸牛を使用しているのか』『正規の許諾を得ているのか』です。
店内に、その日に使用している神戸牛の番号と、協議会へ事前に連絡して得た許諾証を掲示していれば、こんな大事にはなりませんでした。
「他の店ではそこまでしていないのに、なぜこの店だけ批判するのか」と言いたいかもしれません。
それはこの店の信用が低いから、運営会社の(株)C2プレパラートの顧客満足度が低いことが非常に大きな要因であります。
食品衛生責任者などを掲示していないか、ほとんどの方が気づかない場所に掲示するといった、店に関する様々な情報を隠そうとする姿勢もマイナス要因です。
催事扱いなら認める。そのジャッジをするのは協議会であって、アンチではない
それは確かにそうである。
ただ、商標権侵害は非親告罪なので、普通に警察に通報する案件で、刑事事件である。
「これは問題があるのではないでしょうか?」と通報するのは、市民の当然の行為であり、それを批判するような行為はおかしい。
今回の件が問題があるかどうかを追求する法的権利を持つのは警察と検察であり、罪を認定できるのは裁判所である。
協議会としては示談をするかしないかは決められる。
商標侵害された件に関して民事裁判を起こすかどうかは決めることができる。
しかし、刑事事件の方は「協議会が無罪と決めたので、今回の件は無罪でOK!」とはできないのである。
裁判中に「示談が成立している」として、情状酌量が認められるかもしれないので、協議会と友好的な関係を保つことは重要だろう。
本件に関する確認・通報先
最終更新:2021年07月17日 23:00