木製ジャングルジムが燃えた現場付近を検証する警視庁の捜査員ら=2016年11月7日、東京都新宿区

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 明治神宮外苑のイベント会場で2016年、展示物の木製ジャングルジムが燃えて男児=当時(5)=が死亡した火災で、内部に白熱灯を放置したなどとして重過失致死傷罪に問われた当時大学生だった24歳と23歳の男2人の判決が13日、東京地裁であり、下津健司裁判長は「わずかな注意を払えば火災を十分予見できた」としていずれも禁錮10月、執行猶予3年(求刑禁錮1年)を言い渡した。

 下津裁判長は、展示物に取り付けられた多量の木くずが白熱灯に接触して発火したと認定。2人は作業中、白熱灯が高熱だったことなどを認識することで火災を予見できたほか、白熱灯をつけたまま内部に放置しないという注意義務を怠る重大な過失があったとし、発火は予見できず過失はないとした弁護側の主張を退けた。

 その上で、突然炎に包まれた男児の恐怖や、両親の悲痛な心情は察するに余りあると指摘。一方、大学の教員らから適切な指導はなく、「2人のみを強く非難するのは相当ではない」などとして執行猶予が相当とした。

 2人は当時未成年で、展示物を制作した日本工業大(埼玉県)の1年生だった。

 男児の両親は判決後、「多くの方々にやっと一つ報告ができることに安堵(あんど)している」とのコメントを出した。元学生に対しては「当時の行動を反省し、事故に対して真摯(しんし)に向き合ってほしい」とした。

 判決によると、2人は16年11月6日午後4時40分ごろ、展示物のジャングルジムの内部に白熱灯を放置。同5時15分ごろ、熱で出火させ、中にいた男児を死亡させたほか、助けようとした男児の父親に重傷を負わせた。