現代の戦闘機の心臓部ともいえるソフトウェアの開発について、前出の防衛省関係者は「意外なことに順調に進みそう」という。
これは怪我の功名というほかない。1980年代、F2戦闘機を日米で共同開発した際、米議会はソフトウェアの飛行制御プログラムについて、「戦闘機の製造技術が日本に移転され、米国の航空機産業が脅かされる」として日本への提供に反対した。
これを受けて、米政府は事前に約束していたにもかかわらず、飛行制御プログラムを提供しなかった。共同開発を押しつけながらの手のひら返し。「日米同盟」を信奉する政治家や官僚は、このときの米国の自己チューぶりを忘れてはならない。
この結果、独自に飛行制御プログラムを開発する必要が生まれ、F2の開発費は当初見込んだ1650億円の2倍近い3270億円に膨れ上がった。
日本で開発したことにより、解析も改修も許されないブラック・ボックス化された米国製のプログラムと異なり、F2戦闘機の運用を通じて何度も改修されて今日に至っている。蓄積された技術を次期戦闘機に転用し、さらに発展させようというのだ。
重要なのはプログラムだけではない。
レーダーやミサイルを統合運用するミッション・システムやステルス性と運動性能の両立などは日本単独では構築できず、航空自衛隊も導入したステルス機のF35戦闘機を開発・生産している米ロッキード・マーチンの支援を受けることになった。
唯一無二の戦闘機技術を持つロッキード・マーチンを取り込んだことも開発費を押し上げる要因のひとつになっている。
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