国土交通省は、コネクテッドカーの普及が本格化しているのに対応して車載通信装置の標準化に乗り出す。地震や洪水などの大規模災害発生時に車載通信装置を活用して危険や避難情報を一斉に配信するなど、自動車で避難する人の安全を確保することが狙い。自動車の安全や環境に関する技術基準を世界で統一する国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)を通じて通信装置の国際標準化を推進していく。車載通信装置をめぐっては、トヨタ自動車が提携先のメーカーと今年4月に次世代通信システムを共通化することで合意している。
台風による洪水や地震などの大規模な災害発生時、自動車で避難する人々が少なくないものの、自動車でかえって危険な区域に接近するケースも多い。東日本大震災では自動車で避難した人が全体の6割を占めたが、そのうちの3割の避難者が津波の情報を把握していなかったとされる。国交省では、車載通信装置を搭載し、インターネットを通じて自動車が車外とやり取りできるコネクテッドカ―の普及が本格化していることから、自動車の被災防止に活用する。
コネクテッド技術を実現する車載通信装置は、自動車メーカーが独自のものを設定している。災害発生時、危険な区域や避難エリアを一斉発信するため、車載通信装置の通信規格や性能などを標準化する。車載通信装置の標準化によって車車間・路車間通信にも活用できる範囲が広がる。
日本の自動車メーカーの国際的な競争力強化に向けて車載通信装置の国際基準化も図る。WP29では今後、コネクテッドカ―の国際基準策定に向けた議論が始まる可能性があることから、国交省は国際標準化の議論を主導していく方針だ。
トヨタは今年4月、完全子会社のダイハツ工業や資本提携しているスズキ、スバル、マツダと次世代車載通信装置の技術仕様を共同開発するとともに、通信システムの共通化することで合意した。通信品質の改善を図るとともに、アライアンスでリソースの最適化を図るのが目的。
国交省が今後推進する車載通信機の基準づくりにも影響しそうだ。