(台北中央社)行政院(内閣)の羅秉成(らへいせい)報道官は12日、台湾積体電路製造(TSMC)と鴻海(ホンハイ)精密工業、鴻海創業者の郭台銘(テリー・ゴウ)氏が設立した慈善団体がドイツ・ビオンテック製の新型コロナウイルスワクチン計1000万回分を購入する契約を中国の医薬品大手、上海復星医薬の香港子会社と結んだと発表した。購入分は全て政府に寄贈される。政府は先月、TSMCと鴻海に対し、政府に代わって調達交渉を行うことを認めていた。
ビオンテックのワクチン調達を巡っては、政府が同社と交渉を進めていたが、最終段階で頓挫した。蔡英文(さいえいぶん)総統は5月下旬、「中国の介入」があったと明らかにした。上海復星医薬は中国、香港、マカオ、台湾でビオンテックのコロナワクチンを独占的に販売する権利を有している。蔡総統は先月18 日、TSMCと鴻海が政府の代わりにワクチンの購入交渉を進めることに関し、三者会談で「メーカー製造、メーカー包装、台湾に直送」の共通認識で合意していた。
TSMCと鴻海は各500万回分ずつワクチンを購入し、政府に寄贈する。両社によれば、調達したワクチンは早ければ9月末にも台湾に順次届く見通し。
羅報道官は12日午前の記者会見で、TSMCと鴻海が構築した官民協力のモデルによって、わずか半月で極めて重要な進展を遂げられたとして感謝を述べた。
(陳俊華/編集:名切千絵)