PCR検査の真実 2021.2.5
昨年の9月にむやみにPCR検査はするものではないことをtopicsに掲載しました。その後色々なことが分かってきたので、再度取り上げてみます。まず、PCR検査はコロナウイルスの特定の部位を増幅させて存在するかどうかを明らかにするものです。そこで昨年10月に日本感染症学会から発表された内容等を転載してご説明したいと思います。
OVID-19に感染した場合の経過です。鼻咽頭のPCR検査は必ずしも感染性があるウイルスが存在することを示していません。後述するようにPCR検査で増幅する回数を示したCt値により陽性か陰性かが変わるものです。Ct値が多いほどより鋭敏にウイルスを感知することができます。ちなみに日本でのCt値は40、台湾でのCt値は35と設定されていますが、民間の誰でも検査が受けられるところでは45に設定されていることもあります。従って閾値をCt値45で設定すると3-4週間後でもこの図のように陽性となってしまいます。いったん陰性であったものが再度陽性になったと報道される中にはこのようなCt値の設定に関係したものがあるかもしれません。あらためてPCR陽性者は感染者でないことを強調したいと思います。
さて図2はウイルス量と逆相関にあるCt値の発症日からの推移です。この報告ではCt値が発症日に平均21.8であったものが、発症後9日になると平均30.1になり、ウイルス量が減っていくことが示されています。図3ではウイルス分離陽性率とCt値および発症からの日数の関係が示されています。この図は発症後10日が経過し、Ct値が35以上になるととウイルス量がほとんど0となり、患者さんは感染性を持たなくなることが示されています。以前は症状がなくなりPCR検査が2度陰性にならないと退院したり、社会復帰ができなかったものが、発症後10日以降で症状が無いものは良しとなったのはこのような背景があるからです。一方PCR検査Ct値25以下では感染力のあるウイルスを放出していると考えてよいと思われます。
図4はCt値40とCt値35で、PCR検査を行った場合にどういう時期に陽性となるかを示したものです。新型コロナウイルス感染をすると、数時間でウイルスは何万倍にもなるので、Ct値40でPCR検査を行っても、Ct値35で検査を行っても、正確に検体が採取できれば、感染初期の患者を見逃す確率はほぼ同じです。
このように新型コロナウイルスを極度に恐れていた時には、PCR検査で偽陰性が無いようにしていたため、現在では感染者を過剰にカウントしていると考えられます。有症状者のPCR検査は迅速に行わなければなりませんが、無症状でCt値が35以上のPCR検査陽性者の濃厚接触者に対するPCR検査を積極的に行う必要はないと考えられます。ましてや広島市長が提案するような全市民対象のPCR検査はパニックと医療崩壊を引き起こしかねません。