米国ニューメキシコ州の宇宙旅行専用港(スペースポートアメリカ)から出発する合計約2時間の宇宙旅行です。 専門用語では、「弾道宇宙飛行」(英語ではSuborbital Space Flight)と呼ばれ、宇宙空間(高度100キロを超える空間)に到達し約4分間滞在、無重力体験と眼下に広がる真っ青な地球の姿を楽しんでいただくというプログラムです。宇宙に行くのは8名乗り(乗客6名+パイロット2名)の宇宙船「スペースシップ2」です。この宇宙船は、宇宙港出発時は、母船となる航空機「ホワイトナイト2」の胴体の下に取り付けられ離陸しますが、高度1万5千メートルで空中発射され、ロケットエンジンにより一気に宇宙空間に向かいます。宇宙滞在を楽しんだ後は、大気圏に再突入し、グライダー飛行で元の宇宙港に戻ってきます。以下の行程図も参照ください。
2014年10月31日(土)米国カリフォルニア州モハベでの宇宙船「スペースシップ2」の55回目(ロケット噴射飛行としては4回目)のテスト飛行において墜落死傷事故が発生しました。実際には、高度約1万4千メートルで、宇宙船「スペースシップ2」が母船より切り離され、ロケットの点火の約13秒後に異常が発生、機体の一部が損傷し、モハベ市の32キロ北東に墜落をしました。2名の操縦士が搭乗していましたが、副操縦士はこの墜落で不幸にも死亡、正操縦士はパラシュートで脱出しましたが重傷で病院に搬送されました。 米国の国家運輸安全委員会(以下NTSB)は翌日には専門の調査チームを現場に派遣し、現地調査およびその後事故原因の究明調査が開始されました。ヴァージングループのリチャードブランソン会長は翌日現地にてNTSBへの調査に全面協力し事故原因を徹底究明することを明らかにし、同時に宇宙船開発を諦めることはしないことを表明しました。
その後、約9ヶ月に渡る調査が終了し、NTSBは2015年7月28日に今回の事故原因が副操縦士の人為ミスにより本来より早い段階で尾翼操作(フェザリング)が行われたため、機体が分解し墜落したことを明らかにしました。同時に米国連邦航空局(以下FAA)の認可行政や宇宙船の製造会社であるスケールドコンポジット社に対して10項目に渡る改善勧告も公表されました。ヴァージンギャラクティック社は以上の結果を受け、多くの契約済みお客様の圧倒的な事業継続への賛意も背景に,宇宙旅行事業の継続の意思をさらに固めました。2016年2月19日には改良も施された2機目の新しい宇宙船「VSS(Virgin Space ship)Unity」を公開しました。今後、テスト飛行の段階に再度戻り、FAAの商業飛行の正式な認可を取得した後、世界初の商業宇宙旅行を開始する流れとなります。