奴隷解放記念日、米国の新たな祝日に BLM運動が契機
米国で黒人奴隷制度の廃止が告げられたことから「奴隷解放記念日」とされる6月19日について、バイデン米大統領は17日、連邦の祝日とする法案に署名した。米国で連邦の祝日が新たに設けられるのは38年ぶり。
米国では、6月19日は英語の「ジューンナインティーンス」を省略して「ジューンティーンス」と呼ばれている。1863年にリンカーン大統領が奴隷解放宣言をした後、南部テキサス州で最後まで解放されていなかった奴隷の人たちにようやく制度廃止が告げられたのが1865年の6月19日だった。
昨年、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に首を圧迫されて死亡した事件を機に、「ブラック・ライブズ・マター」(BLM)運動が広がり、この日を連邦の祝日にするよう求める声が高まっていた。議会上院と下院はそれぞれ今月に法案を可決していた。
バイデン氏は17日、「ジューンティーンスは記念日となるだけでなく、米国社会で公平な競争をもたらす取り組みを続けることを意味している」と語った後、法案に署名した。(ワシントン=合田禄)
- 鵜飼啓朝日新聞オピニオン編集長代理=国際2021年06月18日11時51分 投稿
【解説】この「ジューンティーンス」、黒人コミュニティーの中で長年祝われていたものの、昨年まではアメリカ社会でも一般的にはあまり知られていませんでした。今回の署名式には、テキサス州に住む94歳のオパール・リーさんが参加していました。リーさんの一家は幼い頃からジューンティーンスを祝っていたのですが、12歳のときに白人の暴徒によって家が燃やされたそうです。教育者でもあったリーさんは「歴史から学ぶことが大切だ」と訴え、ジューンティーンスを祝日にするよう運動を続けていました。「祝日にすることでこの日が持つ力を感じてほしい」とする一方で「奴隷解放で公平の約束が守られたわけではない。始まりに過ぎなかったのだ」と語ったバイデン大統領の言葉が心に響きました。…続きを読む