自宅アパートで無職の夫(36)に向けボーガンで撃ち、さらに包丁で切りつけて殺そうとしたとして、兵庫県警兵庫署は26日、殺人未遂の疑いで、無職・樽井未希容疑者(33)=神戸市兵庫区=を現行犯逮捕した。夫は首を切りつけられて病院に運ばれたが、命に別条はない。
樽井容疑者は「ボーガンを撃って、刺したことは間違いない」と容疑を認めているという。
逮捕容疑は26日午前5時50分ごろ、自宅のアパートの寝室で寝ていた夫の首を包丁で切りつけた疑い。樽井容疑者はボーガンを撃った後、切りつけたとみられる。同署は夫に実際に矢が当たったかどうかを調べているが、夫は「矢が頭をかすめた」と話しているという。
同署によると、目を覚ました夫が包丁を取り上げると、樽井容疑者が「夫を包丁で刺した」と110番した。同容疑者は夫のほか小学生と未就学児の子供2人との4人暮らし。同署は今後、ボーガンを入手した時期や経緯を調べる。
兵庫県では6月、宝塚市の住宅で4人がボーガンで撃たれて死傷する事件が発生したばかり。県は所有者に住所や氏名などの届け出を義務化し、違反者には罰則を科すなどの規制条例の制定を目指している。ボーガンは殺傷能力があるが銃刀法の対象外で、成人所持の規制はない。
◆犯行にボーガンが使用された主な事件
▼2013年3月 川崎市宮前区のアパートで母親の遺体を切断したとして長男を逮捕。その後、殺人容疑で再逮捕され、母親の頭をボーガンで撃ったことが判明
▼15年4月 茨城県取手市の路上で自転車で通りかかった男性がボーガンで撃たれ、右脚を矢が貫通。後に無職の男が殺人未遂容疑で逮捕
▼同8月 愛知県武豊町の県営住宅の敷地内で、新聞配達員がボーガンで撃たれたり刃物で刺されたりして重傷。後に元同僚の男を殺人未遂容疑で逮捕
▼19年5月 北海道日高町で、介護職員の男が自宅で医師の父の頭を狙いボーガンを発射し、殺人未遂容疑で逮捕。矢は父の下唇を貫通したが命に別条はなかった
▼20年6月 兵庫県宝塚市で無職の男が自宅で母と祖母と弟の3人をボーガンで撃ち殺害。首を撃たれた伯母が近所に助けを求めたことにより、殺人未遂容疑で現行犯逮捕