『俺たちの勲章』最終回(わかれ)について
久しぶりに1975年製作の刑事ドラマ『俺たちの勲章』の最終回を観ました。
松田優作(中野祐二)と中村雅俊(五十嵐貴久)の魅力全開と言う感じの出来映えです。
この最終回はごく普通に始まるのですが、ストーリーはだんだん悲壮な形になっていき、エンディングは主役二人の挫折という形で終わります。
松田優作と中村雅俊は負傷した状態で大きな橋の上で互いのタバコに火をつけ合って別れます。
中村雅俊は、刑事という仕事を辞めていずことなく去って行きます。
挿入歌「いつか街で会ったなら」が流れる中、列車の窓から顔を出してどこかへ旅する中村雅俊が映し出されます。
その後、片田舎の警察に左遷が決まった松田優作が、射撃訓練場で狂ったように笑いながら拳銃を撃ちまくります。
この『俺たちの勲章』は狂ったように笑いころげる松田優作の顔を写したままエンディングとなります。
あの松田優作の笑いは何を表現しているのでしょうか。
おそらく自分の、そして中村雅俊と二人の青春が挫折してしまったことへの極限の悲しみを表現しているのだと思います。
このように『俺たちの勲章』というドラマは挫折というアンハッピーな形で終わるのですが、これが逆に二人の主役を忘れ難いものにしているのではないかと思います。
我々視聴者にとっては、刑事を辞めた中村雅俊は今後どのように生きていくのだろうか。
そして、田舎の警察に左遷された松田優作は今後どのような人生を歩むのか。
という問いが永遠に残るのです。
この最終回で刑事を辞めることになった中村雅俊に警察署の事務員をしている坂口良子(雪子)が恋心を吐露します。
坂口良子 「辞めてどうするの?」
中村雅俊 「わかんない」
坂口良子 「田舎に帰っちゃうの?」
中村雅俊 「わかんない」
坂口良子 「またこの街に戻って来る?」
中村雅俊 「わかんない」
坂口良子 「帰ってきてください。もう一度。私、私それまでどこにも行きません。」
中村雅俊「・・・・・・」
どこか山のほうの警察に左遷される松田優作は例の恋人(鹿間マリ)と別れるんですね。
デートの場所で恋人(鹿間マリ)が待っていても松田優作が現れないのですが、鹿間マリはセリフのない演技で見事に別れを表現しています。
次のシーンで松田優作は恋人の写真を握り潰して捨ててしまうのです。
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赤い大きな橋の上での松田優作と中村雅俊の別れのセリフ。
松田優作 「これからどうするんだ」
中村雅俊 「・・・・・」
松田優作 「まさか刑事はやらんだろうな」
中村雅俊 「そうすね」
松田優作 「どこか他所へ行くのか」
中村雅俊 「とにかくここを出ます」
松田優作 「元気でやれや」
中村雅俊 「中野さんも」
ふたりは互いにタバコに火をつけ合って、左右に分かれて去って行きます。
『いつか街で会ったなら』が流れるなか列車の窓から茫然とした表情をのぞかせている中村雅俊と射撃訓練場で狂ったように笑いこけながら拳銃を撃ちまくる松田優作が映し出されます。
その松田優作の姿は中村雅俊や恋人との別れと自らの青春の挫折に必死に耐えているかのようでした。
ボクはリアルタイムだった1975年当時、このドラマには本当にハマっていました。
あの頃、雑誌の裏表紙などによく通信販売の広告が載っていました。
そういう通信販売に米軍の認識票にローマ字を打ち込んで送ってくれるというのがあったんです。
ボクはその認識票にこの『俺たちの勲章』の松田優作と中村雅俊の役名を打ち込んでもらったことがあります。
『俺たちの勲章』のレコードはステレオでよく聴きました。
挿入歌の『いつか街で会ったなら』も歌詞・メロディーともに最高の曲でよく聴いていました。
ボクにとっては松田優作というとこの『俺たちの勲章』ですね。
松田優作がタバコを吸うシーンが多いですが、現在ならNGですかね。
昔の作品はその当時の基準で観ていいのではないでしょうか。
ボクはそういうシーンも懐かしく感じます。
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