前回は、親指の付け根の痛みについて書きました。
今回は、ベンチプレスで痛めやすい場所の
肩の前側の「上腕二頭筋長頭腱の痛み」について書いていきたいと思います。
ベンチプレス動作で、
・脇も開いていない
・肩甲骨もしっかり下方回旋してる
・胸椎も伸展しアーチを作れている
・無理な重量を上げている覚えも無い
・・・なのに、
・肩が(特にボトムポジションで)痛む!
・肩の前側が「コリっ」と鳴る
という方は、
「上腕二頭筋長頭腱」を痛めている可能性
があり、それがフォーム由来であれば、これからの解説で負担を減らすことができます!
それでは見ていきましょう!!
〜目次〜
- ベンチプレスで痛みがでる、肩の前側の「上腕二頭筋長頭腱」とは?
- 「上腕二頭筋長頭腱」に強い負荷がかかるベンチプレスのフォーム
- 「上腕二頭筋長頭腱」を痛めないベンチプレスの「肘のロック」とフォームの修正方法
- ベンチプレス「上腕二頭筋長頭腱」の痛み まとめ
ベンチプレスで痛みがでる、肩の前側の「上腕二頭筋長頭腱」とは?
まずは上腕二頭筋長頭腱について少し説明をしていきます。
上腕二頭筋は「肘を曲げる」「肩を挙げる」で知られていますが、肩の前側〜肘の前面に筋肉がついています。
肩の前側の部分は「腱」といった筋肉と骨を繋ぐ「ヒモ」のような形になっています。
この「腱」の部分は、非常に不安定な場所を通っていて負荷のかかりやすい構造になっています。
画像で見ていきましょう
青色の筋肉が上腕二頭筋長頭で、上のヒモ状の部分が「腱」です。
左側の画像のように、骨と骨の間の「くぼみ」を通過しています。
右側の画像では、その「くぼみ」の上から靱帯が覆い被さり、「くぼみ」に押さえつけるような形で安定感を上げています。
何も無い状態では、靱帯の制御で十分です。
ただ、特定動作で
上腕二頭筋長頭腱は、靱帯の抑えに抵抗し、くぼみから逸脱しようとします。
いわゆる「脱臼」する力が働きます。
「脱臼」しようとする力が、繰り返し高負荷でかかることで「上腕二頭筋長頭腱」の怪我につながります。
では、危険な動きを見ていきましょう。
「上腕二頭筋長頭腱」に対して、痛みの原因になる動き
「肘を屈曲」「肩の屈曲」では、上腕二頭筋長頭腱には大したストレスはかかりません。
*本来の機能であるため
この真逆の動きは、上腕二頭筋長頭腱に対してストレスがかかります。
例えば「肩の伸展」「肩の水平外転」などの動きです。
これに肩を捻る動作の
「肩の内旋」や「肩の外旋」が入ると「脱臼」方向へと力が働きます。
ベンチプレスの肩関節の動作は
下降動作では、「肩の伸展」「肩の外旋」
挙上動作では、「肩の屈曲」「肩の内転」「肩の内旋」
更にベンチプレスの重量が乗っかると、過剰なストレスが上腕二頭筋長頭腱にかかります。
それでは、上腕二頭筋長頭腱に対して過剰な負荷のかかりやすいフォームを見ていきましょう。
「上腕二頭筋長頭腱」に強い負荷がかかるベンチプレスのフォーム
「上腕二頭筋長頭腱」に痛みを防ぎやすくするフォームの重要なキーワードが、肘の位置になります。
まずは、良いフォームの「肘の位置」について見ていきます。
ラックアップで、しっかり「肘をロック」することができています。
*肘をロックとは、肘が伸びているということです。
ボトムポジションでも脇が開いたり、閉じたりしていないので「肘の位置」はスムーズに曲げ伸ばしできています。
良い軌道で「肘の位置」が安定すると、タッチポイントの安定にもつながります。
タッチポイントについては、こちらの記事に詳しく書いています。
次に「上腕二頭筋長頭腱」の痛みが出やすいフォームです。
まずは、スタートポジションから見ていきます。
「肘のロック」ができていないため、バーが前腕、肩と一直線になっていません。
これでは、バーのコントロールを前腕と上腕で行うため安定せず、重量が増えると腕がプルプル震えます。
このフォームの場合「肘が内に絞られている」ことが多く見られます。
「肘が内に絞られている」状態は(前腕回外・肩の過度な外旋)となります。
その状態でボトムポジションに行くと、右側写真のように「肘が内に過度に絞られ」尚且つ「肩の過度伸展・肩の過度外旋」が加わり大きな負担となります。
更にここから挙上動作に入ります。
「肩の過度の伸展」「肩の過度の外旋」を戻すには、
「肩の屈曲」「肩の過度内旋」の動作が必要となり、
「上腕二頭筋長頭腱」に追い打ちをかけるように負荷がかかります。
挙上局面の「肩の過度内旋」の動作には、必ずといっていいほど「肩甲骨の挙上、外転」がセットでついてきます。
そして「脇が開き肩上がり」のベンチプレスになり、肩の他の場所にも負担がかかり他の場所も怪我をする可能性が増えます。
「上腕二頭筋長頭腱」を痛めないベンチプレスの「肘のロック」とフォームの修正方法
冒頭でも書きました
- 脇も開いていない
- 肩甲骨もしっかり下方回旋してる
- 胸椎も伸展しアーチを作れている
- 無理な重量を上げている覚えも無い
などの基本的な注意事項を意識できていて、骨格の連動ができていれば、やはり「肘のロック」の対策が必要となります。
何も持たずベンチプレス動作の比較を実際行って見てください!
「肘をロック」した状態からベンチプレス動作を行う
「肘を内に絞っている」状態からベンチプレス動作を行う
どちらが肩が窮屈で負担が大きいか、簡単にわかると思います!
「 肘のロック」の方法は、
- 手首を背屈して前腕の骨軸にバーをのせる
- バーを八の字に握り、しっかりと肘を伸ばし前腕回内させる
- 小指・薬指側でバーの重量を受ける握り方
の3点が重要となります。
実は、この3点は前回記事にも登場していました。
やはり怪我を防ぐには「基本動作」の徹底が必要となります。
ただ、「肘のロック」がうまくできていても「上腕二頭筋長頭腱」への負担が0になるわけではありません!
なので、痛みのある間は無理をしないように「肘のロック」のイメージトレーニングをしましょう!
ベンチプレス「上腕二頭筋長頭腱」の痛み まとめ
以上が今回のベンチプレスでの「上腕二頭筋長頭腱」の痛みに対しての対策「肘のロック」になります。
よくYouTubeなどで
「大胸筋から負荷を抜かないために肘は伸ばさない!」
などといったことを見受けますが、必ず毎回「肘のロック」をするようにしてください!
大胸筋・小胸筋の硬さがあると、「肩の伸展」の可動域が落ちるので「上腕二頭筋長頭腱」に負担がかかりやすくなるので、大胸筋・小胸筋のストレッチもしっかりいれてあげれください。
また「上腕二頭筋長頭腱」は腱部分であるので、修復反応がやや乏しいのですが、
早急に治すため肘の曲げ伸ばしを、何も持たずに数多く行い「上腕二頭筋長頭腱」に血液を送り込み、修復反応を促進してあげてください!
それでは、今日はここまで〜
次回、【ベンチプレス】”肩甲骨を寄せる”と肩を痛める!寄せないフォームとは?お楽しみに!