台風15号被害の千葉で卑劣商法が横行…超手抜き修理で25万円請求も

 
台風15号の被害を受けてブルーシートが掛けられた住宅街で、悪質商法が横行している =千葉県鋸南町
台風15号の被害を受けてブルーシートが掛けられた住宅街で、悪質商法が横行している =千葉県鋸南町

 千葉県内で台風15号の被災者を狙った悪質商法が横行している。被災家屋の屋根の修理を無理やり迫ったとして、同県警は26日までに、特定商取引法違反(威迫・迷惑行為)の疑いで、自称修繕会社従業員、長嶋慎之介容疑者(27)=東京都世田谷区=を逮捕した。このほかにも「市役所の調査」をかたり工事契約させるなどのケースが報告されており、県警などが被災地に注意を呼びかけている。

 台風15号の上陸から3週間。その爪痕と戦っている被災者を苦しめる、卑劣な手口が判明した。

 長嶋容疑者の逮捕容疑は、10日午後2~3時頃、千葉市中央区に住む無職女性(77)宅を20代くらいの男と共に訪問。女性に「今修理しないと次の台風が来る」と不安をあおり、いったんは修理を断った女性に「じゃあ、自分で(屋根に)上がって見てみなさいよ」と強い口調でまくし立て、困惑させた疑い。県警は認否を明らかにしていない。

 県警によると、長嶋容疑者は勝手に屋根に上って作業を始め、修理費として25万円を請求した。困惑しつつ女性はその場で全額を支払ったが、修理自体は瓦を接着剤のみで屋根に付けるという稚拙な工法だった。県警はもう1人の男の行方を追っている。

 被災者にとっては、弱り目にたたり目。まさに卑劣な手口だが、県内では、さまざまな悪質商法が横行しているという。

 県警には24日までに計71件の相談が入っている。「市役所に依頼された無料の被害調査」などとかたる訪問を受けて家屋の工事を契約させられたり、「火災保険を利用すれば自己負担なしで修理ができる」と契約をもちかけられ、不審に思って解約したら高額な解約料を請求されたケースも。さらには屋根にブルーシートをかぶせた上で工事代金を先払いさせ、そのまま雲隠れした悪徳業者もいるという。

 県警では「不審な電話や訪問などには慎重にご対応を。おかしいと思ったら、すぐに最寄りの警察や、県警の電話相談サポートコーナー『#9110』に連絡してほしい」と呼びかけている。

★農水被害は367億円

 千葉県庁が発表した住家の最新被害状況(26日午後4時時点)は全壊114棟、半壊1371棟、一部半壊1万7186棟。避難所では、北部の千葉市から南部の鋸南町までの12カ所でいまだ計62人が生活しているほか、車中での寝泊まりを余儀なくされている被災者もいる。また、県は農林水産業の被害額が約367億円に上ったと発表。今後も被害額は増える可能性があるとし、財政措置を農林水産省に要望している。