大学入試改革に補助金創設、記述式など導入促す 文科省

文部科学省が、記述式問題の充実や英語民間試験の導入など入試改革に積極的に取り組む大学に対し、補助金を増やす仕組みを設けることが8日、分かった。大学入学共通テストでの実現を断念する見通しとなり、各大学の個別入試で多様な能力を測る改革を促す方針だ。

早ければ国立大で来春に実施する入試で実績を評価し、優れた取り組みと判断されれば、運営費交付金を増額する。翌年以降は、私立大でも私学助成金の枠組みで同様に上乗せする制度を取り入れる。加算額は現時点では未定という。

評価項目は、英語検定の活用などにより「読む・聞く・書く・話す」の4技能を入試で測っているかや、思考力を試す記述式問題を各教科で出題しているのかなどを想定する。

提言を受け取る萩生田光一文科相(8日、文部科学省)

記述式問題と英語民間試験の活用を巡っては、同省の有識者会議が8日、共通テストの枠組みでの導入は「現時点では困難」とする提言をまとめ、萩生田光一文科相に手渡した。

提言では、記述式は採点ミス、民間試験は受験機会に地域間格差が生じるといった懸念を指摘。いずれも共通テストで実施することは難しいとして、各大学が実施する個別入試での導入を促す支援策を講じるべきだと結論付けた。

有識者会議は約1年半にわたり、新たな学習指導要領で学ぶ受験生が対象の2025年1月以降の共通テストでの出題の可否などを議論したが、解決の見通しは立たなかった。同省は提言の内容を踏まえ、今夏にも正式に断念を決める。

提言を受け、萩生田氏は「国民が納得し受験生が公平にチャレンジできる環境づくりのためにしっかり対応する」と述べた。

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