そんな機会を頂いたのはいいんですが、なかなかの苦行でしたw
ある日、ズドーンと送られてきた自転車箱。
ブーデーワンぢゃないですかw
デンデンデンデンデーン!
中身はダホンでした~w
何だか転がりがイマイチなんで、何とかなりませんか?との事。
まぁどうなるかわかりませんが、やってみましょう。
この時は、超軽く考えてました。
先ずは、スプロケやカバー類を撤去します。
内装ハブは大体、右からユニットを抜くようになってますが、スターメも例外ではないですね。
22mmの薄ナットでロックされているのですが、そんなサイズの薄口は持ってねぇw
バッチリやでぇw
単純にオーダーに沿うと、このまま玉押し調整して終わりなんですが、中身のフリクション具合も気になるので、分解することに。
トルクアームが取り付けられているキャップ部分。
左の玉受けと、コースターのプレートの位置決めを兼ねているもより。
シャフトのEリングを外して、ブレーキユニットを外せば、残りは右にごっそり抜けます。
このとき、爪が引っかかる場合は、シフト動作を一回すれば、引っ込みます。
向かって、右がコースターブレーキ部分。
左がシフター部分。
ブレーキプレートの隣りの爪は常時噛み合っていて、空転させた時のラチェット音はここからですね。
変速すると、真ん中の爪が飛び出して噛み合う仕掛け。
スペーサーらしき構成部品とスラストワッシャー。
記録を取りながらバラしていれば問題ないが、組み間違いに注意が必要な2点だ。
すべて組上げて、走行テストして問題なく完成!
の筈だったのだが、オーダーを下さったお客様と意見の食い違いが発生。
一般的にS2Cの特徴として言われているのが、
「後ろに軽く踏むと変速し、 さらに踏み込むとブレーキがかかる。」
というもの。
オーナー様もこの認識でしたが、組上げたボクの動作見解はと言うと、
「後ろに軽く踏むと変速し、 さらに踏み込むとブレーキがかかると同時にまた変速する。」
である。
つーか、そんな風に書いているホームページの多いこと。
「走行中に深くバックを踏めばブレーキがかかるが、その後は、同じギアで再スタートできる。」
しかし現実は、上に書いた後者である。
オーナー様も試乗程度しか乗っていない上に、ボクも分解前に試乗しなかったので、どちらが正解なのか、わからなくなってしまった。
この時、自分はアスペだったんだと激しく落ち込む。
分解時に出てきた、2点の不明パーツを組み間違えたかと思い、分解して検証すること数回。
言葉で解説するのは難しいですが、(変速動作)と(ブレーキ動作)は必ず連動するようになっていて、動作の順番は書いた通りで、変更は構造上ありえない訳です。
軽く踏む(変速)→普通に走る→強く踏む(ブレーキ(の前に変速))→ギアも変速して再スタート
何度やっても結果は同じで、組み間違いは無い。
これだけS2Cを分解して組んだ人は他に居ないと思う。
写真の状態で数日カチャカチャいじり回して考えたりしてましたよ。
おかげで、目隠ししてM-14を組み立てられる海兵隊員のようになったw
このままでは埒が明かないので、STURMEY ARCHERの日本代理店に電話で問い合わせてみた。
結論はというと、ボクの追求した見解で間違いはありませんでした。
ややこしい電話質問に答えて頂き、本当にありがとうございました。
結果としては、正解だったわけですが、ボクの経験不足と誤情報の氾濫に翻弄されました。
いやぁ、まだまだ己の未熟さに涙する一件でございましたな。
余談ですが、ボクは各種グローブ(手袋)を付けて作業しています。
よくお客様に、
「手が汚れるのが嫌なンですか?」
と聞かれる事があります。
違うんです。怪我をするのが嫌なんです。
今回のダホン。
軽量化に特化したカスタムをしておりまして、ついでに余分なステーを切り落として下さいとのオーダーも頂いてました。
エアソーがあればこんな事にもならないんでしょうが、ディスクサンダーでアルミを切ると、食い込んで飛ばされる事があります。
吹き飛んだ刃は、写真の通り、2重につけたグローブを裂ききったものの、手はカスリ傷で済みました。
歳をとると、本当に怪我が治らないんですよ。