三重県警津南署は28日、現住建造物等放火未遂の疑いで、津市一志町高野、会社員鈴木祐樹容疑者(23)を逮捕した。
逮捕容疑は同日午後1時ごろ、木造平屋建ての自宅で、六畳間にある和タンスの衣類に火をつけて住宅を焼失させようとした疑い。
同署によると、偶然訪問した鈴木容疑者の妹(22)が発見し119番通報した。容疑者本人が消火するなどして、和タンスの一部が焼けただけですんだという。不審な点があったことから事情聴取をしたところ、容疑者が自供し、逮捕された。「タンスの中にある金を盗んだのがばれないようにするため衣類に火をつけた」と容疑を認めている。
三重県度会郡玉城町勝田のJA伊勢玉城選果場で、秋の味覚「次郎柿」の出荷が最盛期を迎えている。作業は11月下旬まで続き、計約180トンを出荷する見込み。
次郎柿は甘みが強く、シャキシャキとした食感が特徴。町内では、JA伊勢玉城柿部会の生産者99人が約40ヘクタールで栽培する。
同部会では大玉の柿の生産を目指し、摘果や摘蕾をして実の大きさをコントロールするなど品質向上に取り組むほか、昨年からは消費者のニーズに合わせて選果基準を改め、赤く色付いた柿の出荷を行っている。
今年は台風の影響が少なく、大玉傾向で品質も上々。選果場では生産者が持ち込んだ柿を形や傷の有無などで選別し、サイズ別に箱詰めした後、県内や名古屋方面に出荷している。
奥川直人副部会長(65)は「次郎柿は新鮮なシャキシャキ感と時間をおいた軟らかさの両方の食感が味わえる。ぜひ、食べてみてください」と話していた。
年中無休で電話相談を受け付ける認定NPO法人「三重いのちの電話協会」は県庁で鈴木英敬知事に、保健衛生分野の向上に貢献した団体や個人に贈られる第70回保健文化賞を受賞したと報告した。県内の団体・個人の受賞は7年ぶり。
「いのちの電話」は1953年にイギリスで始まった電話相談。協会は国内50番目の開局で、2001年5月に活動を始めた。電話相談員が悩みや苦しみを抱える人の聞き手となって自殺防止に取り組んでいる。県内の自殺予防対策に貢献したとして表彰された。
県庁を訪れた雲井純理事長は「非常に名誉ある賞を受賞することができ、感謝したい」と受賞を喜んだ。鈴木知事は「悩みを抱える人に向き合ってこられた協会の地道な活動が評価された結果。引き続き自殺対策に取り組んでほしい」と祝福した。
保健文化賞は保健衛生を向上させるため、第一生命が1950年に厚生労働省などの後援を受けて創設した表彰制度。本年度は58団体・個人から応募があり、10団体、個人5人の受賞が決まった。これまでに683団体、個人352人が受賞した。
三重県教委が障害者雇用率を水増しした問題で、県内の障害者団体などでつくる「三重県に障害者差別解消条例をつくる会」は29日、県教委が今月出した障害者の求人募集に「介助者なしに勤務ができる方」とあるのは「障害者差別」として県教委に削除を求めた。
県教委は障害者雇用率を達成するため、12月1日に業務補助員12人と実習助手4人を採用する。今月12日にハローワークを通じて募集を始めた業務補助員の求人条件には「介助者なしに勤務ができる障害者手帳をお持ちの方に限ります」と記載した。
同会の松田愼二代表らが県教委を訪れ、求人条件の一部を削除することや障害者と一緒に雇用条件を検討することなど7項目を提言する要望書を教職員課の早川巌課長に提出。求人条件について「業務が遂行できる障害者を一律に排除する欠格条項」と非難した。
早川課長は「『介助者なしに勤務ができる』という部分については、撤廃に向けて求人条件の見直しを検討している」と述べた。
同会の訪問に先立ち、鈴木英敬知事は同日のぶら下がり会見で県や県教委が身体障害者を対象とした採用選考の受験資格に「介助者なしに勤務ができる」と定めていることについて「削除する方向で見直している。私もそれが良いと考えている」と述べた。
障害者向けの求人をめぐっては、中央省庁や全国の自治体で自力での通勤や介護者なしの勤務などの条件を設けていた。障害者団体から介助があれば通勤や仕事が可能な人を排除する「障害者差別」との抗議があり、文言の削除が進められている。
第三銀行(三重県松阪市京町)など8社8人が出資した地域商社「ネーブル・ジャパン」が29日、発足した。社長に同行地方創生推進プロジェクト担当の濱岡正己取締役(63)が、専務に前同市副市長の小林益久氏(55)がそれぞれ就いた。松阪の産品の物販やベンチャー育成、観光地域づくりに当たる。
地域商社は地域産品のマーケティングを担う企業。民間資本の地域商社は東海地区初となる。商工会議所や市町村が運営する場合が多いが、銀行を中心とする事例も増え、北海道銀行が出資した北海道総合商事はロシア向け輸出で成功している。
ネーブル・ジャパンは辻製油(松阪市嬉野新屋庄町)やフレックスホテル(同市中央町)、水谷養蜂園(同市松ヶ島町)など8社と小林専務ら8人が3000万円を出資。本社を同市日野町の旧第三銀行日野町出張所に置く。
ネーブルは「へそ」の意味。「日本のヘソ・松阪から地方創生のイノベーションを起こす」意気込みを示した。首都圏や海外での販売促進、大和路や伊勢志摩と連携した観光、鶏焼き肉のフランチャイズ化などを構想している。プロジェクトごとにクリエイティブ・チームを編成していく。
濱岡社長は「光が当たっていないけど頑張っている方に光を当てたい」「まずは収益の核となる商品をつくりたい」と方針を語った。
小林専務はメリルリンチ日本証券勤務などを経て公募で平成22年から同市副市長を務め、2期途中で非常勤特別職の参与に転じ、今年6月末に辞任した。「官と民の経験がある。恩返しをしたい」「地域の資源を再発掘・再編集してブランド化する」と話した。
第18回全国障害者スポーツ大会(福井しあわせ元気大会)に出場した県選手団が29日、県庁で鈴木英敬知事にメダル25個を獲得したと報告し「三重とこわか大会では良い成績を残したい」と述べた。
県選手団は今月13―15日まで福井市を中心に開かれた福井しあわせ元気大会に出場。金メダル6個、銀メダル11個、銅メダル8個を獲得した。メダルの獲得数は前年度より1個多かった。
大会に初出場し、肢体不自由の水泳50メートル平泳ぎで金メダルを獲得した保田明日美選手(27)は「三年後の三重とこわか大会に向けてこれから成長していくので楽しみにしていてほしい」と意気込みを語った。
視覚障害の卓球(STT)で金メダルを獲得した森澤吉行選手(57)は「大会に盲導犬があまり来ていなかった。三重とこわか大会では盲導犬を使って行進したい」と環境面での課題を述べた。
鈴木知事は「大会を楽しく過ごせたようで良かった」とねぎらった上で「三重とこわか大会を見据えた目標を言ってもらえてうれしい。皆さんと一緒に準備しなければならないと改めて感じた」と話した。
日本料理の源流とされる「古式四條流」(本部・兵庫県西宮市)が29日、三重県伊勢市の伊勢神宮内宮で包丁儀式を奉納した。大勢の参拝者が見守る中、流派の高弟が参集殿で、包丁と真菜箸(まなばし)をたくみに使い、手を触れずにキジをさばいた。
古式四條流は平安時代の初期に始まったとされる日本料理の流派。約30年前から毎秋、伊勢神宮に包丁儀式を奉納している。
この日は、四條武範家元ら10人が狩衣(かりぎぬ)に烏帽子(えぼし)姿で儀式に参加。高弟らが包丁と真菜箸を古式にのっとって振るい、参集殿に集まった大勢の参拝者が見入っていた。
同流派は毎春、京都市の平安神宮でも包丁儀式を奉納している。食がテーマとなった平成27年のミラノ万博の会場で包丁儀式を披露。要望があれば祝い事の席などでも包丁儀式を実演している。
岐阜県高山市の和仁農園、日本アメリカンフットボール協会、JA飛騨の3者は29日、伊勢市の伊勢神宮内宮に和仁農園が生産した「飛騨コシヒカリプレミアム」を1俵(約60キロ)奉納した。奉納米は来年1月3日に東京ドームで開かれるアメリカンフットボールの日本選手権「ライスボウル」で、伊勢市長賞として最優秀選手に贈られる。
同社は平成23年から同協会からの要請を受け、ライスボウルに自社生産のコメを提供。25年からは提供前に伊勢神宮へコメを奉納している。
この日は、同社の和仁松男社長ら8人が内宮を参拝。和仁社長は「天気に恵まれ良い奉納日和になった」と話していた。
三重県北牟婁郡紀北町は、地域の住民が空いている自家用車を使って移動手段に困る人を送迎する「あいのり運送事業」の実証実験をこのほど始めた。公共交通の空白地帯での移動手段対策として、9月中旬から12月下旬まで約3カ月間運用する。町企画課は「終了後に結果を分析し、続けてほしいという声が多ければ本格的に開始したい」と話している。
平成28年12月末、町内唯一のタクシー事業者だった「紀勢交通」が経営の悪化を理由に廃業した。過疎や福祉タクシーなどの増加、飲食店の減少が要因とみられる。
交通空白地帯を解消しようと、町、三重大学、三重交通でつくる「紀北町相乗り運送運営協議会」(会長・尾上壽一町長)が主体となり、事業を開始した。事業は町が総務省のシェアリングエコノミー活用推進事業にあいのり運送事業を提案して採択され、委託料700万円を受けて実施している。
事業では、住民の空いた車と時間を使って目的地まで送迎する。海山地区と紀伊長島地区に分けて運行し、バス停と駅が半径500㍍にない空白地域をそれぞれ6エリアずつ回る。運転手は、海山が3人、紀伊長島は6人。いずれも60―70代の男性。公募はせず、町が自治会などを回って運転手登録を依頼した。
利用者は町に会員登録する必要があり、会員は海山で26人、紀伊長島で101人いる。片道料金は一つのエリア内の移動で300円、エリアから別のエリアまでの移動は最高で1500円。通常のタクシーのほぼ半額に設定しているという。運行時間は午前9時―午後5時。
事業にはGPS(衛生利用測位システム)トラッカーを取り入れている。GPSトラッカーは運転手と希望する会員が所持。利用者はGPSトラッカーのボタンを押すと、利用者の現在地が、配車業務を担う三重交通南紀営業所(熊野市有馬町)に伝わり、最も近い場所にいる運転手が迎えに行く仕組み。
同町東長島の村口良子さん(79)と近くに住む村口ヒメ子さん(75)は週に一度、あいのり運送を利用する。主にスーパーに買い物に出かける目的で使うという。
良子さんは普段、原付バイクを運転しているが、雨の日や買い込む量が多い時などはバイクが運転できず、JR紀伊長島駅までは歩いて行けないため困っていたという。「運転手さんは地元の方で優しく、家の前まで送迎してくれるので大変助かっている」と話す。
一人で暮らすヒメ子さんは運転免許証を取得しているが、いずれ運転できなくなることを考え、あいのり運送を利用することにした。ヒメ子さんは「足が悪く重たい荷物を運べないので、運行を続けてくれたらうれしい」と期待する。
一方、事業を続ける上で、運転手の確保が課題となる。運転手は運賃はもらえるが、ガソリン代は運転手が払わなければならない。運転手を務める和手恒一さん(65)は「少子高齢化が進む地域で、互いに助け合う取り組みは必要。これからますますあいのり運送は必要になってくると思う」と話す。
同課の奥村京英係長は「運行はスムーズに行えている。あいのり事業があると、免許証の返納がしやすくなるのではないか。利用者と運転手の話を聞くなどし、事業を検討したい」と話している。
女子サッカーのプレナスなでしこリーグ2部は28日、静岡県磐田市のゆめりあ球技場などで最終節の第18節5試合があった。すでに2部優勝と来季の1部復帰を決めている伊賀フットボールクラブくノ一は、静岡産業大磐田ボニータに2―1で勝って、勝ち点44、14勝2敗2分けで全日程を終えた。2位は勝ち点31のニッパツ横浜FCシーガルズだった。
伊賀は前半28分、杉田亜未主将のシュートで1点を先制。後半19分、相手FWに同点ゴールを決められたが、後半ロスタイムに得た直接FKの好機でMF作間琴利が落ち着いて決めて1点勝ち越すとこれが決勝点になった。
大嶽直人監督は「先制しながら追加点が取れず、苦しい展開だった。一瞬のすきをつかれて同点にされたが、最後まであきらめない、ひたむきな姿勢から勝利が転がってきた」と選手たちをたたえた。
今季最後の公式戦は11月開幕の皇后杯全日本女子選手権。伊賀の初戦は同月25日の2回戦で、富山県総合運動公園陸上競技場で、聖泉大(滋賀)と帝京平成大(千葉)の勝者と対戦する。