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無観客提言の分科会委員語る「五輪中止の現実味」 感染症の専門家として訴えたいことの本質

東洋経済オンライン / 2021年7月8日 8時30分

では、同じことはこれからもありうるのか。

「それはありうることで、だからこそチェックするわけです。そういうリスクを考えなくてよければ、ワクチンを接種していればPCRはもういいですよ、となっちゃう。今の段階と状況ではそこまでいかないでしょう」

入国した後も、選手の厳重なチェックは必要とされる一方で、これから迎える東京オリンピックは「提言書」にあるとおり、無観客にこだわるべきなのか。無観客を支持する声は、大会が近づくにつれて大きくなってきている。

「有志の間では、オリンピックそのものを中止にするかしないかについても議論はしている。しかし『提言書』としてまとめる段階では、菅首相がG7でやると言っていた。

僕は協議会(内閣府「東京オリンピック・パラリンピック競技大会における新型コロナウイルス感染症対策調整会議」)にアドバイザーとして呼ばれたときに、『あ、国の大方針としてやる決断をした』と理解した。

G7では日本として“やる”という確認を海外に示したような形で、ほかの国もそうだそうだ、やってくれやってくれ、となっている。そこで国際間のコミットメント(約束)ができたのではないでしょうか。

そこで提言を出す以上は、実行性のあることを述べないと絵に描いた餅にすぎなくなってしまう。さっき(前編参照)も言ったように、感染症を少なくしようとするときには、何もやらないのがいちばんいい。オリンピックもないほうがいい。

しかしやるのであれば、できるだけリスクを低くする方法はないか。感染拡大リスクが最も低いのは無観客であり、それが望ましいとした。次にそれを膨らましていくのであれば、できるだけ規模を絞ってほしい、と言っている。フルスケールのオリンピックはこの状況は無理です、という意味でもある。感染症は人から人へうつるんだから、リスクになる人のかたまりをなるだけ小さくしたほうが感染のリスクは低い。

■観客ありでもクラスターは起きていないがリスクはある

スポーツイベントは観客ありもあれば、観客を制限しているところもあれば、無観客のところもある。観客があるからクラスターのもとになっているかというと、実際にプロ野球でも、Jリーグでもクラスターは起きていない、というのも事実。主催者としてやっている人たちは、観客がいても注意をする、よびかけることで感染拡大は“起きていない”と言っている。それも事実。

それでもリスクはある。僕らはリスクを話しているわけで、リスクを低くするなら多人数ではないほうがいい。理想的にゼロ、となる。

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