無観客提言の分科会委員語る「五輪中止の現実味」 感染症の専門家として訴えたいことの本質
東洋経済オンライン / 2021年7月8日 8時30分
東京オリンピックの開幕まで2週間あまりに迫った。ここへ来て東京都に緊急事態宣言が発出されることが確実な状況となり、1年延期された東京オリンピックの開催は可能なのか。政府や大会組織委員会などが掲げる「安全・安心」なオリンピックは実現できるのか。
感染症の専門家で、新型コロナウイルスの感染が広がりはじめた当初から東京オリンピックまで、日本の感染対策の内と外からすべてを知る人物、川崎市健康安全研究所所長の岡部信彦氏へのインタビューの後編をお届けする。
岡部氏は、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会のメンバーであり、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリー・ボードのメンバーであると同時に、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の新型コロナウイルス感染症対策専門家ラウンドテーブル(円卓会議)の座長を務める。一方で、6月18日に政府の分科会の尾身茂会長ら専門家有志26人が東京オリンピック・パラリンピックに関して「無観客開催が望ましい」とする意見を盛り込んだ「提言書」をまとめて公表したうちの1人として名を連ねる。
前編:五輪は本当に可能?分科会委員が語る議論の真相
■来日したウガンダ選手の陽性発覚の意味
東京オリンピック開幕まで2週間に迫った。これから各国からの選手団の来日が本格化する。
そこで気になるのは、すでに6月19日に成田空港に到着したウガンダ選手団9人のうち1人から新型コロナウイルスの陽性反応が出たことだ。選手の行動規範を示した『プレイブック』のとおり、出国前72時間以内のPCR検査で陰性とされ、アストラゼネカ製のワクチン接種も2回済ませたはずであるにもかかわらずの感染発覚だった。その後、ほかの選手1人も陽性が発覚している。これについて、岡部はこう言及する。
「スクリーニングをやっているからこそひっかかってくることで、陽性者がいたことは残念だけども、良いことでもある。何もやってなければ素通りだった。むしろ、これから来る人にはインパクトを与えたと思う。これからうっかりすると止められちゃうぞと、警告的な意味になっている。
ワクチンもPCRも両方ともパーフェクトなものではない。ワクチン効果も100.0%でない。ほかの検査でもワクチンでも、100%はありえない。PCRはウイルスがいる、あるいは、いた、ということでは敏感な検査ですが、陰性は検査をやった時点で陰性だったという証明にしかならない。その人がその後もずっと陰性が続く保証にはならない。いや、数時間後に陽性になることも否定できない」
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