東京五輪聖火リレー 大子の会社員・石井康弘さん 走る喜び、疾患向き合う 勇気届けたい
東京五輪の聖火リレーが4日、茨城県内で始まった。新型コロナウイルスの影響で1年延期となった大舞台。ランナーたちは「苦しむ人たちに元気を与えたい」などの願いを託し、時折雨が降る中、笑顔でトーチをつないだ。
「走ることが今の生きがい。かつての自分のように治療を決断できずにいる人が、一歩踏み出す機会になれば」。大子町の区間を走った同町の会社員、石井康弘さん(40)は、先天性の病気「カルマン症候群」がある。男性ホルモンを体内で作ることができず、第二次性徴がない。日本人男性では5万人に1人の割合で見られる、まれな疾患だ。症状の改善につなげようと始めたランニング。同じ病気で悩む人たちに「どんな時も前向きに進もう」との思いを伝えようと、聖火をつないだ。
「自分はほかの人と違う。大人の男性として身体的な成長が遅すぎる」。うすうす気付いていた体の特徴。20歳を過ぎた頃、石井さんは焦りと戸惑いの中にいた。だが、恥ずかしさから誰にも相談できず、一人で思い悩んでいた。
4年前、自分と同じ病気について書かれた新聞記事を見つけ、治療で症状が改善される可能性を知った。その後、栃木県内の大学病院を受診。現在は週3回、自宅で性ホルモン補充療法を行っている。
苦手だった走ることに取り組んだのは、医師の勧めがきっかけだった。「これから男性ホルモンが増えれば、筋肉がつく」と運動の効果を聞き、犬の散歩がてらにと始めた。
やがて、近所の飲食店主に「若いうちしかできないよ」とマラソン大会の出場を勧められた。医者に話をすると「ぜひ出場してみて。挑戦することは男性ホルモンにとって良いこと」と背中を押してくれた。
町内の大会で5キロを完走。出場を勧めてくれた店主も喜び「今度は奥久慈トレイルランも走ってみなよ」と励まされた。新たな目標が生まれる中、同じ病気で悩んでいる人に勇気を与えたいと、聖火ランナーを志望した。
新型コロナウイルスの感染拡大で、東京五輪は1年延期された。「五輪どころじゃない」と開催を不安視する意見にも触れ、胸を痛めた。コロナ禍は生活にも影を落とし、勤務先は一時帰休となった。
その時間を利用し、ブログを始めた。自分の思いを発信すると、同じ病気のブロガーとの交流が生まれた。子どもが同じ病気の疑いがあるという母親からは「励まされた」とメッセージが届いた。ブログを通じて知り合った全国の人たちからもらった勇気を、今度は自分が届けたい。聖火リレーに向けて、そんな思いを強くしていった。
沿道で家族が見守る中、大役を終えた石井さん。「同じように悩んでいる人にも、それ以外の人にも思いは伝わったと思う」と充実した表情を見せた。
■ジーコさんら鹿嶋を走る 五輪参加の願い「達成」
鹿嶋市の最終区間は、サッカーJ1鹿島アントラーズで長年活躍した「ジーコ&レジェンズ」の登場で大きな盛り上がりを見せた。
ジーコさんをはじめ聖火をつないだのは、いずれも元日本代表の中田浩二、名良橋晃、本田泰人、鈴木隆行の4人。レジェンドたちは県立カシマサッカースタジアム近くのジーコ像を目指し、トーチを代わりながら持って横一列で走った。沿道には鹿島のレプリカユニホームを掲げ、拍手を送るサポーターたちの姿もあり、5人は手を振って笑顔で応えた。
故郷ブラジルで2016年に開催されたリオデジャネイロ五輪に関われなかったことが心残りだったというジーコさん。5年越しの願いが「きょう達成された」と喜んだ。コロナ禍での五輪開催となるが、「スポーツを通じて世界中に喜びを与えるのがアスリートの任務」と選手たちの活躍に期待した。
「走ることが今の生きがい。かつての自分のように治療を決断できずにいる人が、一歩踏み出す機会になれば」。大子町の区間を走った同町の会社員、石井康弘さん(40)は、先天性の病気「カルマン症候群」がある。男性ホルモンを体内で作ることができず、第二次性徴がない。日本人男性では5万人に1人の割合で見られる、まれな疾患だ。症状の改善につなげようと始めたランニング。同じ病気で悩む人たちに「どんな時も前向きに進もう」との思いを伝えようと、聖火をつないだ。
「自分はほかの人と違う。大人の男性として身体的な成長が遅すぎる」。うすうす気付いていた体の特徴。20歳を過ぎた頃、石井さんは焦りと戸惑いの中にいた。だが、恥ずかしさから誰にも相談できず、一人で思い悩んでいた。
4年前、自分と同じ病気について書かれた新聞記事を見つけ、治療で症状が改善される可能性を知った。その後、栃木県内の大学病院を受診。現在は週3回、自宅で性ホルモン補充療法を行っている。
苦手だった走ることに取り組んだのは、医師の勧めがきっかけだった。「これから男性ホルモンが増えれば、筋肉がつく」と運動の効果を聞き、犬の散歩がてらにと始めた。
やがて、近所の飲食店主に「若いうちしかできないよ」とマラソン大会の出場を勧められた。医者に話をすると「ぜひ出場してみて。挑戦することは男性ホルモンにとって良いこと」と背中を押してくれた。
町内の大会で5キロを完走。出場を勧めてくれた店主も喜び「今度は奥久慈トレイルランも走ってみなよ」と励まされた。新たな目標が生まれる中、同じ病気で悩んでいる人に勇気を与えたいと、聖火ランナーを志望した。
新型コロナウイルスの感染拡大で、東京五輪は1年延期された。「五輪どころじゃない」と開催を不安視する意見にも触れ、胸を痛めた。コロナ禍は生活にも影を落とし、勤務先は一時帰休となった。
その時間を利用し、ブログを始めた。自分の思いを発信すると、同じ病気のブロガーとの交流が生まれた。子どもが同じ病気の疑いがあるという母親からは「励まされた」とメッセージが届いた。ブログを通じて知り合った全国の人たちからもらった勇気を、今度は自分が届けたい。聖火リレーに向けて、そんな思いを強くしていった。
沿道で家族が見守る中、大役を終えた石井さん。「同じように悩んでいる人にも、それ以外の人にも思いは伝わったと思う」と充実した表情を見せた。
■ジーコさんら鹿嶋を走る 五輪参加の願い「達成」
鹿嶋市の最終区間は、サッカーJ1鹿島アントラーズで長年活躍した「ジーコ&レジェンズ」の登場で大きな盛り上がりを見せた。
ジーコさんをはじめ聖火をつないだのは、いずれも元日本代表の中田浩二、名良橋晃、本田泰人、鈴木隆行の4人。レジェンドたちは県立カシマサッカースタジアム近くのジーコ像を目指し、トーチを代わりながら持って横一列で走った。沿道には鹿島のレプリカユニホームを掲げ、拍手を送るサポーターたちの姿もあり、5人は手を振って笑顔で応えた。
故郷ブラジルで2016年に開催されたリオデジャネイロ五輪に関われなかったことが心残りだったというジーコさん。5年越しの願いが「きょう達成された」と喜んだ。コロナ禍での五輪開催となるが、「スポーツを通じて世界中に喜びを与えるのがアスリートの任務」と選手たちの活躍に期待した。