「完全に一線を越えてしまっている」 デンベレ差別発言、日本在住フランス人YouTuberが糾弾
東京都在住のフランス人YouTuber・オレちゃんが2021年7月5日、自身の公式YouTubeチャンネル「Bebechan - 日本のフランス人」を更新し、サッカー・フランス代表でFCバルセロナ(スペイン)所属のFWアントワーヌ・グリーズマンとFWウスマン・デンベレによる差別発言を収めた動画を翻訳し、「この動画は、完全に一線を越えてしまっているよ」などと批判した。
「"酷い顔"ってはっきり言ってる。意味もそのまま」
問題となっている動画は、2019年夏にバルセロナのプレシーズンツアーで来日した両選手が滞在中のホテルで撮影したもの。PEP(ウイニングイレブン)をプレイできるよう、セッティングにやってきた日本人スタッフの容姿や言語に対し侮辱的な発言をしたとして、批判が集まっている。
オレちゃんは都内在住のフランス人YouTuberで、普段は主に東京での仕事やライフスタイルに関する情報を発信し、チャンネル登録者数は7月7日現在13.3万人を数える。
このほど公開された「フランス人サッカー選手の日本人差別発言について、みなさんに伝えたい事があります。【フランス人の反応】」と題した動画でオレちゃんは、自身が話す言葉に日本語字幕をつけている。冒頭では差別発言動画に言及したうえで、「実際の映像を見て何を言っているのかちゃんと訳してみたいと思います。この件に関して誤訳があるという意見もあるみたいなので、ちゃんと聞いてみましょう」として、問題の箇所を翻訳していった。
動画を見ながらオレちゃんは、「ああ、 "酷い顔"って(編注:デンベレが)はっきり言ってますね。意味もそのままです」と説明。続けて「"ウイイレやるためにこの酷い顔を呼ぶなんて恥ずかしいと思わないのかよ"って言ってますね。この"恥ずかしいと思わないのかよ"っていうのは、グリーズマンに対して言っていて、日本人に対してではないです。まぁでも、"酷い顔"っていう表現がかなり人種差別的なのは間違いありません」と解説した。また、動画で現地スタッフの顔にズームしていることにも触れ、「わざわざ顔にズームして笑ってますね。これは酷い」と呆れていた。
さらにオレちゃんは、「"なんだよこの言語"って言ってるので、日本語のことをバカにしてるのが分かります」「スタッフがプレイステーションをインストールするのに苦労しているみたいですね。フランス人は日本が技術的にかなり進歩した国だと知っているので、今回、"先進国なんじゃないのかよ"って言っているんだと思います」と語った。そして、「こんな感じで、訳によって多少の解釈の差はあるけど、かなり人種差別的だと捉えて間違いないと思います」と結論付けた。
「本当にひどい。これは言い訳できないよ」
翻訳を終えると、「ぜひみんなとこの問題について話したい。知らんぷりはしたくないから。彼らが有名人だからって、オレが黙る理由にはならないよ」とオレちゃん。
「これまでにもフランスではフランス流のユーモアが時々ほとんど侮辱的だったり攻撃的だったりしたんだ。オレたち(フランス人たち)はすごくダークユーモアがあるから。でも、ジョークと侮辱の間には絶妙なバランスがあるんだ」と前置きし、「でもこの動画は、完全に一線を越えてしまっているよ」と嘆いた。加えて、「それから彼らは本人の目の前でからかったんだ。フランス語がわからない彼の前で。日本人の彼はただ助けるために来ただけなのに」と話し、「本当にひどい。これは言い訳できないよ。このニュースは非難されるに値するし、そうあるべきだと思う」と頭を抱えた。
最後にオレちゃんは、「アジア人への差別が常態化してしまっている今この時代が、すごく悲しい」と言い、この問題がこれまで十分に議論されてこなかったと説いたうえで、「もしこのニュースをポジティブに捉えたいと皆さんが願うなら、この動画をきっかけにこの問題の議論が進むかもしれない」とまとめた。
両選手は6日、差別発言についてそれぞれのSNSで謝罪した。グリーズマンはツイッターに「日本の友人を怒らせてしまったなら申し訳ありません」(編集部訳)などと投稿。デンベレは「この動画が人々を傷つけるかもしれないと理解しています。だから、私は彼らに心から深く謝罪したいです」(同)などと書いた文章を、インスタグラムのストーリーに投稿した。