マグネシウムサプリが高血圧治療に有効

健康的な食事で十分...の声も

　マグネシウムは、骨や歯を作るのに必要な成分で、健康を維持するために必須の栄養素の一つ。アオノリ、昆布、ヒジキなどの海藻類、大豆、納豆などの豆類、しらす干し、干しエビ、アサリなどの魚介類、アーモンドなどの種実類などに多く含まれる。50～60％が骨に含まれ、不足すると骨から遊離し、神経の興奮を抑えたり、体温や血圧を調整したりする働きがある。

　今回の研究では、合計2,028人のデータを解析。1日368ミリグラムのマグネシウムを3カ月間摂取したところ、収縮期（最大）血圧は2.00mmHg、拡張期（最小）血圧は1.78mmHg低下した。サプリメントで補充したグループでは血液中のマグネシウム値が高く、これは血圧低下につながる血流改善にも関連していることを意味するという。

　研究グループは1日300ミリグラムのマグネシウムを1カ月程度摂取することで、血圧低下が期待できるとし、マグネシウムサプリメントの摂取が高血圧治療や高血圧のリスクのある人への予防策一つになるとした。

　一方、この研究について米国心臓協会（AHA）では、「1日368ミリグラム程度のマグネシウムは、われわれが推奨する"健康的な食事"から摂取できる」「マグネシウムのサプリメントが必要不可欠というわけではない」と、サプリメントの使用については慎重な姿勢を示している。

　ちなみに、日本人のマグネシウムの1日の推奨量は、30～49歳の男性では370ミリグラム、女性では290ミリグラムとされているものの、1日の平均摂取量は30～39歳の男性では231ミリグラム、女性では199ミリグラムと報告されており、平均して1日100ミリグラム以上のマグネシウムが不足していると推定される。

　＜日本人のマグネシウム推奨量＞
　●　30～49歳－男性370mg　女性290mg
　●　50～69歳－男性350mg　女性290mg
　●　70歳以上－男性320mg　女性270mg
　　　　　　　　　　　　　厚生労働省「日本人の食事摂取基準（2015年版）」より

　＜日本人のマグネシウム摂取量＞
　●30～39歳－男性231mg　女性199mg
　●40～49歳－男性244mg　女性206mg
　●50～59歳－男性268 mg　女性236mg
　●60～69歳－男性286 mg　女性251mg
　●70歳以上－男性273 mg　女性235mg
　　　　　　　　　　　　　　　　厚生労働省「平成26年国民健康・栄養調査」より

（あなたの健康百科編集部）