無限の世界のプレイ日記   作:黒矢

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前回のあらすじ:メインクエを進めるのはサブクエを埋めた後にしたくなる心理、あると思います
それでは本編をどうぞ!


第八十二話 合流・検証・待機勢

□黄河<龍都> 【高位練体士】ジーニアス

 

 

「――そんな訳でこの子が新たにテイム(従属契約)した【幻獣索冥】の瑞光だよ、皆よろしくね!」

『物申したい気持ちはあるが……致し方あるまい。先達よ、よろしく頼むぞ』

 

 

『ちょっとはなれてるスキにごしゅじんがうわきしたー』

『だが……ふむ。実力は相応しい物を持っている様だぞ。これは今後が楽しみだ』

『先達……先達!? そ、そうだな。私にも後輩が出来るのだな!』

「浮気ではないよ! ただちょっと直感にびびっと来ただけだよ!」

 

 ……いや、よく考えたらこの発言は言い訳になっていないのでは?

 と思ったけどフィーリングなのは事実だし皆との関係も手を抜くつもりはないから許して欲しいって事にして貰いたいね。

 ちなみにだけど、セレネは後輩とは言っているけれど出で立ち等を見れば分かる通り普通に瑞光の方が年上である。

 あの<幻霊山>に不意の転移をする前から既に成獣だった様だし、然もあらんって奴だね。

 多分普通にずっとあの島に居たって言うセレネよりも経験豊富だし、序列はともかく色々教えて貰えるととても良いなって思う。

 ……全く関係ない余談だけど、多産多消の精霊系エレメンタルであるリン、若竜であるイグニスに次いで僕の従属モンスター達は年齢順と仲間になった順番が真逆になっている。

 まぁ、イグニスはともかくセレネ、そして瑞光よりも年嵩のモンスターなんて〈UBM〉を除けば殆ど居ないからあまり意味がない符号なんだけどね。

 

 ――あの後、無事【幻獣索冥】……瑞光の従属契約(テイム)に成功した僕は<幻霊山>での採取も粗方済ませた後速やかに龍都に帰還していた。

 睡眠時間とかげふんげふん……コテツ達との合流の刻限ぎりぎりの行動だったからね。

 つまり大体急かした【虹竜王】が悪いから僕は悪くないって事で……

 

「今日が通常授業だったら危なかったね……それはともかく、コテツ達も久しぶり!」

「久しぶり。後、僕らが言うのも何だけどジーニアスはちゃんと健康に注意してやるんだよ?」

「話を聞いてるだけで常識外れだって良く分かるな……」

 

 廃人レベルに準じる程度にログインしてるコテツ以上のログイン時間のジェーンさんに常識外れだと言われるのは心外では!?

 まぁ、コテツやジェーンさんは<エンブリオ>の関係上僕やアスカよりもログイン時間が必要になるのは仕方ない事だ。

 何をやるにもリソースが必要な二人は採取にコネ作りに情報収集にと余念がないからね。僕のコネとか割と仲間内以外では物騒なコネしかないけども、それはさておき――

 

「二人共皆の世話を見ていてくれてありがとうね! 一応リアルでも聞いてたけど特に問題はなかった……よね?」

「どういたしまして、だ。まぁ皆世話を焼く必要もない程に優秀だったから手間もなかったが」

「むしろ僕達の方が色々助けられたくらいだからね」

「それなら良かったよー。そっちも収穫は多かった様で何よりだよね!」

「ジーニアスの方もね」

 

 コテツはそう言って瑞光の方を見る。その視線には羨望と好奇がかなりの割合で混ざっている様に思う。

 ……コテツもある意味僕以上にゲーマーだからね。でもここは<Infinite Dendrogram>だから別所のキリンとは関係ないのだった。関係ないったら関係ないのだ。

 コテツ達はイグニス達の力を借りて常以上の成果を果たして、僕も多くの亜竜級純竜級を倒して数多の【宝櫃】を手にして瑞光も仲間に出来た。うん、上出来だったんじゃないかなって!

 

 

「――ああ、収穫と言えば。コテツとジーニアスに少し手伝って貰いたい事があるのだが」

「うん? ……ああ、あれの事か」

「収穫……何かあったのー?」

「狩りと採取の後、いつものリソース変換の際に、な。()()()()()()()()()()のだよ。その検証に力を貸して貰いたくてな――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさかの必殺スキルの習得とは。ふっふっふ、これは手伝わない理由がないよねー!」

「習得タイミング、その内容共に非常に興味深い物があるし、同意するしかない。さて、良い結果になればいいのだけど――」

 

『――いやいや、なんデオラが縛らレなけれバならナイのダー!?』

 

 ――説明しよう!

 此処は黄河の初心者狩場の一つ、<北蛇平原>の外れ。その一角で僕達は周囲に人が居ない事を確認して――コテツの従属モンスターである【ゴブリン・マイナー(ゴブ吉)】を魔法と縄で拘束しているのにもちゃんと意味がある。

 ジェーンさんの<エンブリオ>、レアなType:アポストルWithルール・キャッスルである【複写真命 クローン】の最大の特性はその名前の通り複製である。

 ならば、その必殺スキルも複製の特性に則った物なのか、と言うのは圧倒的にYESだけども、その内容が違う。

 そもそも考えてみて欲しい。【クローン】の固有スキルによる複製はかなり自由度の高いアイテム複製で、普通に有力な物ではある。

 

 だけど――()()()()の銘を聞いて、思い浮かぶ物はそれ(アイテム複製)ではない。

 且つて架空の技術として、学説として在り、そして現在では確立されている人類の確かな技術(テクノロジー)

 

 ()()()()()、それが【複写()() クローン】の必殺スキルの概略だ。

 

「つまり、まず最初に行う検証としてリスクとコストが少ない君に白羽の矢が立ったって事だね! スキルの使用に必要なリソースは通常の固有スキルと共有みたいだからねー」

『マて、リスクガあるノカ!?』

 

 多分ない!

 ……少なくとも今までの【クローン】の挙動や彼本人の証言や必殺スキルのテキスト的には無い筈だけど、僕達が知るフィクションの中ではそういうケースもあったから万全を期して検証していきたいよねって。

 コストの面も、僕達の手持ちの中で最もリソースが少なそうなのが彼、ゴブ吉だったから仕方ないんだよね。

 この為だけに【リトルゴブリン】とか【小鬼】を買うのもなしではないだろうけど、諸々の検証を考えればやっぱりゴブ吉がベストになるんだよね。

 

「よし、よし。展開完了、準備良しだ……うわコスト高いな。ゴブ吉でもリソースに換算して500万リルは余裕で飛ぶぞ……」

「そんなにかい? それは他のスキルと違って普段使いは出来なさそうだね」

『ア、主? オラハ素材ヲくすねもしなイ良イ従魔だろウ? せめテ安全ヲ確かめテカラ……』

「他で使うのは中々難しいだろうが、とりあえずは確かめなければな。行くぞ、《浄写櫃慧(クローン)》!」

『ぐワァァァァ――!?』』

 

 ゴブ吉の懇願も届かず、展開された【クローン(鏡台)】の鏡から光が発せられ、ゴブ吉を包む――と、同時に特大のリソース(多分500万リル越えの価値)が【クローン】から放出される。

 

 

 一瞬の照射の後に残るのは……二体の【ゴブリン・マイナー】のみ。

 

「「「おおぉぉ――……」」」

 

 想像以上にあっさりと、それでいて確かな成功に三人で共に感嘆の息を吐く。

 複製されたゴブ吉も混乱したかの様に互いに顔を見合わせて――

 

「「「あっ」」」

 

 脱兎――()()()()()()()()()の【ゴブリン・マイナー】が、全速力で逃げ出した!

 

「わ、私の500万リル――!」

「なるほど、な。新たに生み出すという事は、装備品等もなしの全く真っ新な状態、という事な訳だ。従属契約も含めてね」

「縄でびみょーに減ってたHPも全回復してたね。つまりはそういう事なんだろうねー。それじゃ――」

『オ、オ待ちくだセェ! アイツヲ、()()ヲ見逃しテはくれなイだろウカ!?』

「うん?」

 

 僕を呼び止めるのは拘束されている方の【ゴブリン・マイナー】……元々のゴブ吉だった。

 縄で身動きできないままではあれど、その瞳には先程までとは違う――決意と覚悟の色を確かに見て取る事が出来る。

 

『アイツハ生まレタばかリノ自由ノ身ナノだろウ!? なラバ主達ニとッテ重要でハナイ筈ダ。むしロコストガ掛かルばかりノ筈。だかラどうカアイツヲ自由ノママニさせテくれなイカ!?』

「……ふむー」

「なんて?」

 

 想像以上のゴブ吉の熱弁に意識を向ける。

 想像以上、と言うのは彼の熱弁の勢いは勿論、ぱっと見の第一印象でしかないけどそういう事に必死になるという事自体もそうだ。

 

「あいつを自由にしてくれ、って。ねぇ、君が彼をそこまで気に掛けるのは……やっぱり自分自身だからかな?」

『そうダ。直ぐニ分かッタ、アイツハ間違イなクオラダ。オラとハ違ウ自由ナオラダ! だかラせめテアイツにハオラの夢ヲ託しタイのダ……』

「ほう、夢。それは君の……いや、君と彼の?」

『そうダ。伝説ニ謳わレル程ノ鉱石ヲ掘リ、仲間トそれヲ分ち合ウ。オラノ夢ダ。オラハココで頑張ル。だかラ主ニ頼んデ貰えナイだろうカ!』

「なんて……?」

「自分は今まで以上に頑張るから見逃してくれって。後、伝説の金属(ミスリル)を掘るのが夢なんだって。やったねコテツ!」

「ほう。それは良い。非常に良い。丁度そろそろ僕の<エンブリオ>(カナヤマヒコ)も時間が経って採取の時期にしようと思ってた所だ」

『……? あノ、主ニ……』

 

 コテツ達にゴブ吉の言葉を翻訳しながら内心で【クローン】の必殺スキルと……ゴブ吉自身の評価を上げる。

 熱弁だけではない。彼自身の熱意、そして知性――それはおそらく、他のゴブリン種と比べても間違いなく彼が優れている部分なのだから。

 今回の件に関係なく、ね。それはコテツの従属モンスターとしてとても良い事であり――

 

 

「だが、それはそれとして僕達の事を無闇に話されても困るからジーニアス、頼めるかい?」

「そう言うと思って予め捕獲しておいた彼が此方になるよ!」

『許しテ……許しテ……』

『ぐワァァァァ――!? もウ一人ノオラァ――!?』

 

 そんな優秀なモンスターを逃がすなんてとんでもない――という訳ではなかったけど話を聞きながら裏で影分身が捕獲していた複製体の彼を連れて来たのだった。

 まぁ、流石に一介の【ゴブリン・マイナー】がどれだけ全力で逃げても取り逃がす可能性はなかったよねって。

 ともあれ――夢を二倍で叶えられるよ、やったね!

 

 ――この後滅茶苦茶従属契約した!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

3/11(金)

 眠気のデバフは想像以上に大きいからちゃんと睡眠時間は取ろうね!

 今日は――というより、意識的にはほぼ昨日なんだけど昨日の日記を書いた後の事だから今日って言うけど、久しぶりの平日夜更かしデンドロタイム……!

 【虹竜王】にあそこまで言われて気にならない訳がないからね。

 そして、【虹竜王】達が僕達のリアルの都合を考慮してくれる訳でもないしねー。

 僕達のリアルの事情に関わらず世界は進んでいく……これがネットゲームの闇……!

 ……と、いうのはさておき、【虹竜王】に言われて向かった先は幻の秘境、正しく幻の<幻霊山>。

 【幻竜王】由来の場所だけあって見つけるのは中々に大変だったけどもなるほど、苦労した甲斐はあったしあそこが“秘境”と呼ばれるのも理解できる話だったよ。

 と、言うのも僕はデンドロで秘境、って呼ばれる所に入ったのは今回が初めてなんだけども――種も仕掛けもある濃密に過ぎる自然魔力に局所的な異常気象、独自の生態系。

 なるほど、秘境と言われるのも頷ける摩訶不思議な場所だったね。

 

 

 <幻霊山>ではそれらの特異性の中心はやっぱり、あの特殊で濃密な自然魔力だね。

 一言で言うならば()()()()()()()()。それこそ、何もせずとも自然に周囲の魔力がどんどん染まっていく程に。

 ……とても稀有な自然魔力だけど、染まりやすすぎて逆に加工とか使用する際に苦労しそうだよね。下手しなくてもすぐ暴走しそうだし。

 幸いと言うべきか不幸にもと言うべきか、<幻霊山>で採取出来た素材にはその様な特性は特に付いてなかったのも特筆しておこうかな。

 多分、元々の鉱石や薬草が持つ能力や特性が此処の魔力が染み込んだ事でより強化はされているみたいだけどね。

 特にそういうスキルもない僕ができる採取で普通に『高品質』が付いているのにも驚いたし、ほぼほぼデフォルトで『高品質』が付く程なのはまぁ控えめに言って異常なんだけどねっ!

 

 さて――勿論それらはとても良いお土産なんだけど、この<幻霊山>で僕が手に入れた一番の報酬はそれではないんだよね。

 そう、それは対峙して一目見た瞬間にティン、と来たあの<幻霊山>の(その時点での)ヌシであった【幻獣索冥】その御当人。

 その彼を激闘の末に打ち倒して従属契約(テイミング)する事に成功したのだっ。やったぁ!

 逞しさと美しさが同居する恵体、知性と威厳を湛えた眼差しに力強く雷霆を操る格好良い一本角!

 後でWikiで調べたら【幻獣麒麟】の亜種だって言うのも頷けるとてもとても素晴らしい子だよ。

 名前は麒麟が瑞獣、と呼ばれている所から取って瑞光、これからよろしくね!

 

 ……まぁ、そんな濃密な一時を過ごした数時間後の学校では休み時間の度にうたた寝をしていたんだけどね。

 だ、大丈夫。自由時間以外はちゃんと起きてたから……本当だよ?

 

 そ、それはともかく……学校から帰宅した後はまたデンドロにログイン。

 眠気が多少あっても遅れる訳にもいかないからね。なんたって今日は久しぶりのコテツ達との合流の日。

 イグニス達との合流の日でもあるからね!

 まぁ、ある程度の様子はリアルの方で聞いてたから心配とかはしてなかったんだけど皆元気にしてた様で何よりだよね!

 早速だけど瑞光と皆の顔合わせもしてみたけどもー……特にイグニスと気が合ったみたいだね。

 実力主義な所とかが共感したのかなって。……いや、むしろエレメンタルのリンはともかく一つの小島のヌシをやってたセレネがああいう性格なのが既に稀有な気もするけどね。

 モンスターとしては得難い個性だと思うから今後も一緒に頑張って行って貰いたいよね。

 ……彼女が使う術技には僕も興味津々だしねっ。

 

 それと、合流してからの特筆すべき事はもう一点。

 なんとジェーンさんの<エンブリオ>、【クローン】のクロが必殺スキルを修得したとの事。いやぁめでたい。

 早速試し打ち&検証を行う事になったんだけど――これがまぁ色々と面白い結果になったんだよね。

 

 【クローン】の必殺スキル、それはエンブリオの銘に相応しい生命の複製体(クローン)を作成する事なんだけども、とりあえず検証の結果分かった事はこんな感じ。

 ・複製にはリソースが必要。(コテツの【ゴブリン・マイナー】で約500万リル相当以上。通常の【リトルゴブリン】の市場価格は1000~5000リル、【ゴブリン・マイナー】でも数万リル程度)

 ・必要リソースは上級モンスター≧高レベルティアン>>>>>一般ティアン≧下級モンスター>>>>>一般動物でかなりバラつきが大きい。<マスター>は複製不可。

 ・非戦闘系必殺スキルの例に漏れずクールタイムは長めに一週間。

 ・複製された対象は()()()()完全に同一の個体。

 

 まだ試行回数1回と他の必要コスト測定しか出来てないけど、中々に興味深い検証結果だったよね。

 特に僕が注目しているのは必要コスト、リソース――それ自体ではなく、各々の変動によって何をどう複製する為のリソースとして算定しているのかがある程度分かったんじゃないかなって所だよね。

 コテツが僕達の周囲の詳しい必要リソースについて纏めてたんだけど、明らかに個々の実力、内包リソースと比べても噛み合わない点がいくらかあったりするからね。

 例えばサラさんと瑞光、実力に関しては隔絶した差があるのに必要リソースは想像以上の差はなかったり。

 イグニスと瑞光では現時点では瑞光の方が実力はある筈なのにイグニスの方が必要リソースは倍くらいあったりね。

 あと、実際に必殺スキルを使った【ゴブリン・マイナー】と比べて実力はそこまで差は無い筈の初心者狩場のモンスターはあからさまに必要リソースが低かったりそこまで差は無かったり――

 ではその未知の必要リソースの差となっている要素は何なのかと言うと、僕達はズバリ“可能性”、あるいは“適性”と呼べる物であると考えたんだ。

 ティアンであれば個々が持っている各ジョブへの適性一つ一つが、モンスターであれば適性のある進化先一つ一つをリソースとして算定してるんだと思う。

 ……ポケモンで言うなら分岐進化先の数が多ければ多い程必要リソースが多くなるって考えると何か変な感じはあるけどねっ。

 もしかしたらゴブリンはデンドロにおけるイーブイだったのかもしれない……なんて戯言はともかく。

 

 ――そんな小ネタの様な検証結果はさておき、内容自体も普通に必殺スキルとして相応しい凄みがあるよね。

 まず魂……記憶とか才能まで含めて複製ってのが僕が知ってる限り無二だしね。

 本人は使い所がないーって嘆いていたけど……リンやサラさんレベルでも当然の様に億超えだもんねぇ。

 まぁ、まだ検証も足りてないし、今後リソースを溜めやすくなる小技みたいなのが見つからないとも限らないし。

 今後に期待だよね、頑張れー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3/13(日)

 今日は昨日に引き続き龍都近辺の狩場で狩り&採取!

 ほぼほぼ言い訳もできないくらいに初心者狩場を荒らしてる上級<マスター>その一になってるけどこちらとしても苦肉の策だから許して欲しいよねって。

 流石にこの時期に首都近辺から遠出は出来ないからねー……

 

 今日はそんな変わり映えの無い日っ。もう少しで【高位練体士】もカンストだから頑張りたいけどモンスターとの遭遇もイマイチだったから仕方がない。まぁ同じ様な考えの人沢山いたっぽいからねー。

 仕様上の問題でレベルを上げたければ数だけが強味の魔蟲を狩れ、が基本なんだけど龍都近辺の狩場にはそんなに沢山魔蟲が居ないからねぇ。

 これも日々黄河の人々が間引きを頑張ってる証ではあるんだけどねっ。いつもお疲れ様なんだよ!

 それでも明日あるであろうと思われるホワイトデーイベントの内容がよっぽどじゃない限り明日にはカンスト出来る筈。

 焦らず確実に頑張って行こう!

 

 ……そういえば、この日記を今書いててふと思ったけど、【高位練体士】のカンストが見えてきてるという事は当然次のジョブに視野が向く訳で。

 僕は順当にカルディナで就こうと思ってたんだけど、やっぱり気にしない訳には行かないんだよね。

 瑞光と出会わせてくれた【虹竜王】の助言だからね。「君は回復魔法を習熟しておいた方が良い」って。

 

 正直に言って、僕は少なくともあの助言を受けるまでは回復魔法は全く重視してなかったんだよね。

 それは何故かって言うとデンドロの仕様上の問題でもあるんだけど……ダメージを受けた後に回復するより、そもそもダメージを受けない立ち回りをするのが最適解だと僕は思っているから。

 従来の多くのゲームと違って戦闘によるダメージに付随して傷痍系の物を含む状態異常を受ける事も多いデンドロでは迂闊にダメージを喰らえないからね。

 だからどうしても回避(AGI)、それと防御力(END)と結界によるダメージの遮断に偏って来たんだよね。

 勿論、これは僕の<エンブリオ>等を当てにしたプレイスタイルや僕個人の感想であってタンクやヒーラーを含んだ一般的なパーティ編成を否定する気はないけど、やっぱり僕には噛み合いにくそうだからね。

 だから回復魔法って言える物は【陰陽師】系統の《治療符》による持続回復くらいしか必要なかったんだよねー。他には多少の【ポーション】があれば十分事足りたからね。

 後は装備品や結界魔法による自動回復速度の増加や《練技・内丹活性(リカバリィ)》による即時小回復も一応あるし、浄化魔法の類はあるし、むしろ他の人と比べて回復手段は充実していたと言っても過言ではないからね。

 

 

 今までは、ねっ。

 瑞光との出会いもあったから【虹竜王】の助言を無視するのは難しい――のだけど。

 正直、場所が悪いっ!

 だって、【虹竜王】曰く、()()()()、だよ?

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!?

 超級職ならともかく、それ以外では仙丹とか気功による回復が主で、()()()()じゃないんだよね……!

 バランスを考慮してか超メジャーな回復魔法職の【司祭(プリースト)】には就けるけどその上級職の【司教(ビショップ)】は西方限定だし。

 東方の回復魔法職は【巫女】とか、天地に偏ってるから……

 だからと言って【司祭】だけ取って西方諸国に着くまでお預けってのも嫌だし。

 

 ……うん、とりあえず妥協案として暫く合間で《治療符》を始め回復系の研究をしておいて、カルディナに着くまでに特に成果がなければ予定通りのジョブに就こうかな。

 僕が言うのはとても強欲だっていうのは理解してるけど、こう言わざるを得ないよね。

 もっとジョブ枠が欲しいーっ! ってねっ。

 

 

 To Be Continued…………

 




ステータスが更新されました――――

浄写櫃慧(クローン)》:アクティブスキル
 【複写真命 クローン】の必殺スキル。
 複製を特性とする【クローン】の必殺スキルであるこのスキルの効果は当然、対象生命体の完全複製である。
 鏡台型のキャッスルでもある【クローン】の完全複製である筈なのにそのままではなく万全な状態で複製されるのはジェーン当人の微かなプライド、もとい【クローン】が発現するに至ったパーソナリティに由来する物だろう。
 リソースによって指定した設計図(対象)に沿った能力を持ち合わせた身体を生成する、という点で見れば様々な面で圧倒的に下ではあるがアリスの能力の下位互換と言っても間違いではない。
 魂まで含めて複製するというただ一点の為に完全下位互換とはとても言えないのだが。
 ……尤も、そのせいで必要リソースが莫大となっていると言う欠点もあるがそれはさておき。

 前述の通り完全複製を生成する為に必要なリソース量は膨大の一言。
 対象の()()を複写するのだからそれも仕方ないだろう、とは共通の見解だが、まだ色々隠された要素があるんじゃないかと睨まれているとかいないとか。
 ちなみに、比較して瑞光の必要リソースが低めの様に感じるのは彼が種として、個として、現時点で既に完成形に近いからであり彼自身の才能が低かったりする訳ではないらしい。
 むしろ従属モンスターでなく違う可能性を辿れば【竜王】に至る可能性があるドラゴン達がインチキなのである。

 ちなみに、このスキルは完全複製を行うスキルではあるが裏技として必要リソースに足りていない状態でも使用する事ができ、劣化複製を生成する事もできる。
 ……最低限のリソースがないとR-18Gの様な状態になるし、必要リソースが足りていない状態という事は残存リソースを吐き出し尽くすという事と同義である為、恐らく使う事はないだろうが。

 

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