原点のメッセージを、いまに伝える。
vol.04
マテリアルを追求した、美しさの神髄。

原点のメッセージを、いまに伝える。

写真:岡村昌宏(CROSSOVER) 文:まつあみ靖

ラドーの名のもとに初のウォッチコレクションが発表されたのは1957年。『ゴールデン ホース』は、その中の記念すべき1本だった。ケース素材にステンレス・スチールを用い、より多くの人に、スタイリッシュで、信頼性の高い腕時計を届けたい。そんなメッセージが込められていた。
このオリジナルモデルをオマージュし、現代の最先端技術をもって忠実に復刻した『ラドー ゴールデン ホース 1957 リミテッド エディション』が登場した。ケースデザインもサイズもカラーも、ラドーを象徴する揺れ動く錨のシンボルや一対のタツノオトシゴのロゴも当時のままに再現。しかし風防はアクリルガラスからサファイアクリスタルへ、ムーブメントも80時間ものロングパワーリザーブをもつ自動巻き仕様にアップデートされている。
そんなモデルにシンパシーを覚えるというのが、日本刀の修復や外装製作を手がける職方、大塚寛信氏である。剣道、居合を通して刀剣に魅了され、18歳から刀剣修復、研ぎ修行を経て独立。「千年の文化がある日本刀を1本でも多く残したい」と刀に対峙する。
「日本刀の修復では、用いる素材や製作上の掟だけでなく、刀が発するメッセージやストーリーを読み解くことが大切。たとえば肥後拵などは、茶の湯の美意識を日本刀の外装に取り込もうとしたもの。その精神性を現代の空気感の中で再現しなくてはなりません」
腕時計と日本刀、共通するのは精密なつくりこみだけではない。かたちをなぞることにとどまらず、オリジナルのメッセージを汲み取り、換骨奪胎して現代に活かす。その極意がラドーの復刻モデルにも息づく。

  • ラドー ゴールデン ホース 1957 リミテッド エディション

    自動巻き、ステンレス・スチールケース、ボックス型サファイアクリスタル風防、ブラックカーフレザーストラップ、ケース径37.0ミリ、パワーリザーブ約80時間、5気圧防水。¥194,400(税込)

  • ラドー ゴールデン ホース 1957 リミテッド エディション

    自動巻き、ステンレス・スチールケース、ステンレス・スチールブレスレット、ボックス型サファイアクリスタル風防、ケース径37.0ミリ、パワーリザーブ約80時間、5気圧防水。¥205,200(税込)

原点のメッセージを、いまに伝える。
デザイナーと描く、いまを語る腕時計。
vol.03
マテリアルを追求した、美しさの神髄。

デザイナーと描く、いまを語る腕時計。

写真:岡村昌宏(CROSSOVER) 文:まつあみ靖

ハイテクセラミックスの技術開発のみならず、ウォッチデザインにおいても、ラドーは先進的なスタンスを見せている。権威あるドイツのレッド・ドット・デザイン・アワードをはじめ、35以上もの国際的デザイン賞を獲得していることや、プロダクトデザイン界の巨匠ジャスパー・モリソンとのコラボレーション、また時計業界以外で活躍しているデザイナーを起用したコレクションも、ラドーのデザインに対する意識の高さを示している。
今回発表された『ラドー トゥルーシンライン スタッズ リミテッド エディション』と同『ジェム リミテッドエディション』も、この流れに位置付けることができる。前者は、イギリスの家具デザイナー、ベサン・グレイが手がけたもの。文字盤は12 ピースのウッドパーツによるマルケトリ(象嵌)で、ブラックレザーのストラップにはゴールドカラーのスタッズがあしらわれた。後者は、照明やキッチン用品などで知られるスペイン人デザイナー、インマ・ベルムデスによるもの。ファセット加工を施したサファイアクリスタルと、磁器のオブジェを思わせる浮き彫り加工の文字盤とを組み合わせた。
デザインに関する編集や執筆で活躍する猪飼尚司さんは「グレイのデザインは、通常ならハードなイメージになりかねない黒と金のスタッズの組み合わせを、心穏やかなリズムにまとめています。ベルムデスのモデルは、素材に正面から向き合い、奇を衒わず、新鮮な発見の喜びを感じさせてくれますね」と、2つのモデルを評価する。
「かたちの統制を取るのではなく、使う人の心のバランスを整え、これまで培ってきたものをちょっとだけ前に進める感覚を促すのがデザインの役割。こうしたデザイナーを起用したラドーも、伝統だけに頼らず、“いま”を語っているのを感じます」

  • トゥルー シンライン ジェム リミテッド エディション

    クォーツ、ホワイトハイテクセラミックスケース&ブレスレット&クラウン、ファセット加工サファイアクリスタル風防、ケース径38.0㎜、3気圧防水。¥253,800(税込)

  • トゥルー シンライン スタッズ リミテッド エディション

    クォーツ、ブラックハイテクセラミックスケース、PVD加工ステンレススチールスタッズ付きブラックレザーブレスレット、ケース径39.0㎜、3気圧防水。¥216,000(税込)

デザイナーと描く、いまを語る腕時計。
復刻デザインに秘めた、最先端技術。
vol.02
マテリアルを追求した、美しさの神髄。

復刻デザインに秘めた、最先端技術。

写真:岡村昌宏(CROSSOVER) 文:まつあみ靖

写真右:キャプテン クック オートマティック 自動巻き、ステンレススチールケース&ブレスレット、ケース径42.0㎜、パワーリザーブ約80時間、20気圧防水。¥226,800(税込) 写真左:キャプテン クック オートマティック 1962 リミテッド エディション 自動巻き、ステンレススチールケース、ケース径37.0㎜、ブラウンレザーストラップ、パワーリザーブ約80時間、10気圧防水。¥237,600(税込)

昨年発表された、ウォッチ以外のジャンルで活躍する6人のデザイナーとコラボした『ラドー トゥルー・デザイナーズ・コレクション』は、ラドーのデザインに対する革新的なスタンスを印象づけた。日常と非日常の境界を越えるようなデザインで知られるファッションブランド『アンリアレイジ』の森永邦彦氏は、紫外線量で透明から黒へと変色するフォトクロミック技術を導入したダイヤルを手がけた。
「光は自分の服のデザインにおいても重要なテーマ。ダイヤルの色の変化で時間の流れを表現したかったのです」
そんな森永氏の目に、1960年代のオリジナル『キャプテン クック』を忠実に復刻したケース径37㎜の限定モデルと、現代的なテイストを加えてケース径を42㎜にサイズアップしたモデルはどのように映ったのだろうか。
「祖父はエンジニアとして新幹線の軌道開発に携わった人でしたが、ちょうどこの限定モデルのような文字盤カラーのラドーの時計を着けていました」
オリジナルモデルの設計図は、ラドー本社が洪水の被害に遭った際に消失したため、本社に残っていたオリジナルの実機の構造をスキャニング技術によって解析し、完全な復元が実現した。
「単なる復刻にとどまらず、最先端技術によって当時の姿を再現しているというところが興味深いです」
イノベイティブな要素を自身のブランドのデザインにも積極的に取り入れている森永氏のクリエイションにも、一脈通じるものがありそうだ。またラドーを象徴する、動く錨のシンボルの背景部分もオリジナル同様ルビーを採用するなど、ディテールへの気配りも、「神は細部に宿る」を信念とする森永氏に響いたポイントだ。「製作プロセスからディテールに至るまで、知るほどに発見があり、惹かれていく時計ですね」と森永氏は目を細めた。

わずかに盛り上がったボンベ状の文字盤や、サンブラシ仕上げのブラウンカラー、また針の形状までもオリジナルを忠実に再現している。

リミテッドエディションにはレザー製トラベルポーチとステンレススチール製ミラネーゼブレスレット、NATOストラップが付属する。

復刻デザインに秘めた、最先端技術。
永遠に変わらない、“漆黒”の世界。
vol.01
マテリアルを追求した、美しさの神髄。

永遠に変わらない、“漆黒”の世界。

写真:岡村昌宏(CROSSOVER) 文:まつあみ靖

実現が困難である故に、人は”永遠”という言葉に憧れを抱く。傷つくことなく“永遠に”美しいままで――。そんな難題を克服する腕時計に、ハイテクセラミックスを用いて挑戦を続けてきたパイオニアが、ラドーである。

ハイテクセラミックスは耐傷性に優れるだけでなく、軽量で低アレルギー性、金属のような冷たさがなく快適に装着できるなど、多くのメリットをもつ。しかし高硬度ゆえに加工が難しく、形状や発色などさまざまな問題をクリアする必要があった。そんなハイテクセラミックスに、ラドーは1980年代からいち早く取り組んできた。

「先駆者ゆえの技術的アドバンテージはさすが」と指摘するのは時計製造技術に詳しいライターの髙木教雄氏。

「黒、白はもとより、ハイテクセラミックスで多彩なカラーを実現し、発色も美しい。ポリッシュ仕上げもマット仕上げも自由自在。他ブランドがプレスによる成型後に焼結してケース製造するのに対し、ラドーは独自の〝インジェクション〞という射出成型技術を開発して、フォルムの自由度を高めている。また一体成型のモノブロックケースを開発し、かつて必要だったSSやチタンなどのインナーケースを排し、ハイテクセラミックス本来の軽量性を引き出した。製造プロセスも簡素化でき、コストダウンも実現している」

そんなラドーの”原点”というべきが、ブラックハイテクセラミックスのモデルである。ここに紹介する2モデルともに、ポリッシュ仕上げしたモノブロックケースを採用。片やオープンダイヤルから、80時間のパワーリザーブを誇るムーブメントがその姿をスタイリッシュに覗かせ、片やパワーリザーブインジケーターを採用し、実用的かつクールな印象。技術力に裏付けられた機能美は、身に着けてこそ初めて実感できるに違いない。

  • ダイヤマスター パワーリザーブ

    自動巻き、ブラックハイテクセラミックスケース、ブラックレザーストラップ、ケース径43.0㎜、パワーリザーブ約80時間、10気圧防水。¥232,200(税込)

  • トゥルー オープンハート

    自動巻き、ブラックハイテクセラミックスケース&ブレスレット、ケース径40.0㎜、パワーリザーブ約80時間、5気圧防水。¥237,600(税込)

永遠に変わらない、“漆黒”の世界。
永遠に変わらない、“漆黒”の世界。