無限の世界のプレイ日記   作:黒矢

75 / 83
前回のあらすじ:これだから<マスター>は!

それでは本編をどうぞ!


第七十四話 ブラック・バレンタイン

□<【金土銀灰 カナヤマヒコ】> 【高位鍛冶師】コテツ

 

 

 一方その頃。

 

 

 

 ――カァン! カァン! カァン! カァン! カァン!

 

 

 

 この世界(インフィニット・デンドログラム)には、犯罪者と言う概念が存在する。

 人と人とが世界に在り、集団を作り社会を、国を築けばその総体を維持する為の法という概念が生まれ、それを外れ罪を犯した者を罰する仕組みが出来るのもまた必定だ。

 その理は現実(リアル)であろうとこの世界であろうと変わらぬものだが――その犯罪者の扱いはまるで違うものとなる。

 

 それと言うのも、まず何よりも違いがあるとすれば世界の理(システム)が違うのが一番の原因であると言える。

 現実風に言えば、所謂ファンタジー世界であるかの世界の住人は総じてジョブ、ステータス、スキルの恩恵を受けた超人であり、特殊なスキルや効果の付与されていない縄のみならず、()()()()()()の鎖や手錠でさえも素手で引き千切ったり、拘束から脱するスキルを所持している者だって少なくないのだ。

 ……と言うよりも、そもそも犯罪者が良く就く様な系統のジョブにこそ解錠や縄抜け、逃走に有用なジョブスキルが習得出来たりするのだ。

 現実世界の様な並みの方法で犯罪者達を拘束しておく事は当然、できないのだ。

 

 

 ――カァン! カァン! カァン! カァン! カァン!

 

 

 勿論、暴力を、個人の武力を背景に一時的に拘束する事は出来るだろう。

 恐怖を、【恐怖】を以て抵抗の意思を削ぎ従順に従わせる事は可能であるだろう。

 だが、それは犯罪者に対する抜本的な解決に非ず、とてもコストが掛かり常用できるものでは決してない。

 犯罪者が抵抗を試みても制圧できる武力持つ個人をずっと犯罪者達の監視につけ続ける事はできず、恐怖の感情は誰に対しても効くものではなく更に時によって風化し、精神系状態異常も自然に癒えてゆく物であるからだ。

 そもそも<マスター>の犯罪者に対しては効果が薄い物であるのだが――<マスター>の犯罪者に関してはまた全く別の(ルール)が働き、全く別の対処が行われる為今回は言及しないでおく。

 

 

 ――カァン! カァン! カァン! カァン! カァン!

 

 

 そんな、世界の理からして犯罪者を歓迎しているかの様なこの世界であるが……当然ながらと言うべきか、実際の所はきちんと犯罪者を拘束する術は存在している。

 つまり、現実の世界と比べても問題なのはそのステータスと習得しているスキルなのだ。

 ならば、それを封じれば良いのだ――その為の施設が、この世界における<監獄>なのだから。

 

 <マスター>が管理AIによって収監される“監獄”とは違う、ティアンの犯罪者の為の“建物”。それが<監獄>、ないしは<収容所>などと呼ばれている建物だ。

 この世界は建物にも不思議な効果が発揮させる事ができ、<監獄>は建物内の登録された、あるいは建物の管理者の指定した、登録した、閉じ込められている事などを条件としてステータスのデバフやスキルの封印と言った効果を発揮する類の建物群だ。

 この様な効果を持った施設があってこそこの世界では犯罪者を拘束できるのだ。

 そうでなければ、例え【建築家】系統が作り強度が強化された牢獄とて【壊屋】系統の対オブジェクト特攻スキルや【魔術師】系統の地属性魔法などで容易く突破されてしまうだろう。

 <監獄>以外でも同じ手法は用いられ、<監獄>までの輸送で継続的な拘束が困難であったりする時の為に同様の効果を付与されたアイテムが開発されたりするのも当然の歴史の流れだろう……

 

 

 ――カァン! カァン! カァン! カァン! カァン!

 

 

 さて、それでは無事犯罪者達を収監できたこの世界の人々は現実と同じ様に罰せられるのかと言えば――その実、現実世界と比べて“禁固刑”という物が殆ど存在しないのが特徴的だ。

 殆どの犯罪者は現実世界で言う所の“懲役刑”に当たる刑務に当てられる。

 

 何故なのか――それは当然、この世界では犯罪者をただ囲っておくだけの、()()()()()()()をする余裕は全くないのだから。

 人間は、人型範疇生物は、この世界では弱者なのだ。

 基礎ステ―タス、才能の限界、身体特徴――いずれを取っても上位のモンスターに比肩し上回る事ができる者など極僅か。

 セーブポイントの加護もあり今は安定していても、いつ何時何があって均衡が崩れるとも限らないのだ。

 

 ならば、同じティアンを、その犯罪者を……そのリソースを、遊ばせておく理由など何処にもないだろう。

 

 

 ――カァン! カァン! カァン! カァン! カァン!

 

 

 犯罪者達に与えられる懲役刑務の中で最もメジャーな物は公共事業に対する魔力供給(MP供与)だ。

 <マスター>風で言えば犯罪者達を“魔力電池”の様にしているその扱いではあるが、模範囚としては大した労力も必要とせず、供給した魔力量に応じて僅かな恩赦が与えられる為人気な労役であると言える。

 だが……魔力供給の労役を行えるのは、当然だがMPのステータスをある程度以上に持つ生産系や魔法系のジョブに就いている者のみだ。

 その為、大多数の犯罪者達は苦行である単純作業による労役をやらざるを得ないのだ。

 

 ――そう、単純作業は端的に言って“苦行”なのだ。

 

 確かに、ステータスによる恩恵もあり、犯罪者達であろうとも身体能力自体は現実世界のそれとは比べ物にならない程に高い……だが、それはこの世界であればジョブに就いていない様な子供等を除いて皆同じであり、そうであるならばそれが前提とした仕事量になっているというのも当然の摂理だ。

 そうでなくともこの世界にはモンスター災害等の災厄は多い。

 復興再建、その為の資源収集その他諸々、手はいくらあっても余るという事はないのが実情だ(<マスター>の増加以前までの話ではあるが)。

 その他の作業でも、公共事業であったり“契約”で縛った後に人手が足らない場所への単純作業への派遣等色々されるが……しかし、それらの単純作業は、この世界の理においては“苦行”にしかならないのだ。

 

 その原因は――偏に、ジョブシステムの弊害とも言えるだろう。

 農作業は【農家】が、土木作業は【大工】が、書類作業は【書士】が、運搬作業には【飛脚】が、採取作業は【採取士】が――

 それぞれ担当するジョブが存在し、ジョブスキルが存在し――それらを持っていない者と持っている者とでは、その作業効率には雲泥の差が生じる物なのだから。

 そして、文明が発達していない様な歴史にすら記されていない古代ならばともかく、今の時代となってはそれらの仕事はそれらのジョブを、ジョブスキルを所持している前提で回される物。

 現場の他の人達の行動も、手順も、その行動に与えられる報酬も……ジョブスキルを所持し、効率化されたそれを基準として判定されるのだ。

 ならば、それはジョブを、ジョブスキルを所持していない派遣されてきた物に与えられる環境も報酬も、労苦に全く見合わぬ最低ランクの物と体感するに違いないのだ。……あるいは、それが犯罪者への罰への一環なのかもしれないが。

 

 

 ――カァン! カァン! カァン! カァン! カァン!

 

 

 だが、それでも犯罪者としてはステータスの恩恵として与えられている有り余る力を余らせておくよりは、僅かながらも恩赦や報酬を得られるそれに飛びつくのも已む無しと言った所だ。

 ……待遇としては奴隷落ちしての肉壁をさせられるよりは大分マシだと言うのもある。

 心底から改心した犯罪者などはジョブリセットして該当するジョブに就き、効率を増す為にも釈放された後の為にも自らをその道に適用させようとする者も居る。

 

 ――そして、効率が悪くてもそんな犯罪者達を安価に、そして“契約”により確実に運用できる事を是として雇う側も確実にしているのだ。

 勿論、その犯罪者達は実質的には国からの貸与物の様な扱いなのだ。違法的な事は出来ないしそもそもそういう相手に雇わせられる事はない。

 作業内容自体はまともであり、後ろ暗い所はなくとも、他所には隠しておきたい様な“秘密”……秘儀などがある。その様な者が特に好んで犯罪者の労働者を雇い入れるのだ。

 

 

 

 ――――そう、つまり僕の事だ!

 

 

「《神鉱金(カナヤマヒコ)》――さぁもう一度だ。頑張ってくれたまえ!」

「ご主人様、こちらが次の【MPポーションLv10】です」

「おお、ありがとう……ふぅ、良し。さぁ皆、ポーションのクールタイムが明ける前には掘り尽くしておいてくれよ」

「旦那ァ!? これ(採掘作業)は何時まで続けなきゃならないんでさぁ!? 何度掘っても終わらないじゃねぇですか!?」

「うん? それは勿論――(市場から買い込んだ)ポーションと時間が続く限り、さぁ!」

 

 ――――――――ッ!!

 

 声にならない悲鳴が木霊する。

 しかし、そこは<マスター>の<エンブリオ>――それも、TYPE:キャッスルの腹の中。例えその悲鳴を実際に上げていたとしても外の誰にも届く事は無い。

 斯くして、後に覚悟を決めた雇い入れられた犯罪者達は(相場よりも大分良い報酬で雇われていた事もあり)自棄になったかの様に自らのステータスをフルに使って無心で鉱壁に向かってピッケルを振り続ける。

 そして、その場に残されたのは採掘された鉱物が収められた【アイテムボックス】と長時間の単純作業で思考がハイになった犯罪者達とコテツ、そして何故か変わらずに笑顔で【ポーション】を渡しつつも採掘に参加しているサラ、そして後方に散らばる無数の【スタミナポーション】と【MPポーション】の空き瓶だけだった――――

 

 

 

「……此処は地獄か?」

(マスター)、多分私達も続く事になりましょう……』

 

 新たなる犠牲者(ジェーンとクロ)がそこに加わり、その複製能力を使って更なる混沌たる場になるまで残り█分――!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

2/13(土)

 流石の僕も用事を終えた後は一旦お昼寝したよね……頼れる仲間が居るって良い事だね!

 

 さて、今日は朝ご飯を食べてから割とすぐにデンドロにログインして、予定通りヴィレッゾ海賊団の海賊達と保護した人達を護送していく事にっ。

 保護した人達は僕を含む<マスター>と共に【ヴェパル】で行動を共にして、海賊の人達は拘束された上で【紅の牙】団の人と巡洋艦に乗っての航海だね。

 流石に速度差がかなりあるから【ヴェパル】で巡洋艦を牽引しながらの道中だから、咄嗟の時の戦闘力は落ちるけど、まぁその為の僕を含む<マスター>だからね。

 ……いや、対応できる自信はあるけど状況が状況だから被害を出さない為にも索敵は全開で、【ヴェパル】にも魔力を注ぎ込んで全力で進んで行ったんだけどね。

 デンドロに限らず、VRMMOに限らず……護衛って言うのはただの戦闘と比べても必要な事が多すぎるんだから。

 これが昔のゲームだったりすると護衛対象が敵に向かって突撃しに行ったりするんだとか。……今回の僕達は海賊達も保護した人達も大人しかったのは本当に幸運だったね。

 

 そういえば、海賊達に捕まって奴隷にさせられていた亜人の人達に関してふと思ったんだけど、やっぱりグランバロア、僕が今までいた天地と比べたらかなり異種族と言うか亜人のティアンの人が多いんだよね。

 天地だと若干の耳角尻尾……獣人や鬼人と言った通常の人と殆ど姿形が変わらない人が多かったんだけど、グランバロアはそうでもないし。

 人魚、魚人と言ったファンタジー的によく見るのがいれば柔軟性や手足の数まで大きく違うタコやイカの亜人が居たり、亜人……人? と思う様なクラゲ人とか今回保護したナマコ人みたいなのまで居るんだから凄いよね。

 【紅の牙】団に居る亜人の人達は鮫人とか鱗人とか蜥蜴人と言った人達ばかりで割と天地に居た人達と同じで人っぽさは濃かったり、人となりも普通に頼れる海の男っぽい感じだったから、ちょっと新鮮だね!

 ……ちなみに、互いのSTRとEND次第ではあるけど、あの[さめはだ]を思いっきり殴られれば相手も痛いしダメージや【出血】を喰らう事もあるんだとか。亜人ってすごーい!

 亜人の種族特徴は本当に種々様々でWikiでも調べ甲斐があるよね。スキル外の耐性とかステータスの差とか面白いし興味深いよね!

 でも、どれだけ調べても種族:天使の種族特徴とか殆ど載ってなかったんだけどね……種族変更は亜人とは全くの別物? そんなー!

 

 まぁ、そんなに亜人系統が多いのも然もあらん。なんとグランバロアは世界的に見ても亜人族の人数もバリエーションも堂々の二位の国なのだから!

 実質的に国土……国家領域はトップだし、特に水棲系統の亜人の人はほぼほぼグランバロアに居るらしいからね。

 あるいは、国の環境的にもそういう亜人達の力を頼りにしていたというのはあるのかも、とかね。

 それこそ建国神話の時から登場してるしね!

 ちなみに、続く三位は古龍人を祖として帝として国を栄えさせる黄河で、更に二位三位をぶっちぎってる単独トップがレジェンダリア、他四国は割と似たり寄ったりなんだとか。

 ……グランバロアでもかなーりバリエーション豊かだけど、それすら比較にならない程の亜人達の国なんだとか。伝聞の情報でも想像し切れないよ!

 Wikiの項目見ても分かるけど、分からないんだよね。

 レジェンダリアの亜人事情は複雑怪奇過ぎて……一言で言うならば

 _人人人人_

 > カオス <

  ̄Y^Y^Y ̄

 あれで普通に国として運営できているってのが良く分からないよね。棲み分けで何とかなっているのか、首長が凄い人なのか、果たして!

 

 ちなみに、エメラダ達みたいな<マスター>がクルーのティアンを募集する時はNGな亜人系統は予め宣言しておくのがマナーなんだって。

 実質的に半固定パーティみたいなものになるんだし、個人的な感想でもNGがあるならばきっちりと言っておかないとかなりの確率でトラブルの種になって双方周囲全てに良くないからね。

 デンドロが始まった当初はそれで色々とトラブルが絶えなかったんだとか。配慮したりして誰でもどんな種族でも歓迎、とか言っちゃった人とかね。

 

 ……いや、そう考えるとエメラダ達――桑木さん達も良く【紅の牙】団の人達OKだったよね?

 鮫人とか蜥蜴人とか、グランバロアの亜人種の中でもかなり厳つい部類の筈なんだけど。

 うん、でも……なんとなく納得、かなぁ。

 

 さて、日記では一杯書いちゃったけど――そんなこんなで急いだ甲斐もあってか、無事何事もなく本船に到着っ!

 やっぱり距離があったしリアルでも結構時間掛かっちゃったね。以前の教訓(【黒竜王】との戦い)が無ければ危うく大変な事になる所だったね。

 海賊達も保護した人達もティアンの当局の人に預けて無事、クエスト完全成功だよ!

 

 

 さて、クエストに成功したのは良いんだけど――それはそれとして、少し準備した後はまたとんぼ返りするかの如く海域へ。

 明日の準備だね。掃海の補助というか、つまりはまぁ割と無軌道なモンスター狩りの予定だね。

 つい最近に節分があったからない可能性もかなり高いと思うけど、それでももしかしたらイベントがあるかもしれないし、その準備でもあるね!

 そんな訳で明日の狩りを十全に行う為にティアンの人達抜きでの<マスター>四人、最高速度で割と無茶な狩りも大丈夫な体勢を整えたのだ!

 ……だから何もなかったらちょっと肩透かしなんだけども、それはともかく。

 狩りをする予定の海域までの移動も終えたし、桑木さん達と共にログアウトして、後は英気を養うのみっ。

 

 

 ……まぁ、その移動中で仮眠(昼寝)してたから、ログアウト後もMHFDはやってたんだけどねっ。

 

 

 ガチャ:

 D 【劣化万能霊薬】

 E 【エメンテリウム】

 C 【ジェム:アンチヒール】

 D 【森の幸セット大盛り】

 B 【俊足の指輪】

 

 実は眠気に耐えながらガチャ引いてたんだけど、もしかして久しぶりの自分で実用できる小当たりでは……?

 

 

 

 

 

 

 

 

2/14(日)

【<Infinite Dendrogram>公式季節イベント開催中!】

【現在、『バレンタイン』イベント開催中! 気になるあの人を誘ってパーティを組み、チョコレートをゲットしよう!】

【世界中に出現したモンスターを愛の誓いの力で倒し、甘いチョコレートで更に仲を深めよう! 豪華景品との交換も可能!】

【※チョコレートの味はランダムです。お好みの味のチョコレートを探してみるのも良いかも……?】

 

 味はランダム(カカオ-300%~1000%、どっきりもあり)一体誰得なんだろうね……?

 普通に食べたい味は自分で作るか店で買ったり頼んだりするんだからそこはスタンダードな味で良いと思うよっ。

 そんな訳で、内心結構ないんじゃないかなーと思っていたけど普通に開催されたバレンタインイベントだよ!

 まさかアニバーサリーとか新年みたいな大きな節目でもないのに半月も経たずにイベントが始まるとは思わなかったからね……まさか、路線替え――!

 現時点では想像しかできないのはともかく、今回のバレンタインイベントの概要っ。

 今回も世界中にポップしたイベントモンスター……何故か少女の姿の悪魔を狩って(ちなみにグランバロアだと水着姿だったよ)、ポイント代わりのチョコレートを集めてイベント景品と交換する、まぁ割と見慣れたスタイルだね。

 ただ、今回のイベントに関しては特殊ルールがあって、バレンタインだからか、二人でパーティを組まないとイベントモンスターにダメージを与えられないし、逆に与えられる事もないんだって。

 ……危なかったっ! 桑木さん達の所に厄介になってなければまともに参加できない所だった……っ

 人化できる従属モンスターなら良いとか特殊裁定してくれても良かったのにー。

 ちなみに、特殊な裁定と言えばチョコレートはちゃんと包装された状態でドロップするんだよ。

 グランバロアだと包装されてないと海水で溶けちゃうからね……

 

 さて、僕らは今回のイベントは準備していたのもあるけど、イベントに合って運良く<マスター>が偶数人の四人だから普通に2:2で分かれてイベントに参加する事になったよ。

 組み合わせはエメラダとマンリョウ、そして僕とアルビジア。まぁ火力は分けないと不都合だからこうなるね。

 今回のイベントモンスターは特殊ルールがあるからか、節分の時と比べて特段注意して対処する必要があったりもしないし。

 つまり――ひゃっはー狩り放題だー!

 日曜日だったのもあって、結構な時間を狩りに費やせたのは本当に良かったね!

 途中で三人から(イベントで手に入れた)チョコを貰ったり、ホワイトデーには間違いなく別の国に行っているからと僕もその場で(イベントで手に入れた)チョコを三倍返ししたりして――

 ……バレンタインってこんな風習だったっけ!?

 ま、まぁ各々美味しいと思った味だったから多分間違ってないよね、多分。

 

 でもログアウトした後に明日香と勝からチョコ貰った時の方がやっぱりまともなバレンタインだったよねって。

 ……こういう形式だったならコテツとジェーンさんも誘って同乗して貰っても良かったのかなーってふと思っちゃったなぁ。

 サラさんもだけど、コテツ達、今頃何やっているんだろうね。ちゃんとイベントは参加できてるのかなー?

 

 

 

 

 

 

 

 

2/15(月)

 ふふふ、今日は学校に行く前の時間も使ってイベント狩り……夜更かしもしてないのに何故かテンションが上がっちゃうよね!

 と言ってたら何故か怒られた。なんでぇ……

 ……まぁそれはともかくっ。今日は昨日に引き続き、更に遠方に舵を切って――つまりは、より強い海棲モンスターが生息している方へ、より強いイベントモンスターが居る方へ向かうって事だね。

 昨日の時点ではまだまだ余裕があったし、当然の選択だねっ。ついでに巻き込んでの掃海も多少は行えるから一石二鳥だね。

 というかモンスターの生息数が多い海域に行けば隠れたりしなければ勝手に向こうから集まってくるからね……

 《スプリットブラスト》とか《ソニックウェイブ》とか爆雷投射とか、巻き込まれまくってるのも居るかと思えば回避して鋭い攻撃をしようとしてくるのまで居るからそっちも油断できないんだけど――僕的にはそれくらいの方が丁度良いかなって。

 うん、戦利品回収装置がなかったら大変な事になってたね……これだから大海はっ。

 

 ……まぁ、僕の場合影分身を過労死させればなんとかなるんだけども。

 こんな事もあろうかと、潜水服や酸素ボンベの類は複数買っておいたからね――そう、影分身に装備させる用にねっ!

 現時点でも影分身は出して、海中で戦闘させてたんだけどねー。泳いでいるのばっかりじゃなくて潜水中の悪魔(仮)も居るからね。

 第一次影分身ならそれでも戦えるからねっ。命綱代わりに【アプサラス】の子機も携帯させているけども特に、この近辺は結構モンスターの移動が激しくてそこかしこから、深海からもどんどんモンスターが飛び出してきていたから、手はいくらあっても良いくらいだったよ。

 ……近くに〈UBM〉とか特異なモンスターでも居たりするのかな、なんてね。

 

 ちなみに、チョコレート争奪戦は僕達のパーティの方がリード!

 【アプサラス】の子機も爆雷を使ってキルを稼いだりしてるからね。むしろ通常の投射よりよっぽど広範囲にバラまけるのはやっぱり強み、だね。

 さぁ、ラストスパートも頑張るぞー!

 

 まさか学校で改めてチョコを渡されるとは……ホワイトデーのお返しどうしようねっ。 

 

 

 To Be Continued…………

 




ステータスが更新されました――――

神鉱金(カナヤマヒコ)》:アクティブスキル
 【金土銀灰 カナヤマヒコ】の必殺スキル。
 【カナヤマヒコ】は内部拡張と産出鉱物の強化、産出速度の増加と鉱山としての機能に特化した<エンブリオ>であり、当然ながら必殺スキルであるこのスキルもそれに準じた性能となる。
 即ち、その機能は――【カナヤマヒコ】内部の鉱壁の強化更新。
 必殺スキルのリソースと<マスター>の最大MPの100%を使用して、更にそのリソースを呼び水に周囲の自然魔力を取り込み、それら全てのリソースを消費して鉱山を活性化させる。
 消費された合計リソースに応じて急速に鉱山内を刷新した新たな鉱物を生み出す事が出来る。
 周囲の自然魔力を取り込み鉱壁を強化更新するこの必殺スキルを使用し産出される鉱物は周囲の自然魔力の影響を色濃く受ける――つまり、周囲で採れる鉱石と同じ特性・属性・性質を持つ鉱物となりやすい。

 また、この必殺スキルは約一週間のクールタイムを要するが、【カナヤマヒコ】の持つ《魔力供給》スキルによってリソースを捧げる事でクールタイムの減少が可能である。

▲ページの一番上に飛ぶ
Twitterで読了報告する
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。