経済産業省
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商工業実態基本調査

1.中小企業の売上高営業利益率


 (注)売上高営業利益率とは営業利益を売上高で除して求めたものである。売上高営業利益率は企業の収益性、経営能率の良否を示す重要な比率で、利幅の程度を表す。

 企業の収益性を測定するため、売上高営業利益率を見てみよう。売上高営業利益率は、製造活動及び販売活動にのみ関係するから、企業の本業の成果をみることができる。なお、中小企業は多種多様な企業から構成され、平均値だけでは中小企業の実態を明らかにできないので、売上高営業利益率の分布により中小企業の多様性を見てみよう。

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 製造企業における売上高営業利益率は、中小企業、大企業とも4.0%となった。この結果、中小企業と大企業の規模間格差は見られない。

 製造企業における中小企業の売上高営業利益率をみると、一般機械器具製造業の5.4%が最も高く、次いで、その他の製造業及び家具・装備品製造業の5.2%となった。他方、売上高営業利益率が低いのは、鉄鋼業の2.1%、石油製品・石炭製品製造業の2.3%、木材・木製品製造業の2.8%となった。この結果、最も高い一般機械器具製造業と最も低い鉄鋼業との業種間格差は3.3ポイントとなった。

 製造企業における売上高営業利益率の規模間格差をみると、中小企業が大企業を上回っているのは、家具・装備品製造業の3.2ポイント、繊維工業の2.9ポイント、金属製品製造業の2.0ポイントなどとなった。他方、中小企業の売上高営業利益率が低いのは、その他の製造業の▲3.6ポイント、鉄鋼業の▲3.0ポイント、化学工業の▲2.7ポイント、出版・印刷・同関連産業の▲2.1ポイント、ゴム製品製造業の▲1.8ポイントなどとなった。

製造企業における売上高営業利益率

 次に、製造企業における売上高営業利益率の分布を見てみよう。次の図は、中小企業及び大企業の企業数をそれぞれ100とした構成比(百分比)で表したものである。これによると、中小企業では、売上高営業利益率がマイナス(営業損益が赤字の状態)の企業が25.9%、プラス(営業損益が黒字の状態)の企業が74.1%となり、ほぼ4分の1の企業が本業の儲けを示す営業損益の段階で赤字となった。他方、大企業ではマイナスの企業が15.6%、プラスの企業が84.4%となり、ほぼ6分の1の企業が営業損益が赤字となった。

 プラスとなった企業の分布をみると、中小企業では利益率0~2%の企業の12.9%をピークに10%までの範囲に3分の1の企業が散在している。一方、これより高い利益率を挙げている企業が見られるなど、中小企業の収益性の多様性がうかがえる。他方、大企業では利益率0~2%の企業の28.4%をピークに4%までの範囲に約半分の企業が集中するなど、低い利益率に偏在している。

製造企業における売上高営業利益率の分布

(注)中小企業の売上高営業利益率50%以上のほとんどは、1~4人規模である。

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 卸売企業における売上高営業利益率は、中小企業が1.5%、大企業が0.9%となった。この結果、中小企業が大企業を上回り規模間格差は0.6ポイントとなった。

 卸売企業における中小企業の売上高営業利益率をみると、売上高営業利益率が高いのは、繊維・衣服等卸売業の1.7%、建築材料、鉱物・金属材料等卸売業、機械器具卸売業及びその他の卸売業の1.6%となった。他方、売上高営業利益率が低いのは、飲食料品卸売業の1.1%、各種商品卸売業の1.3%となった。この結果、売上高営業利益率が最も高い繊維・衣服等卸売業と最も低い飲食料品卸売業との業種間格差は0.6ポイントとなった。

 卸売企業における売上高営業利益率の規模間格差をみると、中小企業が大企業を上回っているのは、各種商品卸売業の1.0ポイント、建築材料、鉱物・金属材料等卸売業の0.8ポイント、繊維・衣服等卸売業の0.6ポイントなどとなった。他方、中小企業が大企業を下回っているのは、機械器具卸売業の▲0.2ポイントのみとなった。

卸売企業における売上高営業利益率

 次に、卸売企業における売上高営業利益率の分布を見てみよう。次の図は、中小企業及び大企業の企業数をそれぞれ100とした構成比(百分比)で表したものである。これによると、中小企業では、売上高営業利益率がマイナス(営業損益が赤字の状態)の企業が36.0%、プラス(営業損益が黒字の状態)の企業が64.0%となり、ほぼ3分の1の企業が本業の儲けを示す営業損益の段階で赤字となった。他方、大企業ではマイナスの企業が26.8%、プラスの企業が73.2%となり、ほぼ4分の1の企業が営業損益で赤字となった。

 プラスとなった企業の分布をみると、中小企業では利益率0~2%の19.6%をピークに4%までの範囲に3割の企業が集中している。他方、大企業では利益率0~2%の47.8%をピークに4%までの範囲に6割の企業が集中するなど、中小企業より更に低い利益率に偏在している。

卸売企業における売上高営業利益率の分布

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 小売企業における売上高営業利益率は、中小企業が3.5%、大企業が1.0%となった。この結果、中小企業が大企業を大きく上回り規模間格差は2.5ポイントとなった。

 小売企業における中小企業の売上高営業利益率をみると、飲食料品小売業の4.0%が最も高く、次いで自動車・自転車小売業と家具・じゅう器・家庭用機械器具小売業の3.7%となり、その他の小売業の2.9%が最も低くなった。この結果、売上高営業利益率が最も高い飲食料品小売業と最も低いその他の小売業との業種間格差は1.1ポイントとなった。

 小売企業における売上高営業利益率の規模間格差をみると、すべての業種で中小企業が大企業を上回った。中でも、自動車・自転車小売業の3.7ポイント、家具・じゅう器・家庭用機械器具小売業の3.3ポイント、飲食料品小売業の3.0ポイントが大企業を大きく上回った。

小売企業における売上高営業利益率

 次に、小売企業における売上高営業利益率の分布を見てみよう。下図は、中小企業及び大企業の企業数をそれぞれ100とした構成比(百分比)で表したものである。これによると、中小企業では、売上高営業利益率がマイナス(営業損益が赤字の状態)の企業が29.4%、プラス(営業損益が黒字の状態)の企業が70.6%となり、3割の企業が本業の儲けを示す営業損益の段階で赤字となった。他方、大企業ではマイナスの企業が38.4%、プラスの企業が61.6%となり、4割の企業が営業損益で赤字となった。

 プラスとなった企業の分布をみると、中小企業では利益率0~2%の17.1%をピークに4%までの範囲に2割の企業が存在している。他方、大企業では利益率0~2%の27.3%をピークに4%までの範囲に4割の企業が集中するなど、中小企業より更に低い利益率に偏在している。

小売企業における売上高営業利益率の分布

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 飲食企業における売上高営業利益率は、中小企業が11.4%、大企業が3.6%となった。この結果、中小企業が大企業を大きく上回り規模間格差は7.8ポイントとなった。これは、飲食企業においては、1~4人の小規模企業が飲食企業の3分の2を占めているためと考えられる。

飲食企業の規模別売上高営業利益率

 次に、飲食企業における売上高営業利益率の分布を見てみよう。下図は、中小企業及び大企業の企業数をそれぞれ100とした構成比(百分比)で表したものである。これによると、中小企業では、売上高営業利益率がマイナス(営業損益が赤字の状態)の企業が19.8%、プラス(営業損益が黒字の状態)の企業が80.2%となり、5分の1の企業が営業損益の段階で赤字となった。他方、大企業ではマイナスの企業が41.7%、プラスの企業が58.4%となり、4割の企業が営業損益で赤字となった。

 プラスとなった企業の分布をみると、中小企業では利益率0~2%に11.3%の企業が集中する一方、20%までに3割の企業が散在するなど全体的にバラツキが大きい。他方、大企業では利益率0~2%の16.0%をピークに4%までに3割の企業が集中するなど中小企業とは対照的な形状となった。

飲食企業における売上高営業利益率の分布

(注)中小企業の売上高営業利益率50%以上のほとんどは、1~4人規模である。

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最終更新日:2007.10.1
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