2021-07-04

YOASOBI 「Into the night」英訳について友人と話してみた。

YOASOBI「Into the night」はご存知でしょうか?

「夜に駆ける」の英訳バージョンとして発表されたこ楽曲、まずはとりあえず日本語バージョンから聴いてみてください。そのあと英語バージョンへ。

日本語バージョン

https://youtu.be/x8VYWazR5mE

日本語歌詞

https://www.uta-net.com/song/284748/

英語バージョン

https://youtu.be/b3K61cQ8_fg

英語歌詞

https://www.uta-net.com/song/304176/

そう、この楽曲、「日本語発音英語を当てはめながら英訳としても意味を成している」んですね。

この英訳の音の当てはめ方。聴いた瞬間にもう膝を打ってしまったわけですが、英語の成績はそこまで良くなかった私では英訳の上手さを十分に理解しきれない、よりこの英訳について掘り下げたい!と思い、英語が堪能な友人と少しTwitterDMで話し合ってみました。

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自分日本在住。英語は多少の理解、会話が可能。(簡単な道案内ができる程度)

文法はなどはあまり理解しておらず、ノリと勢いで会話を乗り切る人間

英会話で困った時は「幼稚園の子供に話すようにしゃべって!」と言って苦笑いされるタイプ

友人…英国在住。英語話者パートナーを持つ。学生時代から成績優秀。語学に堪能であり、大学では談話分析などに触れる。

私たち高校の頃の友人。

最近ではTwitterでゆるく繋がっているくらいの距離感であり、一対一で会話のやりとりをするのは数年ぶりでした。

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自分

急な連絡ごめんなさい!

ちょっと気になったことを聞いてみたくて英語に堪能なあなたにご連絡した次第です。

暇なときにふわっとなんか返してくれると嬉しいな!

(変な宗教押し売りとかじゃないか安心してね…笑)

日本最近有名なアーティストさんが、もともと日本語の曲を全部英訳して英語バージョンを出したのね。

聞くとわかるかと思うけど「日本語発音英語バージョンでも織り交ぜて似た響き」にしてるんだよね。

日: 沈むように溶けていくように

英: Seize a move, you're on me, falling, and we were dissolving.

みたいな。

自分は聞いたとき、うわっ、日本語への音の一致が巧みすぎるな!と感動したんだけどふと疑問に思って。

これって英訳としてちゃん意味を成した歌詞になってるのかな?

簡単英文なら読めるけど詳しい文法かになるとてんでダメから詳しい方の分析を聞いてみたい!っていう、ほんとただ趣味質問でした。

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友人

そんな気にせんでも、こういうご連絡は全然構いません!

しろ大歓迎!

YOASOBIのこの曲はギリ知ってますよー。

ただ、英語バージョンが出てるのは知らんかったわ。

おっしゃる通り、原曲で強めに発音する部分と

耳に残りやすい語尾は完全に一致されるように作られてると思う。

(例えば「沈むように」「騒がしい」とか)

意味はほぼ完全に一致してるけど、

日本語の音に合わせるために正規英文から外れたり、

まり日常的には聞かないような文章の作り方をしてる部分があるかな

例えば、サビのSaw what got seen hid beneath, and louder nights keep beatingは、

「騒がしい日々に笑えない君に」を指してるけど

日本語では騒がしい日々という一つの句になってる部分が、louder nights keep beatingが英詞一つの文に落とし込んでたり。

Saw what got seen hid beneathは本来英文法だったら、(I) saw what (I) got seen (is) hid(den) beneath.

意味も「僕は見たもの( i.e. 君)が影に隠してるのを見た」だしね。

ただ、それは普通洋楽にもあることだから

それが完全に変とは言えないけどね。

よく聞きそうな例だと、冠詞のaとかtheをすっ飛ばしたり、

Be動詞を全部ain’tに変えたりとか、

三人称単数のhasになるところをhaveにしてみたりとかさ。

あと、英語はどうしても主語ありきなところと、1拍に一音以上乗せられるから※、

新たな情景が多少追加されてる部分があるかな

具体的にはAメロのSeize a move, you’re on meは

直訳は「動きを止めて、君は僕にいる ( = コントロール下にいるイメージ)」は

冒頭の歌詞とはあんまり重ならないし、

サビのI’m going to you歌い手の「僕」が「君」に近づいてっちゃってるプラス

You could run with meとか更に逃げ道の選択肢を与えてる気がするかな。

※ 一拍に一音以上乗せられるってちょっと意味不明だから

解説すると・・・

猫を英語で言った時に、自然英語だとcatで、一拍だけど、

日本語発音でcatを言ったら、キャ-ット (kya-tto)で二拍必要になる

→ 同じメロディ・拍数があっても載せられる情報量が変わってくる。

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自分

こういうのを待ってた!!!

めちゃくちゃに勉強になる〜、一拍に一音の説明もわかりやすい…最高…。

意味はほぼ一致してるという点は自分もそう読み取ってたから合っててよかった〜情景の描写とかは割と忠実だよね。

自分が引っかかってたのは

英訳の方が歌詞主観者が能動的」だなぁって若干感じていたんだよね。(意味伝わるかな…)

歌詞主観は「僕.I」で、相手に「君.you」がいる。

わかりやすい点として、ラストフレーズ

「二人今、夜に駆け出していく」

が、二人と描写されてるからここだけ第三者目線で描かれて「僕」から離れているのに対して英訳では

you and me are running through the night in the dark, I'll take you

となって、視点が「僕」から変わらないままである。なおかつただ駆け出すだけでなくI'll take you.つまり「僕が君を連れ出す」と能動的に動いている。

この辺りの視点の違いになんとなく不思議感覚を覚えたので今回質問に至ったんだよね。

でも「英語主語ありき」という説明でめちゃくちゃに腑に落ちた!

英語だと音を詰められるから歌詞を追加する必要があるのと主語をハッキリさせる必要があったために、そこで新たな描写が増えていて「僕」の主観がより顕著になっていたと!!

そういう解釈…であってるよね?

いやこれめちゃくちゃ楽しいわ、こんな楽しい会話ができる素敵な方、君しかいないわ〜!!本当に付き合ってくれてありがとう!!

あと主語ありきの話で言うと、よくよく考えると日本語だと少なくとも歌詞世界の中では君と僕性別は設定されてない(想定されているかもしれないが明言はされていない)のに対して英語版だとSheと少なくとも「君=女性」と確定しているのもなんとも言語の特徴が表れてるな〜って感じました。

なんかもうちょっと情緒というか、三人称性別の明確性を持たない言葉があればいいのにね〜ってちょっとだけ思った、蛇足だけど。

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友人

そうだね、多分能動的だなって感じるのは、

英訳版が主語が明確じゃない部分でさえも主語を明示的にしてるのと、

拍の量と文化的に「僕」の描写を若干足してるからだと思うんだ。

というのも追加された「僕」の描写純粋日本語の訳を考えたときに、

日本語的には全くぼかしてても問題ないけど、

英語に直した時にやっぱり誰の話?というか

誰が動いてるのかが顕著に足りない気がするんだよね。

君のいう通り、

歌詞に「二人」という表現がいくつも出てきて、僕と君から視点が離れてるけど、

日本語では感覚的と前後文章君と僕 (you and me)の話をしてることがすぐに分かるじゃない?

でも、そのまま日本語英語に起こしたとき

英語だと both of them, both of you, two people, both of us, theyとか選択出てくると思うのよ。

でも現実的にboth of them, both of you, two people, theyは、

この場合の「二人」の代わりにはならないし、

both of usの時点で僕と君の視点から離れられない。

で、ご指摘のyou and me are running ~は言葉を顕著に受け取ると、

すでに夜の中を走ってるわけだから

I’ll take you”を入れることで「駆け出し」感? 今始まる感を演出してると思う。

駆け出すきっかけを作ってるのは僕だし、主語ないと今から始まる感が今ひとつになる気がする。

あと、蛇足の君がsheになってるのは、やっぱり主語抜きにできないし、

無理くり主語抜きにして、受動態とか使うと情景がボケるからでは?

最近はLGBTQ+の台頭によって、

性別による三人称単数の使い分けに対して問題提議されてて、

theyを三人称単数でも使われることも出てきたのね。

(sheでもheでもないノンバイナリーの方もしくは性別が分からない人等場合はthey)

でも、まだまだメインストリームな使い方じゃないし、

ここでtheyが使われたりしたら、きっとどこか”LGBTQ+”を意識してると思われそうよね。

こちらこそ、面白いお話に巻き込んでくれてありがとう

一瞬大学談話分析とか思い出しちゃったけどw、すごく楽しかった!

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数年ぶりの対話でここまで付き合ってくれる友人神かよ…。

そんなこんなで久しぶりの会話が割と弾んでしまい、なんだかもっとたくさんの意見を聞いてみたい!と思い今回投稿をしてみた次第です。

YOASOBI「Into the night」を聴いて、皆さんはどんなことを考えましたか

個人的にもう少し掘り下げてみたいな〜って感じているのは、

・「日本語らしさ」とは何か?(発音をどこまで崩しても「日本語」として認識されるか?)

という点ですね。

似たような試みをしたのは

COLTEMONIKHA「そらとぶひかり

https://music.apple.com/jp/album/%E3%81%9D%E3%82%89%E3%81%A8%E3%81%B6%E3%81%B2%E3%81%8B%E3%82%8A/156222405?i=156222589

岡崎体育Natural Lips

https://music.apple.com/jp/album/natural-lips/1538259833?i=1538259836

あたりかと思いますが、なんか言語学に詳しい方いらっしゃったらご教示頂けたら幸いです。

長文ご覧頂き誠にありがとうございました。

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