2021年07月04日 12時30分 公開

プログラミング言語「Erlang」が熱心なファンを持つのに不人気な“あの理由”衰退の危機にある実力派プログラミング言語5選【前編】

プログラミング言語の普及度と実力は必ずしも一致しない。ただし、これから学ぶプログラミング言語を決める上で、普及度は重要な指標だ。実力がありながら、今後廃れる可能性のあるプログラミング言語はどれなのか。

[Chris TozziTechTarget]

 歴史の中で消えていった自然言語があるように、プログラミング言語も絶滅の危機を迎える。「ALGOL」や「LISP」などのプログラミング言語が開発技法とコーディングスタイルに与えた多大な影響は現在にも続いている。ただし、これらのプログラミング言語が往年のような注目と称賛を受けることはなくなった。今日広く使われているプログラミング言語が、いずれ同じ道をたどっても不思議ではない。

 プログラミング言語は廃れるとしても、消滅するわけではない。古いプログラミング言語で書かれたレガシーコードは膨大にあり、それらを理解して保守を続けるには知識が必要だ。「COBOL」をはじめ、無数の企業のシステムにおける中核要素として、今も活躍し続ける古いプログラミング言語もある。

 本連載は、廃れる可能性のある5つのプログラミング言語を取り上げる。これらのプログラミング言語のスキルを磨くことが、これからのキャリアに役立つ特殊技能となる可能性はあるのか。先行きが不透明な状況は、そのプログラミング言語を見放す十分な理由になるのか。

「Erlang」が人気を集められない“あの理由”

 「Erlang」は1980年代半ばから後半に知名度を高め、その後、1998年にオープンソースとなった。耐障害性、信頼性、並行処理の容易さで定評と実績のあるプログラミング言語だ。そうした特徴から、日々膨大なデータ処理が発生するメッセージキュー(システム間の非同期連携を実現するデータ通信の仕組み)や金融システムで使われてきた。

 歴史は長いが、幅広い支持を受けたことはない。デバッグやソースコードの保守などの面でやや古く、初心者にとって使いやすいとは言えないからだ。「Elixir」をはじめとする比較的新しい並行処理向けプログラミング言語は、プログラム実行前に値のデータ型(データの種類)を決める「静的型付け」を採用したり、データ構造を不変にする「イミュータブル」特性を備えたりして、並行処理に必要なプログラミング作業を簡素化している。それと比べると、Erlangは構文が複雑で、使用できるライブラリ(特定機能を実現するプログラム部品群)も豊富ではないため、開発者から敬遠されがちだ。

 大規模かつ頻繁なデータ処理が発生するシステムを中心に、これからもErlangを使い続ける熱心な支持者は残るに違いない。ただしErlangの全盛期は既に過ぎたとみられる。ソフトウェア品質評価企業TIOBE Softwareによるプログラミング言語人気ランキング「TIOBE Index」の2021年7月版では、Erlangは上位50位にランクインしていない。


 次回は「Haskell」「Visual Basic」を取り上げる。

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