沖縄県立中部病院のクラスターは過去3番目に多い50人規模となった。初報段階の「感染5人」に公表をとどめていた理由を、県の糸数公医療技監は「保健所を通じた追加情報が県に上がっていなかった」と釈明した。同病院は新型コロナ治療の中核を担う県立の重点医療機関。公表の在り方だけでなく、県内部の連携体制に課題も浮かんだ。
院内クラスターは、一般的に病院による独自の公表と、県保健医療部の発表の2種類がある。
同病院は10日、公式ホームページで外来診療と入院制限の延長を発表、クラスター発生に触れた。ただ感染者数など詳細は示さず、病院を所管する病院事業局は公表もしていなかった。同局の担当者は「明確な公表基準はない。クラスターに伴う入院や救急外来の閉鎖はせず、制限を最小限にとどめたため公表は必要ないと判断した」と話す。
一方の県保健医療部はこれまでクラスターを「迅速に公表する」とし、感染者数が増えるたびに発表してきた。だが今回は約1カ月、初報の5人のまま。県は入院調整なども担う立場にもかかわらず、糸数医療技監は記者会見で、感染が広がったきっかけや収束の有無も「詳細は聞いていない」と述べるにとどめた。
公表の在り方や情報共有に問題はなかったのか。病院事業局と県保健医療部はともに「今後の対応は協議する」とした。