2007年05月23日

明るい話題の暗い影

5月15日、お隣韓国でドーム球場の建設が発表されました。ほの暗い話題ばかり続いていた韓国野球にようやく明るい話題がお目見えです。東北並の気候の韓国ながらこれまでドーム球場というものが国内に無く、作りたい作りたいと長々運動を続けてきていましたので、動きが始まってからもう10年の悲願達成という事でしょう。ちなみに韓国KBOの辛相佑総裁はその公約の一つとして「ドーム球場の建設」を見てくれといわんばかりに掲げていたようですが、実際には昨年1月の就任からたったの1年4か月で公約達成してしまいました。流石はKBO、最後はあっさりしてやがる。



辛総裁がご機嫌だったのかどうかは知りませんが、15日に行われた記者会見では「2013年のWBCを招致します!」と東スポ並の飛ばし記事まで書かせています。ドーム球場が無いことは、長年アジアシリーズを招致できない理由、国内のリーグ予定がなかなかずらしにくい理由にもなって韓国球界の足枷となっていたので、この大仕事を成し遂げた後に落ち着いてというのは無理な話なのかもしれません。思い起こせば不運により機を逃してからもう10年もたとうとしています。僕が田舎のカルピスより薄い毎日を送っている間にも、時の流れは速く進んでいるようです。



韓国が最初にドームを作ろうとしたのは1997年、その当事から球場を建てるための用地が不足していることで計画は難航しており、そしてその後に起こったアジア通貨危機によって計画は瞬く間におじゃんとなってしまいました。その後もあっちでおったてるだのこっちでおったてるだの議論を繰り返してはいたものの、3000億円近い建設費用は野球事業だけでの収益性で考えていくにはなかなか難しいところもあり、いつまでたってもおっさんが飲み屋で話すかマニアがネット上で話し合うか程度の枠を出ることは無かったのです。



世界に数少ない野球の独立プロリーグということでもこっそり有名である韓国プロ野球ですが、その平均観客動員数はというと6000人程度です。その上、このドームが建てられる場所がキョンギ道アンサンという場所だということを考えれば自ずとこのドームを使う球団が限られてくることも分かります。近くに所在する球団のうちキョンギ道を保有しているのはSKワイバンズ、しかしSKは大都市仁川をホームにしている球団なので動く可能性は万に一つもありません、となればその最右翼こそ身売り問題に揺れるスウォンのヒョンデユニコーンズ、韓国8球団中最下位人気と最下位の実力を誇る球団です。



全体平均としてみれば6000人というプロリーグとしてはそれなりな観客数の韓国プロ野球ですが、このヒョンデだけを切り抜いてみればその観客動員数に重苦しい不景気っぷりがうかがい知れます。今年のヒョンデの観客動員数目標、13万8600人、韓国野球はホームゲームが63試合ですので一試合平均2200人、これあくまで目標ですのでもっと大きく出てもいいのでしょうが、なかなか現実との折り合いをつけるとこういう数字を出さざるを得ないんでしょう。いや謙虚という線もありうる、ごめんうそ、確実に無い。



第一このドーム建設はヒョンデが投資しヒョンデが建設するヒョンデあっての計画、そこの最終段階にヒョンデユニコーンズ誘致が入らないわけがありません。またこのアンサンという土地も、ドーム球場分の土地を確保できていることでも分かるようにあまり大都市というわけではありません。何より初のドームなのにもかかわらず首都圏からのアクセスが微妙に悪いと、昔の羽田空港に対するいちゃもんのような状況、めでたい門出ではあるのですが不安はもんもんです。



そんな不安に反するかのように辛総裁がぶちあげたドーム計画はド派手の一言で、管理の難しい総天然芝に開閉式の屋根を持つ超大型ドーム、もし総天然芝のドーム野球場が出来たならそれはアジア初の施設となります。ショッピングセンターも充実させる予定と計画は煌びやかですが、もし仮にWBCを呼ぶとしても観客動員数が集められるかという現実的な話になると疑問は尽きません。どんどんと近代化しMLB・NPBに近づいている韓国野球リーグ、ドームという武器は韓国野球に一皮剥けさせることが出来るのでしょうか。



それにしてもめでたい門出だというにもかかわらずこのブログときたらいつにもまして重箱の隅をアイスピックでつつくような嫌味っぷり、本当嫌になっちゃうわ。

shoeless at 09:23│Comments(0)TrackBack(0)clip!アジア野球 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔