運転士の離席中は免許を持たない車掌のみが運転室に残っていたという。
そもそも体調不良時の対応は?
乗務員、特に運転士が乗務中体調不良となった場合の取り扱いもルール化されています。
指令へ連絡をして指示を仰ぐ、です。
「腹が痛いからトイレに行きたいです」
乗務員からそんな申告があった場合、指令も我慢しなさいなんてことは言いません。
「列車を停めてトイレへ行け。戻ったら連絡するように」
と指示が飛んできます。
その上で、列車を止めてコトを済ませる。
継続乗務が難しい場合は交代乗務員の手配を頼む。
継続できるのであればそのまま乗務を継続する。
こういった対応をしています。
細かいとこは違うかもしれませんが、大体の鉄道会社は同じ対応をしているはずです。
生理現象、こればっかりはどうしようもありません。
だからこそ、緊急事態の時には出来る限り安全に対応することを最優先にしなければならないのです。
事前に報告さえしておけば、列車に遅れが生じようともお咎めはありません。
乗客を危険に晒しちゃダメ
さて、当該運転士ですが
「腹痛で列車を停止させて遅延させるのは、プロとして恥ずかしかった」
と話しているそうです。
自分の体調のために、列車を遅らせることは恥ずかしい…。
私も同じ立場の人間なので、気持ちは痛いほど分かります。
決められたダイヤ通りに列車を走らせる、これもプロとしてとても大切な役目です。
ただ、それ以上に…
運転席に、運転すると同時に、異常があれば責任を持って対処する運転士がいないまま高速走行を続ける列車…
これが危険じゃなかったら、何が危険なのか?
自分の体調で列車を遅らせることは確かに恥ずかしいです。
しかしそれ以上に、乗客を危険に晒すことは恥ずべき行為でした。
そこの優先度を間違った言い分であると、自戒をこめて断言します。
運転士の処分はどうなる?
国土交通相は25日の閣議後会見で、「(JR東海の)検証結果を踏まえ、国交省として行政処分の規定に照らして対応する」と述べ、運転士への行政処分を検討する考えを示した。
とのニュースも報道されています。
当該運転士に対する行政処分とはどのようになるのでしょう?
結論から言えば、運転免許の停止(免停)になると思われます。
こちらをご覧ください。
国土交通省の省令によって、動力車操縦者運転免許の取消等の基準が定められています。
恐らくこの基準の
(4)正当な理由なく列車の操縦中に運転席を離れた者
に該当すると思われることが理由です。
(4)では、事故が起きなかった場合は免停30日と定められているため
免停処分となるでしょう。
ここまでは国交省による行政処分のお話。
JR東海社内での処分となるとまた別の話となるわけですが
こちらは恐らく関連会社への出向(左遷)ではないかと思われます。
重大なミスを犯した乗務員はひとまず乗務から外し、その後まもなく関連会社へと出向させる。。鉄道会社では定番の処分方法です。
出向させ、乗務には2度と関わらせない
実質的な『免許取消処分』を下すわけです。
体調不良を起こさないために…
今回の事象の原因は腹痛、生理現象です。
絶対に起こさないなんてことはどうやったて無理な話ですが
それでもなんとかして発生確率は下げたい。
そこで私なりの対策を2つご紹介します。
・刺激物を食べない飲まない
辛い物を食べすぎたりするとお腹が痛くなったりしますよね。
食事には特に気をつかっていて、うどん等の麺類で胃にやさしくが仕事中の定番です。
また、コーヒー等の飲み物もなるべく我慢するようにしています。
とはいえ、眠気対策にはコーヒーの力が絶大なので、その辺のジレンマが悩ましいところです。
・下痢止めを常備
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下痢止めを鞄に常備することで、とっさの腹痛にも対応しようという作戦です。
本格的にお腹が痛くなってから飲んでいたのでは遅い!
というのが私の肌感覚です。
効き目を期待するのはもちろんですが
薬を持っているという安心感を目当てに常備している乗務員も多いです。
まとめ
今回の事象を見て、
「生理現象なんだから可哀そうだ」「処分はおかしい」
といった意見をネット上ではよく見ました。
ただ、乗務中の体調不良になった時の対応は全てルール化されているんですよね。
前述の通り、「指令に連絡して指示を仰ぐ」です。
特に今回の事象では走行中の運転席からの離席という省令違反が入っているため
それに則った処分が下されるのは当然のお話です。
・体調不良時は列車を停める
・その後トイレに行く
・継続乗務ができれば継続、だめなら交代を派遣する
現実的な範囲での対応ルールですので、それを守るように徹底することが今回の教訓となりそうです。
もちろん、会社側としても生理現象に対してお咎め等が無いようにして報告しやすい環境作りも大切ですが。
自分がダメだと感じたら勇気をもって列車を停める、関係箇所へすぐに連絡を入れる
自戒を込めてこの部分を徹底しなければと感じさせられる事象でした。