国税局、ウーバー配達員の報酬調査 運営社に情報求める

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 飲食宅配サービス大手「ウーバーイーツジャパン」(東京)に対し、東京国税局が配達員の報酬などについての情報提供を求めたことがわかった。新型コロナウイルスの感染が広がる中、同社の需要は増え、配達員は全国で約10万人に。契約上は個人事業主の扱いになるが、同国税局は確定申告を怠っている人もいるとみて実態把握を進めている模様だ。

 同社によると、サービスは36都道府県で利用でき、登録店舗は約5年前の約150店から今年5月で約10万店と急拡大している。配達員を雇用するのではなく、個人事業主として契約を結ぶ。副業で配達員をしている場合、年間所得が20万円を超えると、確定申告をしなければならない。

 関係者によると、同国税局は配達員の住所氏名▽2019年の取引額(報酬額)▽銀行口座――などの情報提供を求めたという。これらの情報をもとに、同国税局は配達員が適正に確定申告しているか確認するとみられる。

 同社は契約の際に報酬額によっては確定申告の義務があると説明しているほか、申告の時期にはメールで啓発動画を案内するなどの対策も実施している。

 今回の要請についても応じる旨を配達員に周知したといい、同社は、「一般的には税務当局に情報提供を行うことがあり、提供の実施について配達パートナーに連絡することがある」とコメントした。(中野浩至)

「ばれるの怖くなった」

 「身に覚えなさすぎてわけわからん」「とうとう税務署が動き出した」。SNS上では、ウーバーイーツの配達員とみられる人たちのこんな書き込みがみられる。

 取材に応じた30代の男性配…

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コメントプラス
  • 中野円佳
    ジャーナリスト
    2021年06月30日20時29分 投稿

    【視点】 シェアリングエコノミーで働く人たちにもきちんと責任を果たしてもらうことはもちろん重要ですが、同時に、国としては保護策もスピード感をもって導入していくことも必要だと思います。
     もちろん働き手側が犯罪や事故の加害者になる可能性もありますが、プラットフォームからも搾取されやすく、被害者になることも当然あります。ウーバー配達員に関しては事故などに遭った場合の労災の扱い等(自己負担で保険に入ることはできるなど)が既に議論されていますが、家事代行など顧客先の密室を訪問するサービスでハラスメント・性被害に遭うなどの事件もあります。国税庁の管轄ではありませんが、個人事業主として義務を果たしてもらう反面、何かあった時の保障等の在り方も整えていく可能性があると思います。…続きを読む

  • 志村亮
    朝日新聞東京経済部次長=企業、労働
    2021年06月30日20時26分 投稿

    【視点】ウーバーイーツは、今月22日にも、外国人の配達員の不法残留を手助けしたという出入国管理法違反の疑いで、警視庁が元幹部や法人を書類送検したというニュースがありました。配達員と雇用関係を結ばず、それゆえの気軽さが配達員にとってもメリットになってきましたが、利用者が広がるにつれ、日本でもじわじわとサービス運営元としての立ち振る舞いを当局から迫られる機会が増えているようにみえます。…続きを読む