バイクインプレッション2015「PINARELLO GAN RS」 ハイエンド機のフォルムを継承した直系の新レーシングモデル

 ヨーロッパを代表するピュアレーシングブランド、イタリアのピナレロの2016年モデルに注目が集まっている。台風の目となりそうな存在が、フラッグシップモデルの「ドグマF8」の成功を大胆に受け継いだ新しい直系モデル「GAN」だ。採用するフレーム素材が異なる「GAN RS」「GAN S」「GAN」の3グレードがあり、今回は上位機種の「GAN RS」を試乗。「GAN RS」はカンパニョーロ・コーラス完成車、シマノ・アルテグラ完成車とフレーム販売が用意され、EZ-Fit(女性向けジオメトリー)を含め、ピナレロらしい幅広いサイズ展開を誇っている。

PINARELLO GAN RS(ピナレロ ガン RS) Photo: Masami SATOUPINARELLO GAN RS(ピナレロ ガンRS) Photo: Masami SATOU

PINARELLO GAN RS(ピナレロ ガンRS)
価格:780,000円(コーラス完成車、税抜)
   560,000円(アルテグラ完成車、税抜)
   488,000円(フレーム、税抜)
サイズ:42EZ, 44SL, 46.5SL, 50, 51.5, 53, 54, 55, 56, 57.5, 59.5 (C-C)
カラー:LA ROSSA(ブラックレッド)、MAGLIA NERRA(ブラックブラック)、FP(ブラックイエローフルオ)、PINKY(ブラックバイオレット※EZ-Fit)
問い合わせ先:カワシマサイクルサプライ http://www.pinarello.jp

スペック

フレーム:High Strength Carbon T900
フォーク:ONDA™ F8 High Strength carbon T900
変速機:シマノ・アルテグラ(F)&(R)
ギヤ:シマノ・アルテグラ 50×34T、11-28T(11s)
ホイール:フルクラム・レーシング7
重量:7.95kg(51.5サイズ完成車)

エアロ形状のシートチューブとシートピラー。シートクランプはドグマF8とは異なる臼式を採用し、張り出しがなくスッキリとフレームに納まる Photo: Masami SATOUエアロ形状のシートチューブとシートピラー。シートクランプはドグマF8とは異なる臼式を採用し、張り出しがなくスッキリとフレームに納まる Photo: Masami SATOU
フロント部からエアロフォルムを貫くトップチューブ。フレーム素材には高強度系のハイストレングスT900カーボンを採用 Photo: Masami SATOUフロント部からエアロフォルムを貫くトップチューブ。フレーム素材には高強度系のハイストレングスT900カーボンを採用 Photo: Masami SATOU
UCIの「3:1」ルールをクリアしながら、最大の整流効果を発揮するチューブデザイン「FLATBACK」を採用。フォークコラムのエアロ形状と専用形状のステムにも注目 Photo: Masami SATOUUCIの「3:1」ルールをクリアしながら、最大の整流効果を発揮するチューブデザイン「FLATBACK」を採用。フォークコラムのエアロ形状と専用形状のステムにも注目 Photo: Masami SATOU

インプレッション BY 松尾修作・米山一輝

米山一輝 サイクリスト編集部のエースライダー。数多くのトップ選手を輩出した東京の名門クラブチームで15年の選手経歴を持つ元レーサーで、現在は国内レースを取材で転戦中。身長175cm Photo: Masami SATOU米山一輝 サイクリスト編集部のエースライダー。数多くのトップ選手を輩出した東京の名門クラブチームで15年の選手経歴を持つ元レーサーで、現在は国内レースを取材で転戦中。身長175cm Photo: Masami SATOU

松尾 じっくりと見比べれば細かい違いはありますが、形状はドグマF8によく似ていて、乗る前から期待と好感が持てました。試乗車のこのカラーリングも高級感があって、所有する喜びの大きそうな1台です。

米山 フォルムはジャガーとの共同開発で空力性能を追求したドグマF8の影響が色濃く、パッと見はまったく同じデザインにさえ見えるが、並べて見比べてみると、トップチューブのリブ加工など、細かい相違点が存在していた。「GAN」シリーズだけでも素材違いの3グレードがあるから、ピナレロの来期モデルは厚みを増したね。

松尾 ええ。GANのフレームはエアロ化されたヘッド周りが特徴的で、エアロの恩恵をデメリット無しで存分に得ている印象を受けました。伝統的に安定性の高いONDAフォークの出来もドグマF8と同様に良く、コーナーなどでの不安定さは皆無です。

米山 うん。ピナレロ独特の、安定感とキレ味のあるハンドリングは健在で、十分な剛性感を持っている。試乗車はホイールがトレーニング用といった感じで、完成車重量もそこそこ重めだったけれど、レースでは軽量なレーシングホイールと入れ替えることで、重量もフィーリングも大きく改善するだろう。

松尾 フレーム自体は全体の剛性が均一で、芯を強く感じます。直進安定性が高いので、路面のギャップにも対応しやすく、ある程度スピードに乗ってからの加速が得意なタイプです。

松尾修作 NAUTS代表兼選手。元プロロードレーサーでヨーロッパをはじめ、アジアツアーやJプロツアーのレースを転戦した。脚質はオールラウンダーで、剛性が高いバイクよりはしなやかでも伸びのあるバイクを好む。身長175cm Photo: Masami SATOU松尾修作 NAUTS代表兼選手。元プロロードレーサーでヨーロッパをはじめ、アジアツアーやJプロツアーのレースを転戦した。脚質はオールラウンダーで、剛性が高いバイクよりはしなやかでも伸びのあるバイクを好む。身長175cm Photo: Masami SATOU

米山 加速はしっかり入力についてくる感じがあった。コンフォート性能はレーシングバイクとして標準的なレベルかな。上りに関しては感覚的に楽しい踏み味で、こういうところはイタリア車ならではなのかなと感じるよ。

松尾 上りで縦に力を込めるライダーは好きそうだなと思いました。前に進む印象が強い「GAN RS」ですが、縦に硬く、芯を感じるので、好みが分かれるかもしれません。縦にペダルを踏み込んで、バイクを横に振らずに加速したいライダーはとても好きになるバイクだと思いますよ。下りはかなり良かったです。

米山 ハンドリングが良いので、難易度の高い下りでも安心して走れるはずだ。「GAN RS」は、ピナレロらしいレースバイクとして、その確かな系統に往年のファンも納得だろう。T900カーボンを使用したトップグレードで、価格からみても、セカンドグレードというよりはハイエンドラインナップに含まれるモデル。とはいえ、グレードによって価格の範囲はかなり広いので、GANシリーズの登場で、最新型のDNAを幅広い価格帯で体感できるようになったのはうれしいね。

(編集 齋藤むつみ)

Photo: Masami SATOUPhoto: Masami SATOU

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