January 21, 2017

続・謎のウィザードリィ版権団体「FRP Assets」を追う

2016年末のNHKドラクエ特番に突如として現れた、
ウィザードリィの版権表記「FRP Assets」。

前回の記事ではこれまでのウィザードリィを巡る版権の状況から、
「ウィザードリィの原作者の1人であるロバート・ウッドヘッド氏に関連した団体」、
または「現在ウィザードリィの権利者であるGMOゲームポット社の別名義」ではないか…
という推測を立ててみました。

これ以上は、もう当事者に訊くしかなくね…?と思いまして、
"狂王トレボー"こと、ロバート・ウッドヘッド氏に、
「NHKでAppleII版のウィザードリィの画面が紹介されてて、
 そこでの権利表記にあなたの名前と、
 FRP Assetsなる団体が挙げられていたけれど、
 これはどういうことなの…?」というメールをダメ元で投げたところ。

なんと、直々にご返答を頂きました!
その内容は、以下の通りです。


Basically, I sold my rights to Wizardry when I left Sir-tech about 30 years ago.

FRP Assets is the organization that currently has the rights, but I don't know much about it.

NHK contacted me about using a Wizardry screenshot, and I gave them the contact info for FRP Assets.

So I think that they listed me just because I helped get them permission to show the screenshot (which, at least in the USA, they didn't really need because it falls under "fair use" in the US copyright code).

Or maybe it was just a mistake and they should only have credited FRP Assets.

(以下、筆者による日本語訳)
基本的には僕がおよそ30年前にsir-techを離れたときに、
ウィザードリィに関する権利は全部売ってしまった。

FRP Assetsは現在権利を持っている団体だが、僕はそれについてよく知らない。

NHKはウィザードリィのスクリーンショットを使うことについて連絡してきたので、
僕はFRP Assetsの連絡先を教えたんだ。
だから、彼らはスクリーンショットを出す許可を与えるのを手伝ったことで、
番組で僕の名前を出したんだと思う。
(少なくともアメリカでは、著作権コード的には 「フェアユース」にあたるから、
そういった表記の必要はないのだけれど)

またはそれはちょっとした間違いで、
彼らはFRP Assetsだけをクレジットすべきだったね。


NHKもロバート氏にコンタクトを取っていて、
その結果があの権利表記だったとは!


ともかく、ウィザードリィの版権を持つ「FRP Assets」という団体は
GMOゲームポット社とは別に確かに実在し

ロバート氏もその団体の詳細をつかんでこそいないものの、
氏と接触可能であるような団体であるのは確かなようです。

だとすると、その団体がウィザードリィについてどの程度まで権利を保有しているのか、
そしてなぜこれまでウィザードリィの版権事情に一切表だって出てこなかったのか
新たな疑問は尽きないわけですが…
現状、これ以上の情報は得られていません。

また何か情報が入り次第、当blogで紹介する予定です。

※2017/01/23追記:
FRP Assetsという組織について、GMOゲームポット社から
「弊社が保有するウィザードリィの権利とは一切関与しておりません」
というご返答を頂きました。
それに伴い、一部記事の内容を修正してます。

※2018/02/21追記:


GMOゲームポットでウィザードリィオンラインに関わり、
現在もウィザードリィ関係事業の交渉を行っておられる谷内義人氏より、
「FRP Assetsなる団体は現在存在しない」事が明らかにされました。
氏の発言を見る限りどうもFRP Assetsは権利処理絡みの団体だったようですが、
詳細については今後の情報公開を待ちたいところ。

※2020/10/29追記:
株式会社ドリコム2021年第2四半期決算説明において、
同社が「ウィザードリィの著作権及び国内外での商標権を獲得」
(シリーズ6作目以降、5作目以前は含まない)していた事が明らかにされました。
今後新作の配信も予定しているらしく、今後多少明るい兆しが見えてきたかと。


この記事へのコメント

1. Posted by hally   January 21, 2017 21:50
> (少なくともアメリカでは、著作権コード的には 「フェアユース」にあたるから、そういった表記の必要はないのだけれど)

ここの文意を掴みそこねていらっしゃると思います。「フェアユースにあたる」と「管理団体が存在する」は並立しえません。つまりFRP Assetsとやらは権利団体ではなく、著作権者不明(ないし係争中)の作品に関して一時的に権利を信託されている団体ということになるはずです。FRPという単語はFederal Rights Projectを想起させますので、そのような公共団体かもしれません。

おそらくは権利関係がこじれるだけこじれて、このような状況になったのではないかと推察いたします。
2. Posted by ずんこ。(jzunkodj4y)   January 21, 2017 23:36
文脈上「NHKのスタッフがスクリーンショットを番組で使うのに許可を取ろうとした」事に対して、
「アメリカならばそういった用途でのスクリーンショットの使用はフェアユースに当たるからわざわざ許可を取る必要はない」と解釈していましたが、
確かにそういった可能性もあるかもです。
いずれにせよ、FRPとは何の略なのか…という謎が増えてしまいましたが(汗)

元のメール原文を記事に追記しました。

3. Posted by hally   January 24, 2017 09:14
原文ありがとうございます。この内容だと確かに、おっしゃるようにスクリーンショットに関してだけのことかもしれませんね。
4. Posted by 通りすがりのアパート大家   May 04, 2019 19:50
5 アセット という名詞は投資会社によく使われる単語です、おそらくですが、投資として倒産企業などから権利や版権を買い、転売する企業ではないでしょうか
突然失礼しました
5. Posted by ずんこ。(jzunkodj4y)   May 05, 2019 00:36
FRP Assetsなる団体はもう存在しないとの事ですが、
おそらくご推察通りの団体だったんだろうな、と…w

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