【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載される発明は,基本的には,仮想通貨とゲームプレイ用通貨との交換レートや,ゲームプレイ用通貨と遊戯に用いるプレイ用通貨(例えばパチンコ玉又はメダル)との交換レートを更新できるように記憶するとともに,各ユーザのゲームプレイ用通貨などの情報を記憶することで,現金を用いなくても遊ぶことができる仮想通貨利用システムを提供でき,しかも交換レートを様々な外因に連動させて制御することで,嗜好性を高め,またユーザの状況を制御できるという知見に基づく。
【0006】
本明細書に記載される最初の発明は,遊技機店での仮想通貨利用システムに関する。遊技機店は,例えば,ユーザにパチンコやスロットマシーンをプレイさせる店舗である。遊技機店には,いわゆるゲームセンターなどパチンコ,スロットマシーン,及びコインゲームを提供する店舗が含まれる。
【0007】
仮想通貨利用システムは,コンピュータ,サーバ,及びインターネットといったコンピュータシステムにより,遊技機店内でのゲーム用通貨等の交換レートやユーザに関する情報を記憶し,制御するためのシステムである。この仮想通貨利用システムは,各種センサからセンシング情報を受け取り,受け取った情報を交換レート等に反映させるシステムであってもよい。
【0008】
このシステムは,第1の交換レート記憶部3と,第1の入力部5と,第1の決定手段7と,第2の交換レート記憶部9と,第2の決定手段11と,を有する。
【0009】
第1の交換レート記憶部3は,仮想通貨とゲームプレイ用通貨との第1の交換レートを記憶する要素である。コンピュータの記憶部(メモリ,ハードディスク,サーバなど)が,交換レート記憶部3,9として機能する。仮想通貨の例は,ビットコイン(登録商標)やNEM(登録商標)など,通常暗号化されたデジタル情報であって,円やドルといった通貨と交換性を有しているものを意味する。ゲームプレイ用通貨は,例えば,対象となる遊技機店内のみで用いられる仮想通貨と交換性のある情報である。また,ゲームプレイ用通貨は,遊技機店の系列店でのみ用いられる仮想通貨であってもよいし,「1円玉コーナー」,「4円玉コーナー」といった,所定の料金設定のコーナーにおいて利用できるものであってもよい。
【0010】
第1の交換レート記憶部3が記憶する第1の交換レートは,入力手段からの入力情報を用いて随時更新することができる。入力情報には,各種センサからのセンシング情報が含まれていてもよい。センシング情報を用いて,交換レートを制御することで,様々な嗜好性やユーザ制御を行うことができることとなる。このような制御は,例えば,各センシング情報ごとの閾値とそれらの閾値に連動した交換レートの制御幅を記憶部が記憶しておき,各種センシング情報がシステムに入力された際に,記憶部がそれらのセンシング情報を一時的に記憶し,制御部が,センシング情報と記憶部に記憶された閾値と制御幅を読み出し,交換レートを変動させる演算処理を演算部に行わせればよい。更新された交換レートは,適宜記憶部に記憶され,各種交換に用いられるようにすればよい。また,第1の交換レート記憶部3は,現実社会の仮想通貨と通貨(円やドル)との交換レートを随時記憶するものであってもよい。そして,制御部は,この現実社会の交換レートを基準として用いて,上述した調整・制御を行うようにしてもよい。
【0011】
第1の入力部は,第1のユーザの仮想通貨の額情報を得るための要素である。通常は,コンピュータの入力部,又は入力部と接続されたインターフェースなどが入力部として機能する。ユーザが,交換しようとする仮想通貨の額をポインティングデバイス(キーボードや入力ボタン等)を用いて,システムに入力すると,その入力された交換しようとする仮想通貨の額が,第1の入力手段を経由して,システムに入力されることとなる。この入力された第1のユーザの仮想通貨の額情報を用いて,遊戯に用いるプレイ用通貨(例えばパチンコ玉又はメダル)と交換がなされ,ユーザがパチンコなどの遊技機をプレイできることとなる。第1のユーザの仮想通貨の額情報が第1の入力部から入力されると,第1のユーザの仮想通貨の額情報は適宜記憶部に記憶されてもよい。
【0012】
第1の決定手段は,第1の入力部から得られた第1のユーザの仮想通貨の額情報と,第1の交換レート記憶部が記憶する第1の交換レートを用いて,第1のユーザに提供するゲームプレイ用通貨の額と,仮想通貨の残額を決定するための手段である。通常は,コンピュータの制御部が,入力部から入力された情報や記憶部に記憶された情報を用いて,演算部に演算を行わせる処理を行い,演算結果を記憶部に記憶させるほか,出力部から必要な情報を出力することで,第1の決定手段が実行される。具体的に説明すると,制御部は,記憶部から第1の交換レートを読み出す。そして,制御部は,例えば,記憶部から第1のユーザの仮想通貨の額情報を読み出し,演算部に対し,第1の交換レートを用いて仮想通貨をゲームプレイ用通貨と交換させる。そして,演算部は,第1のユーザの仮想通貨の額情報及び第1の交換レートに基づいた,第1のユーザに提供するゲームプレイ用通貨の額と,仮想通貨の残額を決定する。制御部は,演算部が求めた,第1のユーザに提供するゲームプレイ用通貨の額と,仮想通貨の残額を適宜記憶部に記憶させる。
【0013】
第2の交換レート記憶部は,ゲームプレイ用通貨額とパチンコ玉又はメダルの第2の交換レートを記憶する要素である。第2の交換レートは,ゲームプレイ用通貨とプレイ用通貨(例えばパチンコ玉又はメダル)の交換レートに関する。例えば,コンピュータの記憶部が,第2の交換レート記憶部として機能する。
【0014】
第2の決定手段は,第1の決定手段が決定したゲームプレイ用通貨の額と,第2の交換レート記憶部が記憶した交換レートを用いて,第1のユーザに提供されるパチンコ玉又はメダルの数とゲームプレイ用通貨の残額を決定するための要素である。例えば,コンピュータの制御部は,記憶部から,ゲームプレイ用通貨の額と,第2の交換レートとを読み出し,演算部に対し,ゲームプレイ用通貨の額で交換できるプレイ用通貨(例えばパチンコ玉又はメダル)の数及びその数のプレイ用通貨を渡した際のゲームプレイ用通貨の残額を求める演算を行わせる。演算部が求めた第1のユーザに提供されるパチンコ玉又はメダルの数とゲームプレイ用通貨の残額は,適宜記憶部に記憶され,出力部から出力される。このようにして,ゲームプレイ用通貨を介して,仮想通貨が,プレイ用通貨(例えばパチンコ玉又はメダル)と交換される。なお,上記の仮想通貨の残高,ゲームプレイ用通貨の残高,交換履歴といった情報は,ユーザのID(識別情報)とともに,記憶部に記憶されていればよい。そして,ユーザのIDと関連して,仮想通貨の残高,又はゲームプレイ用通貨の残高情報が読み出すことができる状態とされていることが好ましい。
【0015】
上記の仮想通貨利用システムの好ましい例は,集煙装置からの集煙情報を受け取る,集煙情報入力部13をさらに有するものである。この集煙情報入力部13は,仮想的なものであり,実際上は,コンピュータのインターフェースなどが,各種入力部として機能すればよい。
【0016】
具体的に説明すると,このシステムは,センサを有している。そのセンサは,煙センサである。このセンサは,店舗内の集煙情報をセンシングする。集煙情報とは,たばこの煙や二酸化炭素といった,ガスの濃度である。そのようなセンサの例はガスセンサである。このガスセンサは,上記のシステムのインターフェースと接続されており,ガスセンサからのセンシング情報がインターフェースを介して,システム内に入力される。このようにして,仮想通貨利用システムが,集煙装置からの集煙情報を受け取ることとなる。受け取った集煙装置からの集煙情報は,記憶部に適宜記憶されてもよい。そして,このシステムは,集煙情報(例えば,たばこの煙の濃度や二酸化炭素の濃度)に関する1又は複数の閾値と,それに関連した 第1の交換レート及び第2の交換レートのいずれか又は両方の調整値とを記憶部に記憶している。制御部は,集煙情報を読み出し,演算部に,閾値と比較する演算をさせ,その閾値に応じた調整値を記憶部から読み出させる。読み出された調整値は,適宜記憶部に記憶されてもよい。そして,制御部は,記憶部から第1の交換レート及び第2の交換レートのいずれか又は両方を読み出し,演算部に,読み出された調整値を用いて,第1の交換レート及び第2の交換レートのいずれか又は両方を調整する演算を行わせる。そして,更新後の第1の交換レート及び第2の交換レートのいずれか又は両方を記憶部に記憶させ,爾後の,各種交換に用いるようにする。このようにすれば,店舗内の空気に合わせて為替レートを機動的に調整し,ユーザの動向を調整できることとなる。
【0017】
例えば,たばこの煙や二酸化炭素の濃度が低い場合,ユーザが店舗に残るように,プレイ用通貨(例えばパチンコ玉又はメダル)からゲームプレイ用通貨へと変換する変換レートを悪くしたり,ゲームプレイ用通貨から仮想通貨への変換レートを悪くすればよい。また,仮想通貨からゲームプレイ用通貨への交換レートに比べ,ゲームプレイ用通貨から仮想通貨への変換レートを大きく悪化させ,ユーザが店舗を離れる気持ちを抑えればよい。このように,例えば,第1の交換レート及び第2の交換レートのいずれか又は両方は,行きと帰りで交換レートが異なるようにしてもよい。この交換レートは,店舗内の表示部に表示させることで,ユーザの心理をより効果的に制御できることとなる。
【0018】
本発明の仮想通貨利用システムの好ましい例は,第2の入力部17と,第3の決定手段19と,第4の決定手段21と,仮想通貨データベース23と,更新手段25と,をさらに有する。
【0019】
第2の入力部は,第1のユーザのIDとともに,パチンコ玉又はメダルの数に関する情報を受け取るための要素である。この入力部も仮想的なもので,例えば,コンピュータのインターフェースがこの要素の機能を果たす。例えば,ユーザがIDカードをかざすとともに,プレイ後のパチンコ玉又はメダルを計数器(ジェットカウンター)にかける。すると,計数器は,パチンコ玉又はメダルの数を計測し,計測したパチンコ玉又はメダルの数の情報を,システムへと伝える。このようにして,第1のユーザのIDとともに,パチンコ玉又はメダルの数に関する情報がシステムに入力される。入力された第1のユーザのIDと,パチンコ玉又はメダルの数に関する情報は,適宜,記憶部に記憶されればよい。
【0020】
第3の決定手段は,第2の入力部が受け取ったパチンコ玉又はメダルの数に関する情報及び第2の交換レート記憶部が記憶する第2の交換レートを用いて,パチンコ玉又はメダルに対するゲームプレイ用通貨額を決定するための要素である。この第2の交換レートは,パチンコ玉又はメダルの数をゲームプレイ用通貨に変換するための(帰りの)レートであり,ゲームプレイ用通貨をパチンコ玉又はメダルに変換するための(行きの)レートと同じであってもよいし,異なっていてもよい。処理の方法は,上述したものと同様である。
【0021】
第4の決定手段は,第3の決定手段が決定したゲームプレイ用通貨額と,第1の交換レート記憶部が記憶する第1の交換レートを用いて,ゲームプレイ用通貨額に対応する仮想通貨の額を決定するための要素である。第4の決定手段が用いる第1の交換レートは,ゲームプレイ用通貨を仮想通貨に変換するための(帰りの)レートであり,仮想通貨をゲームプレイ用通貨に交換するための(行きの)レートと同じであってもよいし,異なっていてもよい。処理の方法は,上述したものと同様である。
【0022】
仮想通貨データベースは,各ユーザのIDと,各ユーザの仮想通貨の額とを関連付けて記憶するデータベースである。このシステムは,各ユーザのIDと,各ユーザのゲームプレイ用通貨の額とを関連付けて記憶するゲームプレイ用通貨データベースをさらに有していてもよい。そして,これらのデータベースに記憶される各ユーザの仮想通貨の額やゲームプレイ用通貨の額は,適宜更新されればよい。
【0023】
更新手段は,第2の入力部が受け取った第1のユーザのIDと,第4の決定手段が決定した仮想通貨の額とを用いて,仮想通貨データベースにおける第1のユーザの仮想通貨の総額を更新するための手段である。更新手段は,第1のユーザのIDと,第3の決定手段が決定したゲームプレイ用通貨額を用いて,ゲームプレイ用通貨データベースに記憶される第1のユーザのIDと関連したゲームプレイ用通貨の額を更新してもよい。一方,第1のユーザがゲームプレイ用通貨を仮想通貨に変換した場合は,第4の決定手段が決定したゲームプレイ用通貨の残額を用いて,ゲームプレイ用通貨データベースに記憶される第1のユーザのIDと関連したゲームプレイ用通貨の額を更新してもよい。このようにして,各ユーザのIDと関連し,ゲームプレイ用通貨の額や,遊技機店(又はその系列店)における仮想通貨の額が更新される。