次に、「不当解雇」の問題があります。こちらの好意で「会社都合」としてあげたにも関わらず「不当解雇」として訴えられたらそれこそ目も当てられません。不当解雇ということであれば解雇予告手当や、退職日からの賃金の請求権も発生してしまうことになります(例えば、簡単にお話しすると10月末に退職して1月に訴えられたとしたら11月、12月分の賃金を請求されてしまうということです)。
「そんな、まさか」と思う人もいるかも知れませんが実際に無い話では決してないのです。また、仮にその人の場合は何の問題が起こらなかったとしても、その後に退職する人が「同じようにして欲しい」と言ってきたら、どうでしょうか? 一人を認めたら、その次も認めないわけにはいかず同じようにしてしまうことになりかねません。それを続けていたらおそらくいつかは、問題が起きてしまうでしょう。
そして、解雇は本人に伝えてしまうと本人の同意無しにそれを撤回することはできません(これはいくつもの裁判でも認められていることです)。不当解雇で訴えられて多額なお金を請求されてから「解雇では無かったことに」と言ってもそのときでは遅いのです。
「会社都合」というのは社員(元社員)にとってはメリットがありますし、会社に不満をもって辞めた場合なども「自己都合じゃ納得できない」として求めてくる場合も多くあります。そこで安易に認めてしまうのではなくきちんと手続きをすることが大切なのです。
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企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。
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