三浦俊彦:東京大学教授が ついに発見! "究極の確率"、それは 0.6
もちろん、これはフィクションの話です。
ところが、
つい最近、(さすがに「究極の疑問の答」とまではいきませんが)"究極の確率" 0.6 が
三浦俊彦:東京大学人文社会系研究科美学藝術学専攻教授(以降"三浦キョ~ジュ"と略)によって発見されました!
この発見は近々三浦キョ~ジュ御自身が論文や本にして世界に発信されることとは存じますが、
私は、その発見の場に居合わせた者として、三浦キョ~ジュが超ディ~プな思索を経て この発見に至る過程の概要を私の力の及ぶ限りで皆様にお知らせする栄に浴したく存じます。
もっとも、
この過程は現在既に三浦キョ~ジュ御自身の掲示板で全世界に向けて公開されいていますので、
その必要性は薄い観はありますが。
この輝かしい発見への道程は、
三浦キョ~ジュの掲示板で、ある常連の方が次の記事を紹介してくれたことから始まります。
「BIGなおとり「宝くじはランダム」は本当か?」
https://business.nikkei.com/atcl/report/16/030300120/030300002/
この記事の内容は、
--
ツイッターに上がった
「ネット上で5口分のBIGを購入。翌13日、新たに10口分を購入したところ、この10口分のうち最初の5口分が、前日に購入した5口分と完全に一致した」
という報告から、その「確率」のあまりの低さ故にシステムの「問題」が疑われる、
--
というもの。
それに対し、
三浦キョ~ジュ:
(注:面白いですが、なんだかいい加減な記事ですね。
1ページ目にある「宇宙誕生の初期プロセスであるビッグバンが起こる確率」って何のことを言ってるんでしょうか笑
全体に、よくわからない記事です。
まず、「約25溝分の1」というのは、どうやって計算したんですかね。
まさか、[3の〈14×5〉乗]分の1、という計算じゃないでしょうね。
もしそうなら、その計算は間違いです。
このような一致が起こる確率の正しい計算は次のとおり。
[3の〈14×5〉乗]分の1=R とし、
このくじを5口分以上2回以上購入した任意の人について、隣り合った2回分の組み合わせをx通りとし(たとえば2回だけ買った人についてはx=1、3回買った人についてはx=2、10回買った人についてはx=9)、その全員のxを足し合わせた数をnとします。
同一人物が買った連続二回の5口分のうち少なくとも一組が一致する確率は、
1-(1-R)n=Q
nが大きければ、Qはけっこう大きな値になりえます。
しかも、あらかじめ「このくじ」と特定されてはおらず結果的にこのくじが注目されただけなので、このようなくじがm種類あるとすると、そのうちどれかでこのような一致が起こる確率は、
1-(1-Q)m
となり、Qよりさらに大きな値となります。
けっこう高い確率になりそうですよ。
どなたかシミュレーションしてくれるといいのですけどね。
皆さん、決して勘違いなさらないように!
三浦キョ~ジュは、"計算できない"んじゃなくて、あえて"しない"だけです。
三浦キョ~ジュが、計算なんて そんな下賎なこと、なさろうはずがありません)
その後、
先の常連の方が、今度は次の記事を紹介してくれました。
NHK NEWS WEB:News Up 天文学的確率?「サッカーくじの数字が一致」
https://www3.nhk.or.jp/news/netnewsup/static/02272111.html
それに対しては、
三浦キョ~ジュ:
…
> ちなみに宇宙誕生の初期プロセスであるビッグバンが起こる確率は、0が24個並ぶ約1杼分の1と言われており、
> 理論上、宇宙誕生よりも稀な現象が我が国ニッポンで起きたことになる。
> (中略)
ビックバンはちゃんと起こったじゃん?
という返しが可能ですね笑
ろくに物を考えないで発信するとこうなるという見本です
あまりバカにしちゃいけませんが、以下に見るように「専門家」が付いているらしいので
ちょっと無視できない誤謬事例ですね。
…
石黒真木夫特命教授って人、素人じゃないですよね?
もしかして、観測選択効果をきちんと解説はしたのに、難解だと判断した取材側によって省略されてしまったかな?
しかし、このコメント↓
石黒教授は「同じような事態が頻発しているのでなければ、システムの原因を突き止めるのは極めて難しい」とみています。
↑を見ると、どうも専門家とは思えませんね。
「同じような事態が生じていないのであれば、システムが原因ではなく、純粋な偶然と見るのが妥当」
とコメントするのが正しい。
つまり、
三浦キョ~ジュは
1 - (1-R)n = Q
の n、つまり「購入した2つの5口をつき合わせる」という試行の回数が大きければ、
Q は「けっこう大きな値」に"なる"ので、
今回報告された「購入した2つの5口が一致した」のと「同じような事態が生じていないのであれば、
システムが原因ではなく、純粋な偶然と見るのが妥当」だ、
と おっしゃっているわけです。
これは、Q が「けっこう大きな値」なら、確かにそうです。
そこで、
私は
三浦キョ~ジュ御自身も、この「けっこう大きな値」が実際に どのくらい大きいか、
お尻になりたいだろう と思い、僭越ながら この「けっこう大きな値」を計算してさしあげました。
遅読猫:
> まず、「約25溝分の1」というのは、どうやって計算したんですかね。
> まさか、[3の〈14×5〉乗]分の1、という計算じゃないでしょうね。
> もしそうなら、その計算は間違いです。
確かに
「約25溝分の1」 = [3の〈14×5〉乗]分の1
という計算です。
「もしそうなら」って、これぐらい自分で確認しなさい。
> このような一致が起こる確率の正しい計算は次のとおり。
> [3の〈14×5〉乗]分の1=R とし、
> このくじを5口分以上2回以上購入した任意の人について、隣り合った2回分の組み合わせをx通りとし(たとえば2回だけ買った人についてはx=1、3回買った人についてはx=2、10回買った人についてはx=9)、その全員のxを足し合わせた数をnとします。
> 同一人物が買った連続二回の5口分のうち少なくとも一組が一致する確率は、
> 1-(1-R)n = Q
このくじを買った全員分の、a口単位での購入の連続数をnとするなら
少なくとも一組が一致する確率は、確かに
1 - (1-R)n
です。
で、
これを
R = 1/3(14×2) : 任意の付き合わせた2口が一致する確率
n = 108、つまり、1憶、つまり日本の成人ほぼ全てが2口単位で2回連続購入した場合
で計算すると
1 - (1-R)n = 0.000004374
つまり、約1千万分の 43 です。
なんで5口でなく2口で計算してるかというと、計算はEXCELで行ってみたのですが
R = 1/3(14×a) とすると、a>2 だと 1-(1-R)n の算出の限界を越えてしまうからです。
ですが、
R が"小さい"場合、つまり R が試行回数に比して"めったに実現しない"事象の確率の場合、
1 - (1-R)n
は単に
R×n
で近似できます(なんでかは自分で考えてください)。
実際
R×n = 1/3(14×2) × 108
R×n = 0.000004371
です。
よって、5口
R = 1/3(14×5)
n = 108
のときは
1-(1-R)n ≒ R×n
1-(1-R)n = 1/3(14×5) × 108
1-(1-R)n = 0.000000000000000000000000039950
> nが大きければ、Qはけっこう大きな値になりえます。
たしかに「けっこう大きな値」ですね。
なので、
もしNHKの呼びかけに同様の報告が複数あった場合、
システムが原因なのは間違いありません。
目糞鼻糞を笑う。
バカの一つ覚えで、
ろくに物を考えないで発信するとこうなるという見本です。
あまりバカにしちゃいけませんが、
ちょっと無視できない誤謬事例ですね。
ところが、
三浦キョ~ジュ、この結果がお気に召さなかったらしく、
今度は…
三浦キョ~ジュ:
…
今回の場合は、最初に「他のことではなくとくにこのサッカーくじ「BIG」に不自然な一致があるかどうか調べてみよう」という特定がなされてはいなかったので、よくあるオカルト話、夢や電話のタイミングなどのシンクロニシティを取り上げて「テレパシーの証拠だ」!と騒ぐ事例に似ています。
世の中には無数の出来事が起きているので、事後的にそれだけ取り出せば「奇跡的な低確率」に見えても、実は「何らかのシンクロニシティが起こる確率」は高確率なんですね。
毎日、世界中で数万件は起きているでしょう。
今回は、その一つがサッカーくじだった、というだけの、「事前特定せず事後に驚いているだけの話」。
ただ、「BIG」の場合は、テレパシーや予知や心霊の場合と異なり、システムの不具合というのは、事前確率がさほど低くありませんから、「単なる偶然の一致」という仮説と、「システムの不具合」という仮説が拮抗するわけです(*1)。
拮抗しているだけなのに、「システムの不具合に違いない」と決めつけるのは、見かけ上奇跡的低確率の出来事実現を目にして、すぐに心霊や超能力や陰謀説に飛びつく「弱い心」であると言えます。
しかしながら、
三浦キョ~ジュの「高確率」とやらが全く当てにならないことはさっき見せていただいたばっかりだったので、
これに対し私は、(今考えるとあまりの恐れ多さに身震いしてしまうのですが)次のようにツッコミを入れました。
遅読猫:
もうなんでもありですね。
> 実は「何らかのシンクロニシティが起こる確率」は高確率なんですね。
その「高確率」とはどれくらいなんですか?
「実は」っていうからには、計算式とその結果の数値を"実際に"示してください。
すると、
三浦キョ~ジュ:
…
lim[y→0] (1-(1-y)1/y = (e-1)/e
…
期間を特定しても―たとえば「遅読猫が生きている期間に」―そのようなシンクロニシティが起こる確率は、以上の計算から (e-1)/e くらいということになります。
さすがは三浦キョ~ジュ、
今度はちゃんと計算してくれました。
結果、
「そのようなシンクロニシティが起こる確率」
つまり、
この世のどこかで「つきあわせた2つの5口が一致する」確率は (e-1)/e、だいたい 0.6 ということです!
(なぜ上記の式で「そのようなシンクロニシティが起こる確率」が計算できるのか、それが分からないおバカさんは直接三浦キョ~ジュに掲示板で質問しよう!
どんな質問でも必ず懇切丁寧に答えてくれますよ。
私自身も三浦キョ~ジュ御自身から同掲示板で折角、「思考実験の視点設定で、適当な従属変数で視界を調整…」とかなんとか説明していただいたのですが、スミマセン、私ごときの頭ではまったく理解できませんでした…)
で、
それだけじゃないんです!
式を見て頂ければわかるとおり、
この世のどこかで「つきあわせた2つの5口が一致する」確率を算定するにあたり、
「任意の2つの5口が一致する」確率も、
「2つの5口を突き合わせる」試行回数も、
当該式にパラメータとして設定する必要がありません。
つまり、
この世のどこかで、
「つきあわせた2つの20口が一致する」確率も、
「つきあわせた5つの50口がすべて一致する」確率も、
「つきあわせた10の100口がすべて一致する」確率も、
それらがつきあわせられた回数が何回であろうと、
すべて 0.6 です。
さらに、
対象となる事象は「サッカーくじの数字の一致」でなくても、なんでもかまいません!
つまり、
こういうことです…
ある日のこと
A君:
「俺の叔父さんって、一昨年(おととし)年末ジャンボ宝くじを1枚だけ買ったら1等が当たって、去年も年末ジャンボ宝くじを1枚だけ買って、また1等が当たったんだぜ!」
C君:
「ウソつけ、証拠を見せろよ…」
M君:
「いやいや、C君、
世の中には無数の出来事が起きているので、事後的にそれだけ取り出せば「奇跡的な低確率」に見えても、実は「何らかのシンクロニシティが起こる確率」は高確率: 0.6 なんですね。
毎日、世界中で数万件は起きているでしょう。
今回は、その一つが「宝くじの連続1等当選」だった、というだけの、「事前特定せず事後に驚いているだけの話」。
ただ、今回の場合は、その現象自体はデッチ上げやウソではないことが確認されているテレパシーや予知や心霊の場合と異なり、「A君のウソ」というのは事前確率がさほど低くありませんから、「単なる偶然の一致」という仮説と、「A君のウソ」という仮説が拮抗するわけです。
拮抗しているだけなのに、「A君のウソ」と決めつけるのは、それがデッチ上げやウソではないことは確認されている、見かけ上奇跡的低確率の出来事実現を目にして、すぐに心霊や超能力や陰謀説に飛びつくのと同じ、「弱い心」であると言えます」
また別の日、
B君:
(原稿の束を見せながら)「うちの猿がタイプライターをイタズラしてたら、トルストイの『戦争と平和』を打ち出したぞ!!」
C君:
「ウソつけっ、お前が打ったんだろっ!」
M君:
「いいですか、C君、
世の中には無数の出来事が起きているので、事後的にそれだけ取り出せば「奇跡的な低確率」に見えても、実は「何らかのシンクロニシティが起こる確率」は高確率: 0.6 なんですよ。
毎日、世界中で数万件は起きているでしょう。
今回は、その一つが「サルによる『戦争と平和』の打ち出し」だった、というだけの、「事前特定せず事後に驚いているだけの話」。
ただ、今回の場合は、その現象自体はデッチ上げやウソではないことが確認されているテレパシーや予知や心霊の場合と異なり、「B君のウソ」というのは事前確率がさほど低くありませんから、「単なる偶然の一致」という仮説と、「B君のウソ」という仮説が拮抗するわけです。
拮抗しているだけなのに、「B君のウソ」と決めつけるのは、それがデッチ上げやウソではないことは確認されている、見かけ上奇跡的低確率の出来事実現を目にして、すぐに心霊や超能力や陰謀説に飛びつくのと同じ、「弱い心」であると言えます」
どうです?
「強い心」のM君、実にカッコイイじゃあ~りませんか!
みなさんも学校や職場で
「この前さ、これこれこんな確率的にチョー有り得えねーことが起こったんだゼ!」
「それって、スッゲーキセキじゃんよ!」
と、「事前特定せず事後に驚いている」愚か者どもが盛り上がっていたら、
M君のように すかさず嘴を突っ込んで、
「世の中には無数の出来事が起きているので、事後的にそれだけ取り出せば「奇跡的な低確率」に見えても、実はそんなことが起こる確率は高確率:0.6 なんですね」
と、上から目線で諭してあげましょう。
それでも、納得しないで "究極の確率":0.6 を胡散臭く思うバカ者がいたら、
e(;`Д´)9 コノ タワケガァ!
「この"究極の確率":0.6 はなっ、誰あろう、三浦俊彦:東京大学教授が発見されたんだぞっ!」
(字の大きなところは特に大きな声で! でも、三浦キョ~ジュの"専攻"は絶対に言わないこと。"東京大学"の効果が半減、どころか ほとんどなくなってしまいます)
と、思いっきり罵倒してやりましょう。
そのバカ者は恥ずかしさのあまり、コソコソとその場を立ち去り、
あなたはみんなの称賛の的になること間違いなしです!
三浦俊彦:東京大学人文社会系研究科美学藝術学専攻教授!、
"究極の確率" 0.6 を、どうもありがとう!!
※以上は、冒頭で述べたように、三浦キョ~ジュの発見について、あくまで私の理解の及ぶ限りでの記載となります。
もし、三浦キョ~ジュの発見についての私の理解に なんらかの間違い・不備がありましても、それはひとえに私の能力のなさによるものとしてご容赦頂きたく存じます。
(*1):
これは残念ながら、三浦キョ~ジュ、間違っています。
「事前確率」云々というのであれば、
そして、今回の件がツイッターの投稿者のウソではないことが確認されているのであれば、
「拮抗する」のは、
「「単なる偶然の一致」という仮説と「システムの不具合」という仮説」では"ありません"。
「拮抗する」のは、
「システムは真の乱数に基づいて(くじの)ナンバーを発行している」という仮説(仮説Aとします)
と
「システムは真の乱数に基づいてナンバーを発行してい"ない"」という仮説(仮説Bとします)
です。
今回の件が「単なる偶然の一致」である確率は、仮説Aが"真"であった場合の"尤度"です。
「こんな基本的なことさえわかってない三浦キョ~ジュの発見って、ホントに大丈夫なの?」
な、なんてことを!
なんでもありのミウラワールドでは、〈論理の土台〉なんかなくったって、
宙に浮かぶ壮麗な〈理論〉を生み出すことができるんですよっ!
尚、「システムの"不具合"」という表現も適切ではありません。
これについてはまたの機会に。
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