ストーリーの前提:神の意図
神ブーニベルゼは滅びゆく万物を嘆いた。
滅びてしまう有限の存在ではなく、無限の存在を求めた。
可視世界しか見えぬ不完全な神であるブーニベルゼは
不可視世界へと去ったムインが無限の鍵であると考え、
不可視世界への扉を探す。
不可視世界の発見のために、神はファルシを作成し
そのファルシはさらに配下のファルシを作成するが
ファルシ間で対立が起こり、人もそれに巻き込まれてしまった。
■女神ムイン
『かつて世界(可視世界)を治めていた女神。
ブーニベルゼに倒されて不可視世界に渡り、
自身の元を訪れたエトロに世界の均衡を崩さないよう託し、混沌に呑みこまれた。』
FF辞典より引用。
■男神ブーニベルゼ
輝ける神。
13シリーズの元凶。
可視世界をムインから奪い取ったが、不可視世界が文字通り、見えない。
結局のところ、可視のみの不完全な存在。
『輝ける神は、滅びゆく万物を嘆いた。』
■大神パルス・邪神リンゼ
ブーニベルゼの作ったファルシ。
13の作中では神扱い。
それぞれファルシを作り、物理・霊魂の次元で不可視世界の発見を目指す。
■ファルシ
パルスのファルシ
物理次元での不可視世界を探す使命を与えられている。
パルス神の切り拓いた大地をさらに押し広げ、不可視世界の門を探す。
リンゼのファルシ
霊魂次元での不可視世界を探す使命を与えられている。
人を大量殺戮することで、不可視である心を大量に不可視世界へ送り
その門をこじ開けようとする。
大量の人を養殖するための繭(コクーン)を作るために
パルスの大地を削り取ってしまう。
■ルシ
大地を傷つけられたパルスのファルシは怒り、コクーンを破壊しようとする。
パルスのファルシはパルスの人々を奴隷(ルシ)とし、コクーンへ送り込む。
ここにおいてパルスとコクーンの対立が生まれ、
コクーンの人々はパルスのファルシとルシを恐れるようになる。
ストーリー要約
繭に住みながらも下界の手先となってしまうライトニングたち。
繭の兵士から追われるなどするうちに
繭の真実、大量殺戮を目論むファルシの意向に気づく。
それまでは飼いならされた家畜のようなものであり、
ただのうのうと暮らすだけであった。
家畜からルシにされ、ルシの役目を認識することで
あらためて人として生きるとはなにか、
自分の意志はなにかを考え直すことになる。
「私は ── 飼われていたルシとしては繭の破壊が役目であり、できなければシ骸となってしまう。
ファルシが支える世界で生まれて
ファルシがくれる餌で育った
飼われる生き方しか知らなかったから
その生き方を奪われたら 簡単に見失った
飼い主に捨てられて ただ迷うだけだ
ルシにされて 私は何もかも見失った
先は見えない 希望もない
考えるのも嫌になって ──
だから 戦った
戦っていれば 何も考えなくていいから……
現実逃避だ」
「希望もなく戦うのは生き方じゃない。
死に方でしかないんだ」
「セラは?
戦う目的がねえって何言ってんだ?
セラが元に戻った時 会いたくねーのかよ
セラが助かる希望がある
それまで戦って生きのびる
簡単じゃねーか」
しかし、人としては繭を守りたい。
この矛盾のなか、話は進んでいく。
最後まで矛盾の解決方法がわからないが、最後の最後でそれがわかった。
魔獣ラグナロクとなり繭を破壊した後、その力で繭を支えればよい。
こうしてルシの使命を果たしつつも、人としての意志を貫けたのだった。
「世界に希望がないのなら
見つけ出すまで一緒に探す
私たちはずっと一緒の仲間がいる。
人間には心が、絆がある。
救いが失せた繭(コクーン)だろうと
守って ここで生きていく!
それが─
私たちの
人間の使命だ!」
対比:ファルシと人(有限と無限)
ファルシは神の作った道具であり、機械である。
道具は使う主人・他者に依存し、自立できない。
道具や機械は、何かをするために作られたものであり
すなわち限られた目的しかない有限な存在である。
限界が決められているため、その先、未来への希望はなく、絶望しかない。
それに対し人は道具ではない。
心があり、自分で考え行動し、自立できる。
目的は決められていない、無限の存在である。
自身で決める未来、希望を見い出す力がある。
子どもは親に依存する、他人のせいにする(お母さんがいないと・スノウのせいだ)
他者に依存する、自立していない存在という意味でファルシ・ルシと同じだ。
大人になり、自立するというのが「人」であり、自分の心を持つことだ。
(ファルシという難解な用語がなぜ必要だったかは こちら に書き加えました。)
テーマ
FF13のテーマは「人とは何か」である。
神々やファルシ・ルシは、人との対比を生む概念であり
機械⇔人との対比によって人らしさが浮き彫りになる。
作中では主人公6人それぞれの大切なもの、心境の変化が描かれる。
どの主人公も最初は絶望するが、次第に希望を見い出していく。
この絶望⇔希望という心境の変化も
機械⇔人の対比と同じように読み取ることができる。
神/ファルシ/ルシ=機械/道具/絶望から、人=希望へと変化していく
そんな対比と変化を軸として、6人それぞれのストーリーが描かれている。
メッセージ
では、そんなテーマ「人とは何か」に対して
FF13はどんなメッセージを伝えようとしているのだろうか。
それはエンディングを迎える段階で明らかになる。
人とは何か。
人には心があり、絆がある。
絶望に打ちひしがれながらも、人としての心を取り戻し
仲間との絆を結び、最終的に希望の光を見いだせたライトニングたち。
FF13はまさにライトニング=光の物語だ。
そして、そんなまばゆい未来の光の物語として提示された
FF13での人の生き方は
私たち、リアルの人間とシンクロする。
希望という光を胸に 現実を乗り越えて──『辛い現実があったとしても、必ず私たちは乗り越えられる。
私たちは 未来へと生きる
がんばって。』
文字にしてしまうと、いかにも安っぽく、ありきたりになってしまうが
そんな暖かさ、応援のメッセージが感じられないだろうか。
- - -
(なお、ライトニングリターンズでも、このメッセージは通底している。
ライトニングの心の問題としてのルミナを解決し
それがかつての仲間との絆へと繋がり
その結果が私たちの世界へとリンクする。
この流れがより明確に読み取れるだろう。)
ストーリー詳細&解説
序-a.ライトニング&スノウ&ホープ
序-b.サッズ&ヴァニラ
中-a.合流
中-b.パルス編
終.最終戦
まとめ.FF13は、人とは何かを描く物語だ。
★序-a.ライトニングとスノウとホープ。
■パルスのファルシのルシがコクーンでパージ。
ライトニングは妹がルシにされてしまった。
パルス送りになる前に、妹セラを助けないと!
しかし、セラは目の前でクリスタルとなり
ライトニング自体もルシとなってしまう。
ルシは人類の敵だ。
ルシの使命はこの世界コクーンを壊すことだ。
使命を果たさなければシ骸となってしまう。
自分が生きてきた世界を壊すか、壊さずにシ骸になるか。
どちらも破滅だ。
世界を壊すルシは当然、政府から、世界から敵視される存在だ。
ライトニングは世界の敵となった。
心の支えとなる唯一の家族、セラも失った。
生きる意味がない。
■セラをルシにしたファルシも、パージを断行したファルシも許さない。
復讐だ。
セラをルシにした、パルスのファルシが憎い。
何も知らずセラを迫害した政府と政府のファルシが憎い。
壊してやる。
■…なんで僕が。僕は関係ないのに!
あんたらがファルシなんかに手を出すから!
僕を巻き込むなよ!
同じく希望を失った仲間がいた。
14歳のホープ・エストハイム。
ただ花火を見に来ていたボーダムで騒動に巻き込まれ
一緒にいた母親は下界追放の際に死んだ。
世界中が敵のルシになってしまった。
母はスノウをかばって死んだ。
スノウに責任を取らせる。
復讐してやる。
■「希望もなく戦うのは生き方じゃない。
死に方でしかないんだ。」
ライトニングはホープと共に復讐の途上にあった。
しかしホープを見て気付いてしまう。
復讐は単なる思考停止だ。
復讐は過去に対する行為だ。
未来に対する、生産的な、希望のある行為じゃない。
今の自分が感じている不安や怒り、絶望の未来から目を背け
現実から目を背けた闘争だ。
復讐だけを考えていれば何も考えずに済む…。
そうやって逃げていた。
復讐は生き方じゃない。
ではどう生きるのか?
本当にすべきこと、自分のためにすべきことは何なのか?
何のために生まれ、生きるのか?
ライトニングは気付く。
私は今までファルシに飼われて生きてきた。
何も考えず飼われて生きてきただけだ。
だからルシとなりファルシに捨てられた瞬間、生き方を見失った。
「お前には希望[Hope]のままで生きてほしい。だから命は私が守る。
家まで送ろう。けれど希望は私も見失っている。でも家族なら…」
「ルシだなんて言っても信じてもらえないですよ…」
「でもあいつは信じたんですよね…」
「あぁ…」
■「なんで信じてやらないんだ!義姉さん!!」
「誰が義姉さんだ!」
セラはルシになったことを話し、スノウと結婚すると報告した。
ライトニングは突然のことに戸惑い、またルシになったなど信じなかった。
しかしスノウだけが信じた。
スノウはバカで単純で異様に打たれ強い。
スノウはセラの恋人だ。
セラを助けるために異跡へ来たが、ライトニングと合流し
同じくルシとなった。
「セラは教えてくれなかった。信頼されていなかったのかな…」
ルシの使命について、セラは何も語らずクリスタルとなってしまった。
ビルジ湖へと落とされたクリスタルのセラを発見したとき
スノウは真っ先に駆け寄った。
ライトニングは、できなかった。
バカで単純で、だがひたすらに信じたスノウ。
妹を信じず、クリスタルにしてしまったライトニング。
信じることが出来なかった自分を後悔し、
その悔恨の念をスノウにぶつけてしまうライトニング。
「コクーンを守って」と最期に言ったセラの言葉が使命だと言い張るスノウ。
しかしセラを掘り出すためには時間がかかり、このままでは政府軍に捕まる。
政府に捕まってはコクーンを守るという使命を果たせないことになる。
スノウに対する嫉妬と全てを失った絶望に苛立つライトニング。
「守れなかっただろうが!」
「使命はどうする、セラも守れず使命も守らないのか!」
「使命も果たす。セラも守る!」
一見、ライトニングは正論だが、守れなかったのは自分も一緒である。
セラを信じず、「ルシを狩るのが私の仕事だ」と突き放しまでした。
それに対するスノウ、カッコいい。
クリスタルの湖からセラを掘り起こすため、その場にスノウは残った。
ライトニングたちは政府の追手から逃げるため、スノウとは別れる。
案の定、スノウはシド率いる騎兵隊に捕まった。
騎兵隊の中にはルシであるファングがいた。
なぜルシが政府軍にいるのか?
■「希望はあるんだ!」
騎兵隊を率いるシドの考えはルシに同情的だった。
シドはコクーンがファルシに支配されていることを見抜いていた。
コクーンを人の手に取り戻す。そのために戦っている。
ファングはそんなシドに保護され、一緒にいたのだった。
聞けばクリスタルとなって眠っていたところから再び目覚めたという。
セラはクリスタルから目覚めることができるのだ。
スノウとファングは、ホープの故郷パルムポルムで追い詰められていた
ホープとライトニングを間一髪で助けることに成功した。
スノウはライトニングに告げる、「希望はあるのだ」と。
ライトニングはホープをスノウに託し、
ファングとともに政府軍の追手を振り払うことにした。
ファングからルシはクリスタルから復活できると知らされる。
私は見失ったんだ。
セラをなくして ルシにされて……
もう何の希望もない。
どう考えても救いはなくて、考えるのが嫌になった。
今はとりあえず聖府と戦ってるが、目的は何もない。
戦って聖府を倒しても その先に何もない
そんなものは 死に方だ。
──希望もなく戦うのは。
セラは?
戦う目的がねえって何言ってんだ?
セラが元に戻った時 会いたくねーのかよ
セラが助かる希望がある
それまで戦って生きのびる
簡単じゃねーか
セラがクリスタルから目覚めるまで生きる。
それが希望だ。
■「戦って 人を巻き込んだら?
あんたが生きて戦うために─ 誰かの希望を壊したら?
死なせたら あんたの責任は?
その人たちに どうやって償うの」
……償えるかよ
死んじまった相手に どう償えってんだ
もう取り返しがつかねえのに
言葉で謝って どうなる
「最低だ……
巻き込んでおいて なんなんだよ」
ああそうさ! 巻き込んで死なせた!
重すぎて わかんねえよ─
償い方も 謝り方も!
今は前に進むしかねえ
償い方が見つかるまで
戦って 生きのびるしかねえんだ
何が 前に進むだよ!
言い訳にして 逃げてるだけだ!
「じゃあ責任とって 死ねばいいのか!」
「そうしろよ!」
やっと復讐の機会を得たホープ。
母ノラ・エストハイムのことをスノウに話し、スノウを刺そうとするホープ。
しかしその瞬間、政府軍からの爆撃でビルの屋上から二人は吹き飛ばされる。
スノウは、ノラの最期の一言を聞いていた。
「あの子を・・・お願い」
「あの子ってどの子だよ、クソッ」と当時は分かっていなかったが
それがホープだと今わかった。
スノウはホープをかばい、屋上から落下する。
無駄に頑丈なスノウでもさすがに無事では済まなかったが
ボロボロになりながらもホープを背負って、ライトニングとの合流を目指すスノウ。
スノウの背中で目を覚ますホープ。
「すまなかった。ノラさんは・・・ 俺のせいだ。
俺がバカで巻き込んだ。
謝るよ、償わせてくれ。」
「償う方法 探すから
少しだけ 時間をくれ
どうしても駄目だったら
お前が納得できるように 責任取る」
「帰ってこないよ
あんたに責任取らせても─
母さんは 帰ってこないよ」
……ごめん。
「最初から わかってたんだ
わかってたけど……
誰かのせいにして 憎んで……
目的がないと 戦えなくて」
誰かじゃなくて 俺のせいだろ
俺に償わせればいい
─償わせるまで 生きのびてさ
いけねえ……(スノウ倒れる)
なんだよ……立てるじゃねえか
元気で……安心した
俺も……少し休んだら……(敵が来る)
逃げろ!早く行け! こいつは俺が─(スノウ吹き飛ばされる)
スノウ!?
無理ばっかして……バカじゃないか
「あんたが─
あんたが死んだら 償えないだろ!」
全力の謝罪を受けたホープは、自身の復讐の無意味さも受け止める。
母が死んだのはスノウのせいではない。
復讐は何も生まない。
逆に、復讐の対象としてスノウが居てくれたからこそ、ホープは生きて来られた。
今では俺が償うまで生きろとスノウは励ましてくれた。
今までもこれからも、スノウはホープを支える存在だと、ホープは気づく。
■「家族か……」
ファングとライトニングは無事スノウ・ホープと合流し
エストハイム邸で休息していた。
少し休んだら出ていくというホープ。
ルシを匿う訳にはいかないから、と。
しかし「お前のうちはここだ!」と父は告げる。
父とは疎遠だったホープだが、父は子を大事に想っていた。
それを影から見ていたファング。
ファングは家族を何よりも大事に想い、家族のために生きている。
「ルシだのコクーンだのは どーでもいいんだ。
さっさと使命を突き止めて 片付けねーと
ヴァニラがシ骸になっちまうからな。
あいつが無事なら どうなってもいーんだ。」
■「生きのびてやるべきことをやりなさい。
自分で決めるんだ。」
父はホープにそう言った。
ルシの使命などではなく、自分で考え生きなさい、と。
巻き込まれた、他人のせいだ、と人にすがるのは子どもだ。
これからは自分の足で立って、仲間を、他人を助ける大人になるんだ。
甘えた子どもから大人へと成長しなければならない。
コクーンを滅ぼす、聖府を倒しても解決にはならない。
聖府を倒せば、逆に民衆はさらにルシを恐れることになる。
聖府ではなく、恐怖するコクーン市民全体の感情が敵なのだ。
市民を扇動するファルシの思惑を超えて、未来を見つけようじゃないか。
■「思い出が全部 後悔に変わって、
信じなかった自分を責めた。
重かったんだ。
逃げていたんだ。
なあ スノウ。
その……
済まなかった、許してくれ。」
ライトニングも復讐の無意味さ、自身の苛立ちを冷静に見つめ直し
スノウへの謝罪をする。
きちんと謝罪ができるみんな、大人である。
★ライトニング:妹セラを助けようとしたが自分もルシになり、生き方を見失う。
セラは生き返るという希望を見つけ、セラと共に笑って生きることのできる未来のため戦う。
★ホープ:母親の庇護下にある子どものホープだったが、母親を奪われた上にルシにされる。
傷ついても帰る場所を与えてくれた父と故郷の存在に気付き、大人への一歩を踏み出す。
これからは仲間を助けられる存在へ、ルシの生きられる未来を探し求めるため生きていく。
★スノウ:セラの最後の言葉「コクーンを守って」をルシの使命と受け取り
コクーンを守るために戦っている、が・・・?
★序-b. サッズとヴァニラ後ろ向きな逃走と前向きな逃走。
■サッズ
息子のドッジがコクーンのファルシのルシにされた。
ドッジの使命を果たしてやらないとシ骸になってしまう。
パルスのファルシを壊すことが使命では?と考え、パージ列車に乗り込む。
そこで偶然居合わせたライトニングと行動を共にすることになる。
しかしながら、自分はパルスのファルシのルシにされてしまった。
息子はコクーンのファルシのルシであり、
パルスのファルシのルシとは完全に敵対関係にある。
ドッジの使命がパルスのファルシのルシを殺すことなら、自分が死ななければならない。
絶望である。
「逃げよう」
ヴァニラは提案した。
とりあえず政府から逃げる。
世界も壊せないし、かと言って自殺することも出来ない。
ライトニングたちと別れ、サッズとヴァニラは逃亡する。
■ヴァニラ
ヴァニラは悩んでいた。
ヴァニラはパルスの人間である。
600年前、コクーンを滅ぼすために戦ったが、滅ぼすことはできずクリスタルとなった。
今また目覚め、ルシとしての使命を果たさなければならない。
コクーンの人々を殺さなければならない。
そんなことは出来ない。
「現実が辛いなら逃げてもいいんだよ。
離れて振り返ってみると、案外簡単に乗り越えられたりして─」
ヴァニラは以前にセラと会っていた。
辛ければ逃げていい。
時間が経てば、意外と解決できるものだ、とセラは言った。
ヴァニラは、逃げることにした。
いつか解決できるときまで。
■ヴァニラ&サッズ
ドッジの使命は、パルスのルシを捕まえることだった。
そのために必要な探知能力をファルシから授かっていた。
ドッジは父サッズをその能力で見つけ、つかまえた途端、クリスタルとなった。
聖府軍はドッジを利用した作戦でサッズとヴァニラを探し出し
さらにヴァニラを追い詰めた。
ドッジがルシにされた現場には、ヴァニラが居たという映像を見せたのだ。
ヴァニラは思わず逃げ出すが…。
(ヴァニラの作りだした幻のサッズ)
おまえは最低のクズだ
嘘ばっかつきやがって
人を振り回してよ
何人巻き込んだと思ってる
私は─
臆病な死神だ
生きてるだけで 迷惑なんだよ
─もう生きるな
楽になりたいんだろ?
殺されて償え
(本物のサッズが追ってくる)
討ってよ 仇を
ふざけんなあ!
死んで終わりにしようってか!
死にゃあ許されるとでも 思ってんのかあ!
それなら……
それなら どうすれば!
生きても死んでも駄目なら 私はどうすれば!
人に聞くんじゃねえ!
てめえで考えろ!
わからないんだよ!
……ああ 俺もだぁ……。
もう 終わったんだ
どうしようもねえんだ
今さら おまえを撃っても……
生きててもな
(絶望したサッズに対して召喚獣が現れる)
(ヴァニラ、サッズをかばって)
死なないで。
サッズはヴァニラを撃とうとするが、撃てなかった。
「ガキの仇でもよ
ガキは撃てねぇや。」
■ルシ公開処刑
市民の感情を抑えるため、聖府はルシを公開処刑することにした。
処刑されるルシは、捕まったサッズとヴァニラである。
サッズはヴァニラからクリスタルからの復活について聞き、希望を見る。
「逃げるぜ、ヴァニラ!
ただし前向きにな。
笑っていこうぜ!」
情報を掴んだライトニングたちもサッズたちを助けるため
聖府旗艦パラメキアへ乗り込んでいた。
★中-a. 合流
ファルシの管理から人の手にコクーンを取り戻す、という希望がある。
しかし聖府代表は実はファルシであり、打倒は成功しなかった。
そしてファルシの計画が明らかになる。
■打倒聖府
ルシの公開処刑はファルシの支配体制をさらに盤石にするためのものだった。
下界のルシは危険な存在であり排除すべきという情報操作。
安全を提供するファルシとその聖府への信頼はさらに厚いものとなるだろう。
逆に、聖府の情報操作を明らかにし、人心が変化すれば
下界のルシであるライトたちもコクーンで生きていけるかもしれない。
下界のルシもただの人間であり、コクーンを滅ぼすつもりはないと分かってもらえれば。
そんな希望がある。
■ルシの使命
聖府の代表ガレンス・ダイスリーは人ではなく、ファルシだった。
ダイスリーことファルシ=バルトアンデルスはライトニングたちに告げる。
使命は魔獣ラグナロクとなり、コクーンを滅ぼすことだと。
コクーンの核であるファルシ=オーファンを破壊することがルシの使命である。
バルトアンデルスは陰ながらライトニングたちを応援し
ルシがコクーンを滅ぼす力を身につけるよう手助けをしていた。
今回バルトアンデルス自身が戦ったのも、ルシの戦闘能力を高めるためである。
なぜコクーンのファルシが、コクーンを滅ぼす手助けを・・・?
ライトニングたちはダイスリーの用意した飛空艇に乗り、パラメキアを後にする。
■スノウ × ムノウ × フノウ
飛空艇で連れて来られた5thアークはルシの力を引き出す場所だった。
バルトアンデルスはルシにオーファンを破壊させたいらしいが
コクーンを支えるファルシがコクーンを破壊したいとはどういうことなのだろうか?
バルトアンデルスからルシの使命について聞いたスノウは
一転して無能になっていた。
「ごめんな、義姉さん。
俺は間違っていたらしい。」
セラの使命のことか?
悩むなんておまえらしくないな
……バカだって悩むんだぜ
セラと一緒にコクーンを守るんだろ?
無茶でも信じれば支えになる
だからここまで来れたんだろ
だけど俺は……
あぁ!思い込みが激しくて勘違いするわ
自分をごまかすわ
とんだ大バカ野郎だったな!
「でも─
私は救われた。
セラを信じて
前に突き進んだ おまえを見て
私も信じてみたくなったんだ。」
完全にスノウを認めたライトニングさん。
そしてスノウを励ましている、が。
「セラ……
なんかいってくれよ」
スノウ、完全に不能。
■シド・レインズ
5thアークを進んだ先にはなぜかシドが待っていた。
シドは語る。
ファルシの真の目的は、神を呼び戻すことだ、と。
神はファルシと人を作ったが、いつしか世界から立ち去ってしまった。
人は神の定めた秩序すら忘れ
仲間同士で殺しあえる 稀有な存在となった。
「このすさんだ世界を再建するために、今一度 神を迎える」
神を呼び戻すために、神にふさわしい供犠が要る。
コクーン市民数千万人の命を捧げる。
ファルシなら自分でコクーンを壊せるのでは?
ファルシ自身はできない。
コクーンを創造し、維持するために存在するファルシだからだ。
コクーンを傷つけることは、その使命に反する。
人の力でコクーンを再建するってのは嘘だったのかよ
それは人の頃の私の夢だ。
聖府内で力を手にし、地位を手に入れたところでルシにされた。
今の私は聖府のファルシの傀儡に過ぎない。
私たちにしか壊せないなら、壊さなければいい
君らならそう言ってくれると思った
私も使命に挑んでみよう。
ここで君らを倒せば、ファルシの計画を止められる。
残された力の全てをもって
君らを討つ!
使命に挑む主人公たちに触発されたレインズ。
ファルシの傀儡としてではなく、最期には人の意志でライトニングたちへ挑むレインズ。
当然主人公には勝てずに負けてしまうが。
結果はどうあってもいい。
君らは貫いてくれ
信じていた道を。
レインズはファルシに屈し、人としての夢を諦めた。
スノウも、ルシの使命に負けそうになり、迷っている。
ルシというただの道具として、ファルシに負けてしまうのではなく
最期まで人として、心をもって進み続けてほしい。
そう告げて、レインズはクリスタルとなった。
(不明だが、レインズは自分の意志でクリスタルとなったと思う。
少なくともセラは自分の意志でクリスタルになったとLRFF13で明言されている)
■「俺は決めたぜ!
シ骸になっちまうとしても
その瞬間までセラに胸張れる道を選ぶ!」
レインズの存在は、スノウを勇気づけた。
スノウ復活である。
今なら分かる。
涙の意味は「使命に負けるな」だ。
俺らを導いてるのはファルシじゃねえ
セラや レインズ……それに……
本当の使命が なんだっていい
俺の願いは 最期までコクーンを守り抜く
これしかねえ!
私も……
私も守るよ。
(ヴァニラ、ホープとひなチョコボがスノウと手を重ねる)
スノウ おかえり。
(サッズとライトニングも微笑む)
仲間たちは使命に挑むことで一致した、ように見えたが…。
■「認めねーよ!
おまえらが意志を貫くってなら─
私もだ!」
(ファング、槍を向ける)
コクーンなんて滅んでもいい
ルシを憎んでる連中が何人死のうが関係ねえ
仲間がシ骸になるよりマシだ!!
おまえらができねーっつうなら、私だけでやる
先へ進んで、力をつけて
コクーンをぶっ壊してやる!
シ骸になったらおしまいなんだよ!
私が……
助けたいのは──!
(ルシの刻印が光り、思わずファングは膝をつく)
召喚獣はルシを救いに現れる
迷えるルシを 殺して楽にしてやろうってな!
迷ってるから出てきたわけか!
(バハムートが光弾を発射するが、ファングをライトニングとスノウがかばう)
おまえら……
私は救いにすがる気はない
ファルシの思惑に乗る気もない
使命と 最後まで戦いたい
「だから ファング─
助けてくれないか。」
「今さら聞くな!!」
ファングは家族、ヴァニラが何よりも大事だ。
今では同じルシの仲間であるみんなも大切な存在だ。
ファングが仲間の烙印の進行度を気にしている場面が何度もある。
皆がシ骸になって、烙印の焼け焦げたファングだけが取り残されることを恐れているのだ。
仲間は使命に挑み、シ骸になることも厭わないらしい。
仲間にはシ骸になってほしくない。
だから槍を向けた。
だが、本当は当然、ファングも仲間と共にありたい。
そんな迷いが生じ、召喚獣が現れた。
迷いを打ち払って、ファングは仲間と共に召喚獣を組み伏せる。
■女神の加護
5thアークの最下層には道がなかったが、突然道ができる。
完全にご都合主義である。
であるが、一応、女神の加護としてストーリー説明ができる。
女神は、迷える人へ慈悲を与え、召喚獣を送る。
女神は、心を持つ神であるがゆえに、人の心を受け止め力を贈る。
(他の神やファルシは心を持たない機械である)
(ルシも、ファルシの使命を達成しなければならない道具である)
新しい道が!
召喚獣の救いかな?
俺らが意志を貫いたから、ってことにしねえか
この先も意志を持ってりゃどうにかなるって思えるだろ
行こう
「ねえ セラ
私たちはルシだけど
心をもってる」
★中-b. パルス編
コクーンの破壊という使命を回避する方法を探す。
人とファルシの物語に、神とその道具(人・ファルシ)という新たな軸が追加される。
■パルスへ
道の先には、なんと都合よく飛空艇があり、パルスへのワープ扉がある。
(もうちょっとなんとかならないんですかねぇ…。)
行ってみようぜ
行けば案外 ルシの呪いを解く方法とか
あっさり見つかったりしてな
ルシの烙印を止める方法を探しにパルスに行く。
そしてホープさんの演説。
少なくとも 今コクーンを滅ぼす危険はなくなる
行ってみる価値はあると思います
家族とは会えなくなるぞ
父さんと約束したんです
前に進んでやるべきことをやれ
何をするかは 自分で決めろって
もう母親にすがるホープではない。
家族に甘える子どもではなく、自分で考え、行動する。
そんな成長を示す言葉だ。
世界は嘘だらけで
真実なんて誰にも分からない
だから 自分で決めるしかないんだ
僕らは簡単に誰かに騙されてしまう
「ルシは怪物だ」っていう
聖府の嘘を信じ込んでたみたいに。
もう聖府にもファルシにも
使命にも操られない。
これからはなんでも自分で見て
感じて
決める
間違うこともあるかもしれない
それでも 自分で納得して決めたことなら
後悔はしません。
よーし 貫け
父ちゃんも応援してやる!
使命に囚われず、自身のために生きる。
人として、信じた道を貫いて生きていこう。
不安ですけどね
「下界(パルス)は地獄」っていうし
勝手に決めんな
実際 見たことねーくせに
はい だから
自分の目で見て 確かめたいんです
おーっし
異論ねーな?
地獄へ出発だな。
ホープの演説は、改めてまとめてみると脚本として伝えたい事が分かった気がする。
しかし、プレイ中の感想は「なんでこんないきなり人間出来上がってんの?」だった。
ホープの自立と、人として生きることの再確認かな。
■パルスとは、神とは、人とは
パルスとは
神の慈悲など存在しない
試練を乗り越えた者しか
生きることが許されない地
レインズは言っていた
「神なきこの世界に 今一度神を呼び戻す」
それこそがコクーンのファルシの真の目的だと
人は神へ捧げられる贄
コクーンが崩壊した時 神はふたたび目覚める─
けどそれは 私たちを救う神なのだろうか?
(チョコボがゴルゴノプスに喰われ、アダマンタイマイがタイタンに喰われるムービー)
神は人を救わない。誰も救わない。慈悲など存在しない。
神が求めるのは、永遠である。
滅びるもの、弱き者、終末を良しとしない。
食物連鎖のムービーからは、強き者を作り出そうとする意志が隠されているのではないか。
輝ける神は、滅びゆく万物を嘆いた。
強き神は、未来を求めて世界を拓いた。
賢き神は、真実を求めて英知を極めた。
(断章01より。)
神は有限を良しとせず、無限を求めている。
そのための道具がファルシであり、人である。
神はファルシを生み
神を求めたファルシはルシを生んだ
だとすれば 私たちは
何を生みだせるのだろう……
使命を抱きながら
それに反する心を持った
私たちにできることは きっと──
人は心を持っている。
神ですら持っていない心は無限の可能性を秘めた混沌である。
未来への希望を見い出し、奇跡を起こすことができる。
■ヲルバ郷へ
パルスに行ったはいいものの、ルシの烙印を止める方法は見つからず
ただ時間だけが過ぎていった。
そんな中、ホープさんが倒れてしまい、召喚獣が現れる。
最終手段としてヴァニラとファングの故郷であるヲルバ郷へ行くことにする。
なぜヲルバ郷に行くのがダメだったのか良く分からないが
ヴァニラをファングが制止する場面から想像すると
何か因縁がある場所なのか、既に人が居なくなっているであろうヲルバ郷を
直視したくないのか。
■「悪かった。抱えさせて。
もう ひとりで背負うな。」
ファングは使命を忘れていた。
ヴァニラは使命を覚えていたが、忘れたふりをした。
そうすればファングが魔獣となってコクーンを破壊しようとした
パルスを荒廃させることになったという事実を思い出さずに済むと思ったからだ。
しかし、逆にファングを焦らせることになり、セラやドッジを巻き込んだ。
ファングはレインズの言葉やここに来て、少し記憶を取り戻した。
ヴァニラにかまをかけて、真実を確かめた。
嘘をついていたヴァニラに対し、ファングは包容力を見せる。
一人で背負うな、私たちはずっと一緒だと。
「家族も増えたんだ
今度はぐれたら 許さねーぞ?」
ヴァニラを抱きしめながら、ファングは言う。
ライトニングたちという新しい家族も増えた。
仲間とはずっと一緒だ。
■ライトニングとスノウ
「帰ったら 私をどうするつもりだ」
(ライトニングがスノウに対し、突然剣を振るう)
……義姉さん?
セラがそう言ってる
おどかすなって
結婚式 だろ?
しっかり受け止めてやれ
涙はこいつで最後
一生 泣かせない
当たり前だ。
また 会えるよな……?
違うだろ
前だけ見てろ
(背中からパンチ)
「必ず会える」だろ
夢を見せたのは おまえだ……
(スノウには見せないが、涙)
義姉さん?
全部終わらせて
一緒に迎えに行こうな
結局、ライトニングさんはふだん強がってばかりで
本当は弱いところもある普通の女の子なんですよねぇ。
スノウはそんなライトニングさんが頼っちゃうくらい、度量が広い。
カッコいい。
■パルス編終了
1.ヲルバ郷到着
→2.バルトアンデルス戦
→3.予言の冥碑
→コクーンへ帰る。
1.結局、ルシの烙印を止める方法は見つからなかった。
2.バルトアンデルスからはもうすぐ滅びの戦争が始まると告げられる。
3.パルス編の終着点として、予言の冥碑があった。
ラグナロクがコクーンを天より墜とす、と言っている。
それでもコクーンを守りたい。
コクーンを守るには2つの問題がある。
ファルシを止める必要と、ファルシに管理されてきた人々の心を変化させる必要がある。
2.バルトアンデルスの演説(ストーリー説明)
ラグナロク
怒りの日
パルスのルシよ
宿命に従い 楽園を崩せ
死者の魂を光とし
永遠に眠る神を導く
哀れな迷い子 ラグナロク
死者の魂を光とし
神を導く
ラグナロク
器である体が滅びた時、魂はこの世を去る。
その時、魂が神と同じ道をゆくのではないだろうか。
かつて神がこの世を去った時に通った門を抜けて……。
数多の体が同時に滅べば、数多の魂が同時に門を通る。
門は大きく開け放たれるであろう。
魂を迎える門の彼方に、神の光が見えるであろう。
(断章12)
大神パルスの子は地を裂き、物質の領域で門を求める。
邪神リンゼの子は命を殺め、霊魂の領域で門を求める。
——我は視た。
絶望を秘鍵として隠されし門が開かれるであろう。
希望は犠牲によってのみ拓かれるであろう。
この世に神々の黄昏が到来せし時、輝ける門の彼方、
色のない不可視の次元より、声なき歌が響くであろう。
はかなく消える命を憐れむ、女神エトロの嘆きの歌が。
(断章13)
邪神リンゼのファルシは、繭(コクーン)を作って人を飼い
大量殺戮することで神のいる世界への門を開こうとしている。
(セラに化けたバルトアンデルスが続ける)
待ってたよ
目を覚ましてくれるのを
眠っている間 ずっと感じてた
一緒にコクーンを救う方法を考えてたよ
わかったでしょう
奇跡を起こしてくれる救いの神なんてどこにもいない
だから私たちが呼ぶの
オーファンを破壊して─
世界を救って
「目を覚ましてくれるのを」の意味がわかりにくいが
救いの神がおらず、ルシの使命に従うしかない、と分かり
コクーンを守るという幻想から目を覚ます、ということだろうか。
(バルトアンデルスに戻る)
幻を追い ファルシを裏切り続けた
結果 おまえたちが守ろうとしたコクーンは
救いなき滅びを迎える
ファルシにコクーンは壊せないはずだ
コクーンを滅ぼすのは 人だ
コクーンは
永く人々の生活の安全と平和を保ってきた
あまりにも十分すぎるほどにな
おかげで 自分たちと違う
「異物」に対する恐怖と憎しみは
わずかな刺激で暴発するほど強大に育った
破滅の種が いま芽生えを迎えるのだ
コクーンに何をした?
私に代わり
レインズを聖府代表に据えた
何も知らぬ騎兵隊は
彼を裏切り者と見なすだろう
「彼もファルシに取り込まれたのか」と。
そこに「ファルシ=オーファンが黒幕だ」と
餌をまけば どうなると思う?
騎兵隊にぶっ壊させる気か
それとも 下界(パルス)の干渉を疑い
怯えた人々が殺しあうのが先かな?
騎兵隊にオーファンを壊させる、人々の暴走も起こす
お前たちはどうする?と焚きつける。
本当はオーファンを破壊できるのはラグナロクだけであるので
ここは煽ってコクーンへ引き込もうとしている場面。
3.女神の予言
こいつが 道のゴールってか
ファルシの思惑をひっくりかえす
夢の一手を教えてほしいぜ
悪魔(リンゼ)のしもべが巣食うコクーンは
大いなるパルスに抱かれし生命すべての敵である
われらのファルシはパルスの意思を感じ
ルシを選んで使命を授けた
ラグナロクへとなりかわり
コクーンを滅ぼせと命じた
ラグナロクは羽ばたき悪魔(リンゼ)のファルシと戦って
コクーンを打ち砕こうとした
しかし 女神がルシを裏切り
ラグナロクの力を封じた
使命なかばで眠ったルシは
忌わしきバルトアンデルスによって
コクーンへと連れ去られた
女神は予言する
コクーンに眠るルシは
悠久の時をへて よみがえるであろう
ラグナロクは ふたたび目覚め
コクーンを天より堕とすであろう
女神の予言は絶対である
万事休すか……
道のゴールにあった物は、コクーンが堕天するという予言だった。
ファルシがいる限り
戦いは終わらないんだろ
だったら やってやろうぜ
ダイスリーを止めりゃいい
オーファンはどうすんだよ?
守るしかねえな
オーファンさえ傷つけなきゃ─
今度は別の戦争が始まるだけだ
ルシが……人の争いを止められるのか?
(ホープ、キリッとする)
ライトさん
コクーンで言ってましたよね
できるできないの問題じゃない
「やるんだ」って
今がその時なんだと思います
どんな小さな変化でも─
たとえ ひとりの心からでもいい
僕達で
何かを変えることができれば……
コクーンのみんなも動かせる!?
無茶言うぜ
無茶言わなきゃ 始まんねーだろ?
コクーンにいた時ね……
花火に願ったの
「コクーンを傷つけないで済むように」って
でもそれは間違いだった
(一同、えっ?) プレイヤーも、えっ?
願うだけじゃ駄目
祈るだけじゃ駄目
だから今度は
「絶対にコクーンを守る」って……誓うよ
どん底まで落ちて
ようやく伝えられる希望もあるってか
俺たちにしかやれないこと だな
うん
(ファングとヴァニラ、ハイタッチ)
忘れ物を 取り戻しに行くか
願うのも、祈るのも他人任せだ。そんなのはダメだ。
逃げるのはもうやめだ。
誓う、というのは自分でやる、ということだ。
自分で決め、自分で実行するんだ。
逃げることができなくなったヴァニラはサッズに言われた。
生きても死んでも駄目ならどうすればいい?
人に聞くな、自分で考えろ。
それを今、ここで実行する。
コクーンの人々はファルシに管理され、心を奪われている。
ただ生かされ、考える自由を失っている。
ルシにされ、一度絶望し、全てを失って初めて
本当に生きることとは何か、希望を見つけることができた。
ファルシの思惑・真実を伝え、一人でもいいから心を取り戻させる。
これはルシたちにしか出来ないことだ。
ファルシ=バルトアンデルスは倒すが、オーファンは守る。
人々の争いもなんとかする。
コクーンへ帰ろう。
戻る理由は分かるものの、実際には
どうルシの使命を回避するのか、どうやってコクーンを守るのか
は明確にされない。
★終. 最終戦へ
■シド・レインズの演説
シドが演説をする中、ルシたちはコクーンへ帰ってきた。
わが同胞 コクーン市民の皆さん
黄昏の時は終わり コクーンは
未来を決する黎明にあります
数え切れぬ犠牲の中
われわれは 多くのことを学んだ
選択とは 何かに運命を委ねることでなく
心のまま掴みとることだと
自らの力で切り開いてほしい
消えゆく者の意志を継ぎ
この手で 未来を──
ヴァニラの「願うだけじゃ駄目、祈るだけじゃ駄目、誓うよ」の部分はこれである。
誓うよ、の意味が分かったプレイヤーはいるんだろうか?
少なくとも自分は、2周プレイしても分からなかったし今まとめて考えて
やっと分かった。
そのぐらいストーリーの理解、セリフの理解が13は難しい。
■騎兵隊を止める
ルシたちが乗り込んだ混乱に乗じて、騎兵隊が動き出した。
またそれに乗じて、バルトアンデルスもパルスの魔物を解き放った。
ヲルバ郷でバルトアンデルスが言った通り
騎兵隊がオーファンを壊すか、市民が暴走するかの展開となっている。
オーファンはコクーン首都エデンの中枢にいる。
騎兵隊が辿り着く前にライトニングたちもそこへ行かなければならない。
■最終決戦
騎兵隊はバルトアンデルスに利用されただけの存在であり
エデン中枢、オーファンズ・クレイドル(孤児のゆりかご)でシ骸になっていた。
騎兵隊にオーファンを破壊させる気はなく、あくまでルシを釣る餌である。
ここまで来て、
ライトニングたちはどうやってルシの使命を覆すのか、が明言されていない。
ラスボス連戦の途中途中で挟まれるムービーでやっと明らかにされる。
まずは、オートクリップ断章13を見てほしい。
大神パルスの子は地を裂き、物質の領域で門を求める。
邪神リンゼの子は命を殺め、霊魂の領域で門を求める。
——我は視た。
絶望を秘鍵として隠されし門が開かれるであろう。
希望は犠牲によってのみ拓かれるであろう。
この世に神々の黄昏が到来せし時、輝ける門の彼方、
色のない不可視の次元より、声なき歌が響くであろう。
はかなく消える命を憐れむ、女神エトロの嘆きの歌が。
(断章13)
これがラスボス戦で起きた出来事である。
ルシたちは一度絶望する。
それを感じ取った女神が、希望を見せ、ルシたちを蘇らせる。
希望を見たルシたちはオーファンを倒し、コクーンを堕天させつつも、人々を守る。
■ラスボス戦ムービー
1.初戦前
人と人 人と魔物
コクーンと下界(パルス)──
争いは 永遠に終わらない
闘争に苦しむ世界を救うのだ
オーファンを討って、コクーンを滅ぼし─
安らかな死を。
滅びは救いじゃない。
コクーンは死なない。
皆で誓ったんだ──
守るとな!
壊れた道具だな お前たちは。
復讐や絶望に囚われ死ぬことは、救いではない。
未来への希望を自分の手で掴む。
2.二戦目前
そしてバルトアンデルスを倒す。
やったか!?
安らぎの繭
孵るために破ろう
たやすく壊れては 人は増やせない
だが壊れなければ 人は殺せない
救済と殺戮
相反するふたつの使命を抱き
わたしは自分でも壊せぬ繭にとらわれていた
感謝しよう
君らによって 私は産まれた
ダイスリー!?
いや 違う……
こいつは……
今日死ぬために産み落とされた
孤独なるみなしご
わが名は──オーファン
世界に最後の救いを与える者
コクーン(繭)の伏線回収。
オーファン(神の遺児)のための繭だった。
そして救済と殺戮、矛盾する2つの使命を持っている。
3.三戦目前
オーファンのなんかすごい攻撃で仲間はほとんど倒れてしまい
立っているのはファングだけである。
ヴァニラも気を失わず、立ち上がるが
オーファンはヴァニラを拘束し、攻撃する。
ラグナロクとなり、私を光に導け。
やめてくれ!
壊れたルシに用はない
……私がやる
オーファンは 私がぶっ壊す
(オーファン、ヴァニラの拘束を解く)
ラグナロク
世界を破滅に導く罪深い希望
救済という名の罪を担うか?
ああ 全部背負ってやらあ!
だめ……!
私は大丈夫だから 誓いを忘れないで!
コクーンを守るって 一緒に誓ったよ!
(ファング、槍をヴァニラに向ける)
そのずっと前に誓ってんだ 家族を守るってな
こうするしか ねえんだ!
(ヴァニラを攻撃しようとする)
ファングの生きがいは、仲間でありヴァニラである。
そんな仲間が目の前で苦しむのは、耐えられなかった。
制止する仲間を振り切るために、牽制の攻撃をファングは放つが。
(このとき、オーファンがファングに力を与える描写がある)
ファングに槍を向けられた仲間たちへのショックは大きく
また、オーファンの力が加えられていたため肉体的ダメージも予想以上であり
仲間たちはシ骸となってしまった。
絶望である。
ファルシが なぜ人をルシにするのか
考えたことがあるか?
ファルシは皆 目的のために造られて
力を与えられる
だが人間は違う
何かを願い 何かを信じる心の力で
限界を乗り越え 無限の力を手に入れる
その力を借りたくて ファルシはルシを選ぶのだ
滅亡だけが救いをもたらし
絶望だけが奇跡を起こす
憎しみを
嘆きを力とせよ!
その絶望で 世界を救え!
今こそ 怒りの日は来たれり!
(ラグナロクとなったファングがオーファンのバリアを攻撃するが失敗)
ファルシは人の心という無限の力を借りたくて人をルシにする。
絶望とは大きな心の力である。
ファングは絶望し、魔獣ラグナロクとなってオーファンを攻撃しようとするが
バリアを破ることしかできず、失敗に終わる。
しかしこの間に、倒れていた仲間たちは新たなヴィジョンを見ていた。
(回想ムービー)
絶望だけじゃない
みんな 守りたいものがあったから──
失敗か
幾度でも繰り返せ
(ファングに回復と攻撃を繰り返す)
憎むのだ それが心の力を高める
さらなる嘆きによって 目覚めよ
(ファングのもとへヴァニラが歩み寄る)
ヴァニラ……逃げろ……
嫌だ!
もう逃げないって 誓ったんだ!
逃げるぐらいなら 立ち向かうんだ!
(そういった瞬間 後ろからオーファンへ魔法が放たれる)
(拘束が解かれたファングが吹き飛ぶが、スノウがナイスキャッチ。)
絶望が奇跡を起こすってか
認めてどうするんですか
たしかに 一度は絶望したさ
みんな!
おまえら……
ファルシ好みの幻かもな
ファング すまねえ
ひとりで背負わせてしまったな
(槍を差し出すライトニング)
また同じことを──
「ファング、助けてくれないか」「今さら聞くな!!」の再現。
どうして……?
冷たい闇の中 ここに来るまでのこと
ずっと思い返してたんです そしたら──
その先が……見えてきたんだ
みんな 楽しそうに笑ってたよ
セラも 義姉さんも
新しいヴィジョンってか?
こっちは死にかけてんのに 無責任な希望だ
けどよ 気がついたら
背中を押されてた
おまえもそこにいたんだ ファング
だから……
最後まで一緒だ
ひとりにしないって
約束したよね
絶望する人間に対し、女神が慈悲を与えた。
シ骸から復活させ、世界をどうやって救うかというヴィジョンを見せた。
ルシの烙印──
同じ使命を負わされたしるしは
同じ運命に立ち向かう証
一緒に交わした 誓いの証
滅ぼす力なら……
救う力にだってなれる
あんたが最後に破滅を招くなら
僕たちが盾になればいい。
これが重要だったんですね。
コクーンを滅ぼすラグナロクの力があれば
コクーンを支える力になれる。
やっとここでルシの使命を果たしつつ、コクーンを守る方法が示される。
(しかもたったひとこと、ふたこと。分かりづらさMAXである。)
みんなの夢をかなえてやろうぜ
希望を──
私たちの
光に変えて
本当の奇跡を起こそう!
できるものか
ああ おまえにはできない
……なんだと?
できると信じないからだ
おまえは生まれた時から あきらめ
繭にこもって すべてを呪い─
人に滅ぼされるのを待った!
他人任せはダメだ。
破滅が救いと思うおまえは
死んで この世を逃げたいだけだ
逃げるのはもう終わった。
望みどおりに ひとりで逃げろ
でも 私たちは違うんだ
世界に希望がないのなら
見つけ出すまで一緒に探す
私たちはずっと一緒の仲間がいる。
人間には心が、絆がある。
救いが失せた繭(コクーン)だろうと
守って ここで生きていく!
それが─
私たちの
人間の使命だ!
ルシの使命じゃない。
私たち人間の使命は、
人間の生き方は、どんなに苦しくても仲間と共に、希望を探し続けることだ。
希望を自分の手で掴み取るんだ。
■エンディング
願いはかなえるもの
未来の奇跡を待つんじゃない
現在(いま) この場所で──
誓いを力に
絶望だけが力じゃない。
希望が力をもたらす。
いっときは絶望によって魔獣となったファングだったが
今度は希望によって、仲間との絆を力に変えて、ヴァニラと共にラグナロクとなり
コクーンを支えた。
コクーンを滅ぼすというルシの使命を果たしつつも、
コクーンを守るという誓いも果たすことができた。
世界はとても広すぎて 迷ってしまいがちだけど
あきらめてしまわずに 歩き続けてさえいれば──
生きても死んでも駄目ならどうすれば、と迷ったこともあった。
それでも諦めずに、希望を求めて最後まで戦った。
その結果、希望を手にすることができた。
セラとドッジが帰ってきた。
許してくれ セラ……
うん
おいおいおい それはこっちのセリフさ
結婚を 許してくれ!
誓うよ 絶対に幸せにする
信じるよ
おめでとう
ライトニングは最後に、信じることができた。
祈りが誓いになった時
運命を変える希望が生まれる
希望という光を胸に 現実を乗り越えて──
私たちは 未来へと生きる
DIRECTOR & SCENARIO
鳥山 求
「生きのびてやるべきことをやりなさい。自分で決めるんだ。」
「人に聞くんじゃねえ!てめえで考えろ!」
「現実が辛いなら逃げてもいいんだよ。
離れて振り返ってみると、案外簡単に乗り越えられたりして─」
「願うだけじゃ駄目、祈るだけじゃ駄目。だから今度は絶対にコクーンを守るって誓うよ」
これらのセリフが全てエンディングで回収されている。
★まとめ
FF13はファルシとルシという機械/道具を設定することによって
人間とは何か、を逆照射する。
ファルシは神の定めた使命に逆らえない、限界の中でしか生きられない存在である。
限界の中で絶望し、滅亡を待つことしかできない。
人間は違う。
人間は心がある。自分自身で限界を打ち破ることができる。
心は限界を超える自由な力を持っている、すなわち希望を持っている。
心は絆を生み、仲間を生む力がある。
辛い現実の中で絶望しても、仲間とともに希望を持って歩み続ければ
かならず自身の力で未来を切り拓くことができるはずだ。
良いところ
1.一貫性
ライトニングの変遷
信じなかった→信じてみたくなった→夢を見せたのはお前だ…→信じるよ
ヴァニラ&ホープの変遷
逃げよう→逃げるのはもうやめるんだ
他人任せ→自分で決めるんだ
スノウ&レインズの変遷
ルシの使命に屈する→人として信じた道を貫く
ファングの変遷
仲間が大事だからこそ→それを邪魔する仲間に槍を向ける(2回)
きちんと筋が通っていて、良いですね。
ルシの使命、コクーンを破壊する or シ骸となる
これが最後の最後まで解決されない点は、とても良い。
ラストが読めた時点でやる気がなくなってしまう。
また、最初は人vs.ファルシという二項対立だが
途中から神vs.人という対立軸が追加される。(vs.というのは正確ではないけど)
これも物語にふくらみを持たせる意味で良かった。
3.基盤
希望、心、家族(恋人)という誰にでも共感できるものを基盤として物語が作られている。
ライトニング&セラ、セラ&スノウ、ホープ&両親(ホープ&ライトニング)
サッズ&ドッジ(サッズ&ヴァニラ)、ヴァニラ&ファング
と全員が家族を起点としていて、仲間全員が家族にもなる。
悪いところ
1.オートクリップ
オートクリップ自体は悪くないが、追加が頻繁すぎるし量が多すぎた。
これはLRで改善されました。
2.ムービー
ムービー中の一言が非常に大きな意味を持つ中で
一瞬で終わってしまうので熟慮できない。
これもLRで改善されました。
感想
ムービー→あるく→ムービー→セーブ→ムービー→ムービー→・・・
俺はムービーを見に来てんじゃねぇんだよ!!!ゲームをしにきてんだよ!!
と思わせる点でゲームとしては悪い評価にならざるを得ないが
見せ方が悪かっただけである。
シナリオはむしろよくできていて、最近プレイしたFF5やFF7と比較しても
ずっと作り込まれているとハッキリ言える。
ムービーも……後からまとめて見る分には凄く良い、ゲームに挟まらなければ。
スノウがホープに謝るシーンは本当に泣けるし、
ライトニングがスノウの影で泣くところも本当に良い。
スノウカッコいい。
~終~