「なにわの海の時空館」を惜しむ  ~博物館が赤字な理由~ | みんけんひでのブログ

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皆さんは「なにわの海の時空館」というのを知っているだろうか?
 
大阪の博物館。本年3月10日をもって閉館した。
 
開館は2000年。大阪市制100周年記念事業として176億円かけて作られました。しかし、年間入場者数60万人を目指したものの、初年度は20万人、2008年以降は10万人程度に落ち込み。入館料は600円ですが、入場者の6割が小中学生による社会科見学で無料とか。毎年3億円以上の赤字を出し、廃止が決定しました。
といっても売却先も新しい利用方法も決まらず。10億円かけて作った展示の目玉の菱垣廻船は、建物を壊さないと出ないし、解体するにもお金がかかるしで二進も三進もいかない状況です。
 
ちなみに、東京にある江戸東京博物館は、2011年度の入館者数120万人で、全国の博物館では7位にランクしています。入館料も同じくらい。しかし、赤字です。
 
建築費は583億円、年間の赤字額は87億円というから、なにわの海の時空館とは桁違いです。
ここもその赤字額から整理の噂が流れましたが、見学した当時の石原都知事が存続を決めたらしいです。

 
さて。私がここで言いたいのは、公立の博物館施設は赤字経営が当たり前だということです。
 
だって、営利目的の施設ではないんですから。
 
本来、博物館って法律(博物館法という)では、特別な場合を除き、入館料は無料にすべきだとうたっているのですよ、知ってました?
 
要は図書館と同じなんです。市民に広く開かれた教育施設なんですから、入館料を取るほうがおかしい。だから赤字なのは当たり前なんです。
 
それと、博物館における展示というのは、実は博物館の持つ機能の一つでしかないんです。
他に、調査、研究、資料の収集、保管といったさまざまな機能があるわけ。それらにお金がかかる、当たり前ですよね。
 
したがって博物館施設を、赤字だからといって廃止することが、如何に本質から外れたバカな発想かわかるでしょう。

ちなみに、「なにわの海の時空館」の廃止を決定したのは、もちろん橋下市長の意向であることは、ほぼ間違いのないところです。
 
この人、最近の従軍慰安婦絡みの発言でたたかれてますが、その内容の是非はおくとして、元弁護士とは思えないほど「人権」について浅い考えを持っているのは、府知事時代からの発言でも分かるとおりです。
 
まあ、大阪府民や市民が選んだ人ですからとやかくは申しませんが、そのくらい「人権」に疎い人が、「自分の考えに合わないから」という理由で大阪人権博物館への補助金をカットしたんですから、これはもう笑い話でしょう。補助金はあんたのポケットマネーか!
 
そういえば文楽にも理解のない人でしたね。
 
そうやって教育施設を廃止して、維新の人たちが大阪に何を作ろうかと考えてるかというと、カジノです。もう、同じ日本人として悲しくなりますね。

ついでに言うと、この「なにわの海の時空館」の廃止に賛同している大阪の人たちのコメントとかを読むと……。
「一度行ってみようと思っていたが…」なんて言っています。アホか。
大阪に何年住んでるんや……。
その程度の低い民度だから低いレベルの知事や市長になるのです。
まあ東京だって似たようなもんですが、少なくとも石原は文化(博物館)は壊さなかった。パンダも嫌々ながら連れてきたし……。

最後に、自分が2003年7月に見学したときの記事を以下に記述します。
 
「午前中はなにわの海の時空館を見ることにした。コスモスクエア駅から5分程度。海の中に浮かぶドーム型の建物だ。

 
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入場料を払うと「時空通宝」と書かれたコインが出てくる。これを投入して入館するのだ。
地下の通路を通ってガラスドームに。「漂流展」という企画展がやってたので見学する。
漂流者というとジョン万次郎や大黒屋光太夫が有名だが、実際にはもっと沢山の人がいる。記録にも残らず死んでしまった無名の人を併せれば膨大な数に上るだろう。展示では300年前にロシアに漂着した大阪商人・伝兵衛の話を中心に、様々なケースを紹介している。最後にある現在の救命イカダと装備品の展示も興味深い。

 
イメージ 2
 
さて、常設展の方だが、目玉はドームの真中にある千石船の浪華丸だ。この菱垣廻船は大阪市が十億円をかけて、平成11年に再現した船。江戸時代には大阪から江戸まで1周間から2ヶ月かけて半ば風任せに商品を運んでいたという。2ヶ月の試験航海を経て、この地に運ばれ建物が建てられた。のでドームを壊さない限り二度と海には出れないのだ。勿体無い話だが、メンテの費用を考えれば妥当な処置かもしれない。
その他大阪の港や海、船に関する展示がいっぱいで、解説シートも豊富に入手できる。何にしても見応えのある展示施設だった。」

 
イメージ 3
 
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※ついでに、この時大阪で回った博物館施設を順に書き出してみます。
 
7月18日
・淀川資料館
・枚方宿鍵屋資料館
・松下電器歴史館
・くすりの道修町資料館
・イトーキ史料館
7月19日
・堺市舳松(へのまつ)歴史資料館
・堺市博物館
・池上曽根弥生学習館
・大阪府立弥生文化博物館
・岸和田だんじり会館
・岸和田市立郷土資料館
・きしわだ自然資料館
7月20日
・なにわの海の時空館
・ふれあい港館ワインミュージアム
(午後は詰将棋全国大会に参加)
7月21日
・日本民家集落博物館
・インスタントラーメン発明記念館
・国立民族学博物館
 
 
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