藤井聡太二冠が豊島将之叡王への挑戦権獲得　史上初のトリプルタイトル戦へ「盛り上げたい」

　将棋の藤井聡太二冠（１８）＝王位、棋聖＝が２６日、東京都渋谷区のスタジオ「シャトーアメーバ」で行われた第６期叡王戦挑戦者決定戦で斎藤慎太郎八段（２８）に後手の１１４手で勝利し、豊島将之叡王（３１）＝竜王＝への挑戦権を獲得した。

　斎藤八段は王座のタイトルを経験し、今期の名人戦でも挑戦者となった実力者。過去の対戦成績も藤井３勝、斎藤２勝と拮抗していた。

　戦型は両者が得意とする角換わり腰掛け銀に。中盤まで一進一退の攻防が続いたが、終盤に入ってから藤井二冠が抜け出した。持ち時間の切迫に追われた斎藤八段がわずかな緩手を指した一方で、藤井二冠はＡＩが示す難解な最善手を指し続けて競り勝った。

　局後は「挑戦は１年ぶりになるのでうれしいです。五番勝負を盛り上げられるようにやっていけたら」と抱負を語り、豊島叡王との五番勝負に向け「対戦成績も負け越し（藤井の１勝６敗）で手強い相手だと思っていますが、こちらが頑張れば番勝負を盛り上げられると思いますので、それを目指したいです」と述べた。

　藤井二冠は進行中の棋聖戦五番勝負で渡辺明名人（３７）＝棋王、王将＝の挑戦を受けており、現在２連勝と初防衛に王手を掛けている。さらに、豊島叡王の挑戦を受ける王位戦七番勝負が２９日に開幕する。

　叡王戦五番勝負が開幕するのは７月２５日。棋聖戦の最終第５局が同２９日のため、現時点では棋聖、王位、叡王のトリプルタイトル戦に同時進行で臨むことになる。２棋戦が並行することは度々あるケースだが、同一棋士が同時に３つのタイトル戦に臨む例は史上初となる。