渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

線引き

2021年01月17日 | open


ネットで、「あれば便利だろうなあ」
いう記事を見た。
確かにあれば便利だろう。

しかし、ふと疑問も湧いた。
道具集めが趣味の人はともかく、人が
アウトドアにあえて出る時、「便利さ」
を求めて行くのだろうか、と。
便利さだけを求めるならば、シャワー
ルーム付きのキャンピングカーで行けば
それは便利だろうし、上げ膳据え膳で
ホテルシェフが料理を出してくれる温泉
地でのグランピングなどは究極の便利だ
ろう。

そういう便利や利便性を求めて人は野外
に行くのだろうか。
圧倒的多くの人が求めているのは、都会
を離れて、戸外で、「ほんの少し不便さ
を楽しむ」という最高の贅沢を求めている
のではなかろうか。

そうであるならば、道具集めの道具自慢
をしたい人たちだけの欲求を満たすアイ
テムは的外れになる商品のように思える。
今はキャンプ「ブーム」なので、何でも
出せば飛ぶように売れる事だろう。
しかし、ブームは「にわか」という層を
大量に生み出し、その業界の質は下がる。
質は下がっても、それらニワカはすぐに
ブームが去れば飽きてしまい、続ける事
はない。一時期のボウリングやビリヤード
のようなもので、現在もボウリングやビリ
ヤードを継続してプレーして心底親しんで
いる人はごく僅かだ。最近はダーツがブー
ムか。玉撞きやめてダーツばかりやるよう
になった人間もかなり多い。
でも、ニワカだからどのみち続かない。
キャンプ・アウトドアの場合、完全に嗜好
者としてその道の人になる人たちは、この
キャンプ「ブーム」の中では、ごく僅かし
かいない事だろう。

この野外囲炉裏は、そうした層を狙い定め
た物なのかも知れない。
「わ〜。楽しそう。便利そう」というとこ
ろに食いつくような。
野外活動に非日常性を求める人たちは、
何を求めてあるのか。
実は、「ほんの少しだけ不便さを楽しむ」
のであるならば、便利ささはどんどんエス
カレートし、それはやがて当初欲したもの
とは大きく乖離して行く事に気づくだろ
う。
そうした時、ブーム乗りではなく、自分
自身の中で何を求めて何を求めないのか、
明確になっている人たちは、自分の中で
道具選びにおいても線引きをする。
保温シェルターではなくテントは必要だ
がコテージは要らない、とか。
極言すれば、キャンピングカーとそれに
よる楽しみは要らないが、テントを自分
自身で張って、自分で料理をするキャンプ
はやりたい、というように。

道具選びも、そのあたりの自分自身が
求める規矩(きく。モノサシ)が無いと
何でもかんでも欲しいものリストに載せ
てしまい収拾がつかなくなることだろう。
私が薪割り焚火にこだわるのは、それは
私が50年以上やり続けて来た事だからだ。
登山をするなら、ホワイトガソリンや
ガスを使う。
しかし、アウトドア宿泊の野営=キャンプ
では、私は薪割り焚火なのだ。
無論、バックアップ等ではアルコールは
使う。ガス物も使ってみてよと頂いたの
で使う。
しかし、メインは薪割り焚火なのだ。
これは自分の中での線引きとなっている。
そして、その焚火において、グランピング
嗜好と同じ軸線にある目線での開発商品
には、私個人は一切興味が無い。
自分の中での線引きを崩すからだ。
私は野外活動で便利さを前面に出す発想
で作られた物には興味が無いのだ。
トラコンやABS付いたバイクなんて乗り
たくねえよ、みたいな感じ。
野外で便利さを求める意味が理解不能で
あるし、そんな便利さなどを野外の山や
海に行って求めるならば、リゾートホテル
にでも宿泊したほうがよいではないか、と
思うのである。上げ膳据え膳で楽だよ〜。

つまりは、便利の質の中身の問題なのだ。
バイクにこれ着けると便利ですよーという
のでバイクには乗らない。
夏暑く、冬寒く、雨が降れば丸濡れの
バイクなどに便利さを求めるほうがどう
かしていると思っている。
便利の中身の質としては、ETCなどは
便利だ。これは便利の意味の質が異なる。
しかし、便利だよとオートマ車にしたり、
荷物運搬車にしてしまうタイヤより後ろ
の上に装着する妙なボックスなどは、
走りの機動性と安全性を捨象する意味から
も、また二輪に求めるものとの乖離性から
も、私はそれらを選択しはしないのだ。
アウトドア活動でも、まったく同じ軸線
が私の中にはある。

野外活動の中心は「何でも自分でやる事」
と「人と人が協力しあって一つの事をや
る」という事だ。不自由な環境の中で。
道具選びにも線引きというのは必ず発生
する。

あと、もう一つ、最近のくだらぬブーム
の中で、儲け人たちが流行らせようとして
いる謎のワードがある。
それが、「お洒落な〜」という物だ。
「お洒落なキャンプ」「お洒落なテント
サイト」「インスタ映えするお洒落な
キャンプアイテム」e.t.c....

アホか?と思う。
蜂やアブや蚊に刺される可能性のある
座ると汚れる土地に来て、何が「お洒落
な」か、と。
バカでつか?なのだが、多分これは、仕掛
けてる奴らはバカではなく、バカを相手
に一儲けを企んでいるのだろうと思う。
ボジョレー解禁!わあ、お洒落!とか言っ
てそうな丸ノ内にいそうなバカな層を。
それ、ちげえねえと思うよお。

ちょい昔流行ったそれ系の仕掛け言葉で
は「トレンド」てのがあった。
そのブームに乗っていれば自分はちょい
と垢抜けたお洒落人、みたいな勘違いの
自意識野郎とバカ女が大発生した。
私がクリームソーダ/ピンクドラゴンが
大好きなのは、主宰の山崎さん自身が
トレンドやブームというものを全否定して
いたからだ。
骨。気骨の骨。背骨の骨。
ピンドラのトレードマークのスカルボーン
の骨は骨のある奴の骨、気骨の骨なので
は?とさえ思える程に一本筋が通っていた
し、今も通っている。
私はピンドラ信者ではない。
狂信者でも何でもない。それでは骨がない
骨無しだ。
私は、捉え方の指向性が山崎さんや高橋
誠一郎さんたちと全く同方向を向いてい
るのだ。種属として同族なのである。
真の敬愛とは、そうした同一目線も一つ
の重要なファクターとなる。

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